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ライフスタイル最終更新日:2018.02.22 公開日:2018.02.22

【2018/2/14~5/7】 モネ、ドガ、セザンヌ、ルノワール…巨匠による「至上の印象派展」

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 世界最高峰の印象派の作品で有名な「ビュールレ・コレクション」。ヨーロッパ以外ではまとまった所蔵品がほとんど公開されなかった貴重なプライベート・コレクションが27年ぶりに来日を果たした。作品の約半分が日本初公開である話題の展覧会「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が、5月7日まで国立新美術館で開催されている。

クロード・モネ《ジヴェルニーのモネの庭》1895年 ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

贋作を買ったり、盗難にあったりコレクターも大変なんです

 「バイエラー財団美術館」や「ローゼンガルト・コレクション」などスイスには優れたプライベート・ミュージアムが多い。ビュールレ・コレクションは、事業家のエミール・ゲオルク・ビュールレ(1890~1956)が、全てひとりで集めた美術品である。所蔵品は約600点。モネ、セザンヌ、ピカソ、ルノワール、ファン・ゴッホなど絵画界の巨匠作品が勢揃いしているのは驚きに値する。

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エミール・ゲオルク・ビュールレ、1950年頃 Photo: Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)

 ビュールレは学生時代にモネの作品を前にして大きな衝撃を受ける。名画を家の壁に掛けて鑑賞したいという思いから、事業の傍ら46歳で収集に取り掛かった。絵画全体への造詣はそれほど深くなかったせいか、レンブラントの贋作を購入してしまったり、購入した絵画が略奪品だったため国から返却を命じられたり、収集の道のりは平坦ではなかった。美術館に窃盗団が押し入ったこともあったという。

 美少女を描いた著名なルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》は、絵のモデルをつとめたイレーヌ嬢自身から譲り受けたという。自分だったら売るだろうか? 長年所有した自画像が手元を離れる時の気持ちは? イレーヌ嬢はその時何歳だったのだろう? など想像をたくましくしてしまうが、美術品を購入する際にはさまざまな逸話がある。

ビュールレ・コレクションを見る最後の機会!?

 モネの《睡蓮》は作品の発表直後はその価値が認められなかったそうだが、ビュールレはいち早くこの作品を購入した。愛好家というだけでなく美術品に関する先見の明をもっていたため、このような世界最高レベルのコレクションが成立したのではないだろうか。

 ビュールレ・コレクションは2015年に閉鎖され、2020年に所蔵作品はチューリッヒ美術館に移管することが決まっている。つまり今回はビュールレのコレクターとしての全体像がみられる最後の機会となる訳である。印象派を中心とした展覧会の名画の数々の中からほんの一部をここに紹介したい。

絵画史上、最も有名な美少女

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ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》1880年 ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

 ルノワールの子どもの肖像画の代表作のひとつとである。モデルは裕福な銀行家の娘イレーネ。彼女は当時8歳だったというが気品溢れる淑女のようである。栗色の髪とあどけなさの残る表情など、ルノワールの表現力が際立つ。
 ルノワールは母と子を描いた絵を発表して評判になり、上流階級から肖像画の仕事を依頼されるようになった。彼の描く温かく幸せそうな家族の姿が、人々の心をつかんだのである。

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日本未公開の「睡蓮」が!

完璧を目指したセザンヌの名作

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ポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》1888/90年頃 ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

 セザンヌの肖像画のなかでも、もっとも有名な作品。異様に長い右腕や不自然な背中の角度など、セザンヌはモデルをその通りに写実するのではなく、納得できる形と色におきかえ、理想の絵画を生み出そうとした。
 ルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》とセザンヌの《赤いチョッキの少年》は、両巨匠の最高傑作として知られており、この2点だけでも十分に価値のあるコレクションといえる。

人がみせる何気ない瞬間を捉える天才・ドガ

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エドガー・ドガ《リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち》1871年頃 ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

 ドガの友人で、印象派展への出品経験をもつ芸術家でもあったリュドヴィック・ナポレオン・ルピック伯爵と2人の娘を主題とした肖像画。
 印象派の画家の多くは風景や静物を得意としたが、ドガとルノワールは主に人物に力を注いだ。ドガは特に、人間の身体と、バレエダンサーや浴女など何かの作業に没頭している時、人が一瞬見せる何気ない動作に興味を持っていた。くつろいだ家族の時間にみせる父親の子に向ける愛情深い視線が描かれている。こちらを見つめる右側の娘だけ鮮明に描かれ、父親も幼子もぼんやりと背景のようなタッチで描かれているのも興味深い。

日本未公開の「睡蓮」があった!

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クロード・モネ《睡蓮の池、緑の反映》1920/26年頃 ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

 展覧会の最後を飾る2mx4.25mの大判の作品。1883年、ジヴェルニーに移り住んだモネは、自宅の敷地に睡蓮の池を作り上げた。植物の色彩を映し出し、時の流れに応じて表情を変える水面は、画家の後半生の創作の中心的モチーフとなる。モネの死後、しばらくアトリエに保管されていた本作品をビュールレは高く評価し、3点の「睡蓮」を主題とする作品を購入する。そのうちの2点をチューリッヒ美術館に寄贈し、本作品のみ手元に残したものである。

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招待券プレゼントのお知らせ

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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

【会期】
2018年2月14日(水)~5月7日(月)
【開館時間】
10:00~18:00(毎週金・土曜日および、4月28日(土)~5月6日(日)は20:00まで)
※入場は開館の30分前まで
【休館日】
毎週火曜日(ただし5月1日(火)は除く)
【会場】
国立新美術館企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
【入館料】
一般1,600円 他 ※詳細は下記、展覧会HPで
【アクセス】
東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6番出口(美術館直結) 他
【展覧会HP】
http://www.buehrle2018.jp/

「至上の印象派展」招待券プレゼントの応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年3月9日に発送しました。

たくさんのご応募ありがとうございました。

2018年2月22日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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