ドイツと日本の自動車連盟が行うロードサービスの数と理由を比較してみた。
独ADAC(ドイツ自動車連盟)が、2017年におけるロードサービスによる故障車の救援件数を発表した。それによると、年間の出動数は約400万件。最も多かった日である1月23日には、1日でなんと21,943件の救援活動を行ったという。
冒頭の写真:救援作業を行うADACのロードサービス隊。Quelle:
ドライバーの強い味方ロードサービス
ヨーロッパ最大の自動車連盟であるADAC(ドイツ語では「アーデーアーツェー」と言う)は、日本のJAF(日本自動車連盟)と同様、自動車ユーザー団体として、ロードサービスをはじめとした各種業務を行っている。
ロードサービスとは、クルマの故障、ガス欠など自動車に乗っていてトラブルに遭遇した場合、作業スタッフ(ロードサービス隊)が現場にかけつけて救援を行うサービスのことである。救援作業を行うサービスカーが黄色であるため、ドイツではこの作業車は「イエローエンジェル」と呼ばれ親しまれている。
ちなみに全ドイツでのイエローエンジェルの総数は1,762台。2017年のイエローエンジェルの全走行距離は5,394万kmに相応する。
道路脇でロードサービスを行う様子。Quelle:
ADACの発表した数字を、分かりやすいように日本のJAFと比較してみると以下のようになる。
ロードサービスの出動件数
◆ADAC 4,008,747
◆JAF 2,383,233
乗用車の保有台数は、ドイツが約4,500万台、日本が約6,125万台と日本の方が多いにも関わらずロードサービスの出動件数はADACが圧倒的に多い。
ロードサービス出動の理由は?
興味深いのは、出動の理由である。両者ともに最も多かった「バッテリー上がり」は、ドイツではロードサービス業務のほぼ1/3を占める。2位以下の出動理由は、ドイツと日本でさまざまである。
ADACによれば、ドイツで「落輪」が7位以内に入ってこないのは、道路が基本的に落輪するような溝のない作りになっていることを挙げている。他方で、スターターモーターのトラブルが第2位になっているのは、ドイツは冬季の寒さが厳しく、全国的にマイナスを下回る期間も長いためスターターの故障が起こりやすいなど、道路や気候といった地域的な状況が数値に結びついているのではないかとのことだ。
ADAC | JAF | |
第1位 | バッテリー上がり(39.9%) | バッテリー上がり(32.1%) |
第2位 | スターターモーター(21.0%) | タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足(16.2%) |
第3位 | 車体、ブレーキ、車台、エンジン(13.0%) | キー閉じ込み(8.9%) |
第4位 | 発電機、スターター、ランプ(10.2%) | 落輪・落込(7.7%) |
第5位 | タイヤ(6.6%) | 破損/劣化バッテリー(5.4%) |
第6位 | 燃料装置(4.9%) | 事故 (4.8%) |
第7位 | エアコン(3.2%) | 燃料切れ(2.7%) |
*ADACの統計は、事故をのぞく故障車へ対応を行った数値。JAF統計は2016年度のもの。
ADACによるロードサービス出動の理由の統計。Quelle:
2018年2月28日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)