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クルマ2018.02.26

ロータス「ヨーロッパ」。元祖スーパーカー『狼』

1970年代のスーパーカーブーム時代に大ヒットした、元祖レース漫画「サーキットの狼」。ここで紹介するロータス「ヨーロッパ」は、同作品の主人公が愛車としていたこともあって、カウンタック(ランボルギーニ)、512BB(フェラーリ)、930ターボ(ポルシェ)などと並び、ブームの中でクルマ好きに人気の高かった1台だ。

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1966年に登場したロータス「ヨーロッパ」は大別して4タイプあり、画像の車両は1971年に登場した3タイプ目の「ツインカム」。エンジンを換装してパワーアップし、運転席後方の両脇のフィンも削られて外見も変化。2017年11月25日に開催された「2017 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」にて撮影。本来、ロータスのF1マシンでも有名なこの黒地に金文字というJPS(ジョン・プレイヤー・スペシャル)カラーは、4タイプ目の「スペシャル」のもの。

 1970年代のスーパーカーブーム時代に大ヒットした、元祖レース漫画「サーキットの狼」(当時・池沢さとし、現・池沢早人師)。今回紹介するロータス「ヨーロッパ」は、同作品の主人公が愛車としていたこともあって、カウンタック(ランボルギーニ)、512BB(フェラーリ)、930ターボ(ポルシェ)などと並び、ブームの中でクルマ好きに人気の高かった1台だ。

 「ヨーロッパ」はその名の通り、当初は本国の英国を除いた欧州(大陸)市場に安価なGTカーを提供するというコンセプトのもとに開発された(ただし英語のスペルは「EUROPE」ではなく「EUROPA」)。そして、世界で初めてエンジンをミッドシップにマウントした量産スポーツカー(2シーター・クーペ)として、1966年12月に登場したのである。

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「ヨーロッパ」を後方から。ミッドシップレイアウトなので、トランクリッドに見える後部はエンジンフードに当たる。エンジンルーム内は後ほど紹介。なお、ロータスの創始者コーリン・チャップマンは、市販車、コンセプトカー、レーシングカー問わず開発したクルマに必ず通し番号(タイプナンバー)をつけており、「ヨーロッパ」の最初のモデルである「シリーズ1」は「タイプ46」である。

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その独特のデザインは当時どう評された?

「世界最速のバン」と揶揄されるも実際に速かった

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「ヨーロッパ」の側面。運転席後方の独特の形状があることで、まるでバンのようにも見えることから、当時は「世界最速のブレッド・バン」などとも呼ばれた。画像の「ヨーロッパ ツインカム」になって、運転席後方の突き立ったフィンが削られて横から見たときのラインが低くなり、同時に運転席からの後方視界がそれまでと比較して若干ながら改善された。

 「ヨーロッパ」の外見的な特徴は、まず全高が低いこと。全高は資料によって異なるが、1070~1090mm。全高が非常に低いことで知られる同時代のカウンタックが1070mmとされているので、「ヨーロッパ」も全高の低さでは引けを取らない1台だったというわけだ。

 そしてもうひとつの特徴が、運転席後方のデザイン。これが荷台のようなイメージを醸し出したようで、「世界最速のブレッド・バン」などと揶揄されてしまった。ただし空力的には優れており、空気抵抗係数(Cd値)は0.29である。それもあって、「ヨーロッパ」は最高速度は時速185~190kmを出せたという。

 ちなみに同じ「ヨーロッパ」でも、最初の「シリーズ1」および68年登場の「シリーズ2」と、71年に登場した今回の「ツインカム(TC)」では運転席後方のデザインが若干異なる。「シリーズ1」と「シリーズ2」では、エンジンフード両脇にフィンが突き立っていたため、もともとよくない後方視界をさらに悪化させていた。しかし「TC」になってフィン上部が大きく削られてエンジンフードとフラットとなった。そのため、後方視界が若干ながら改善されている。

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「ヨーロッパ」を真後ろから見たところ。ルームミラーがルーフとエンジンフードのわずかなすき間から見えるが、外から見ても後方視界の悪さがわかる。66年に登場した「シリーズ1」と、68年登場の「シリーズ2」では両脇のフィンがさらに上側に突き立っていたため、さらに後方視界が悪かった。

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3タイプ目の「ツインカム」の特徴に迫る!

「TC」になってエンジンがパワーアップ!

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エンジンルーム内。「TC」に搭載されているエンジンは、ロータスが62年に発売を開始したライトウェイト・オープンスポーツの「エラン」に搭載されたロータス・フォード・ツインカム。水冷直列4気筒DOHCで、排気量は1558cc。20馬力以上アップして、105馬力となった。

 シリーズ1のときは欧州、中でもフランスでの販売を前提としていたため、修理のしやすさと安価さから、技術提携していたルノー公社(当時ルノーは国営だった)からエンジンを得ていた。ルノー「16」用に搭載されていた1470ccの直列4気筒OHVを、ルノー自身がチューンして出力を若干アップして82馬力としたエンジンを採用したのである。

 しかし69年に本国の英国での販売が始まると、多くの英国人オーナーがパワー不足を感じ、ショップに持ち込んで「ヨーロッパ」のエンジンをチューンするケースが増えていく。

 そうした状況を受け、ロータスは”安価なミッドシップGTカー”というコンセプトから方針を切り替え、高性能さを追求する。ロータスが62年に販売したオープンスポーツ「エラン」に搭載した排気量1558ccの直4DOHCエンジン(105馬力)を「ヨーロッパ」にも搭載したのだ。このエンジンはフォード製のエンジンをベースにロータスが開発したDOHCヘッドを組み合わせたものである。なお「TC」のタイプナンバーは「74」とされ、71年から販売を開始した。

 さらに72年になると「ヨーロッパ」の最終型となる「スペシャル」が登場。「サーキットの狼」の劇中で主人公が愛車としていたのは、厳密には同車である。「スペシャル」も75年に生産終了して、「ヨーロッパ」は幕を下ろす。ロータスのピュア・スポーツの系統は「エスプリ」に引き継がれていくことになる。

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「ヨーロッパ」の特徴のひとつは軽量化で、「エラン」で培われた鋼板バックボーンフレームとFRP製ボディの組み合わせにより、車重は600kg台前半から半ば程度(資料により、613kgとも665kgとも)。「TC」になるとエンジンを載せ替えた関係で重量が増え、700kgを超えた(711kgという資料がある)。

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「ヨーロッパ」はどんな
スペックのクルマだったのか?

「ヨーロッパ TC」のスペック

 なおスペックに関しては、現在公式資料が存在しないため、複数の古い資料を参考にして概要を明らかにしてみた。

【サイズ・重量】
全長:3980~4000mm
全幅:1638~1650mm
全高:1070~1090mm
ホイールベース:2310~2337mm
車重:700kg超(711kg)

【エンジン】
形式:水冷直列4気筒DOHC
排気量:1558cc
出力:105馬力

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「ヨーロッパ」は運転席後方の直線的なイメージが強いが、こうして正面から見ると、「エラン」と通じるものがあり、柔らかい雰囲気のフロントフェイスである。なお、「ヨーロッパ」のデザインは「エラン」と同様の、チャップマンと、フォードからロータスに移籍したデザイナーのジョン・フレイリングが共同で行ったとされている。

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「ヨーロッパ」の車内。「シリーズ1」はドアウィンドウははめ殺し、シートも調整できなかった。しかし、シリーズ2でドアウィンドウは電動式に、シートも調整が可能となった。またメーター類などもシリーズ1からシリーズ2になった際に大きく変更された。

2018年2月26日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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