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最終更新日:2018.01.30 公開日:2018.01.30

【2018/1/6~6/3】 現代アートの御殿「原美術館」は、 トリッキーで楽しい

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草間彌生「自己消滅」1980年 ミクストメディア サイズ可変 ©Yayoi Kusama (前期出品)

 日本の現代美術館の草分けである原美術館が、所蔵作品約1000点の中から館長自らが選び、キュレーションを行った展覧会「現代美術に魅せられてー原俊夫による原美術館コレクション展」が開催中である。
 会期は6月3日まで。1970年代後半より80年代前半までに収蔵された作品を主とする前期(1月6日~3月11日)と、企画展などをきっかけに収蔵された作品を主とする後期(3月21日~6月3日)に分けて、異なった内容で展示される。

閑静な住宅地に建つ現代アートの御殿

 品川駅から御殿山の方へ15分ほど歩いた、閑静な住宅街に原美術館はある。白を基調とした由緒正しき洋館は、銀座・和光本館や東京国立博物館本館などを手がけた建築家・渡辺仁が、実業家の原邦造の邸宅として設計したもの。1938年に建造された建物は、20世紀初頭欧州のモダニズムによるもので曲線が多用されている。
 しかし美術館の扉を開けるとまず対面するのが、山吹色にペイントされた室内オブジェに虫のような物体が無数に群がる草間生の「自己消滅」。外の静寂を打ち破るエネルギッシュな現代アートの世界が広がっている。

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ナム ジュン パイク「キャンドルテレビ」1980年 テレビ、ろうそく 33x41x24 cm ©Nam June Paik (前期出品)

懐かしさがこみ上げる前期の作品たち

 前期に紹介される作品は、ポップアートの代表者たるアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタイン、戦後絵画に大きな影響を与えた抽象表現主義のジャクソン・ポロックやロバート・ラウシェンバーグ。彫刻のジャン・ティンゲリーに、写真家のロバート・メィプルソープ。日本の作家では現役で活躍する草間彌生、杉本博司、森村泰昌。さらに世界に影響を与えたアジアの作家として、ナム ジュン パイク、艾未未(アイ ウェイウェイ)などそうそうたるメンバーたち。

 常に世界中のさまざまな美術館で見られるこれらの作品は、その時代の前衛的な試みだった。当時を経験した人には、思わぬところで知人に再会したような懐かしさがこみ上げるとともに、その時代のアート界の雰囲気が甦ってくるだろう。

 原美術館館長である原俊夫は、日本に現代美術館を作ろうと40歳で思い立ち、作品の収集を始めたそうだ。作家のアトリエや自宅を訪ね、表現者が何を想い、制作に至ったか直接話を聞くことで学び、コレクションを築いてきた。そうしたひとつひとつ丹念に収集した美術館の顔であるコレクションは、館長の現代美術に懸ける情熱と約40年にわたる原美術館の活動を示している。

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空間とアートの融合

 原美術館の素晴らしい点のひとつに、空間とアートが融合していることが挙げられる。

 例えば、森村泰昌の「輪舞」。トイレのドアを開けると、ズボンを下ろしてひっくり返った人形が中空を見つめている。小部屋は万華鏡のようにガラス張りになっていて、人形のシュールな姿が無限に映し出される。人の気配に驚くとそれは鏡に映った自分の姿で、自分もアートに組みこまれてしまったことに気づきあっけに取られる。

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奈良美智「Eve of Destruction」2006年 カンヴァスにアクリル絵の具 117x91 cm ©Yoshitomo Nara (後期出品)

 屋根裏部屋のような奈良美智の「My Drawing Room」は、作家の脳内を覗くがごとく、制作の現場やアイデアがぎっしりとつまった小宇宙だ。紙からはみ出して壁にまで書きつけられたさりげない覚え書きに、制作者の孤独が記されているのを見つけドキリとしたり、見飽きることがない。

トリッキーでユーモア溢れる現代アートのマジック

 作品の斬新なアイデアに触れて驚いたり、ユーモアのセンスに笑いながら展示室を回覧する。その時ふと思う。もしかしたらトリッキーな現代アートたちがビジターの反応を楽しもうと待ちうけている……? そんなビックリハウスのようなイメージが浮かんでくるのは、既にアートのマジックに捕まったからか?

 現代アートの自由な表現の世界に触れ、帰り道で肩に背負った荷物が少し軽くなったような気持ちにさせられる美術館である。

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杉本博司「仏の海」より 1995年 ゼラチンシルバープリント50.8x61 cm ©Hiroshi Sugimoto Courtesy of Gallery Koyanagi (前後期出品)

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招待券プレゼントのお知らせ

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現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展
【会期】
2018年1月6日(土)~6月3日(日)
前期:1月6日(土)~3月11日(日)
【展示替え休館:3月12日(月)~20日(火)】
後期:3月21日(水・祝)~6月3日(日)
【開館時間】
11:00~17:00(祝日を除く水曜は20:00まで/入館は閉館時刻の30分前まで)
【休館日】
月曜(祝日にあたる2/12、4/30は開館)、2/13(火)、3/12(月)~3/20(火)、5/1(火)
【会場】
原美術館(東京都品川区北品川4-7-25)
【入館料】
一般1,100円 他 ※詳細は美術館Webサイトにて
【アクセス】
JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急線「北品川駅」より徒歩8分
【Webサイト】
http://www.haramuseum.or.jp

「原美術館」ご招待券プレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年2月13日に郵送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

2018年1月30日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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