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最終更新日:2017.12.27 公開日:2017.12.27

視覚障害者に安心を!ホーム転落から守るホームドアが増えてきた

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(c) JAF Media Works。ホームドアの設置されている駅のホーム。

ホームからの転落事故は毎年約3000件

 国土交通省によると、駅のホームから転落する事故は毎年3000件前後発生している。2016年度には3518件の事故が起こり、酒酔いによるふらつきであったり、歩きスマホによる前方不注意が主な原因であるという。なかでも特に危険にさらされているのが視覚障害者であり、昨年の転落件数は94件にも上る。

駅のホームは柵のない橋

 12月18日、大阪・阪急線の駅で目の不自由な女性がホームから線路に転落し、電車にはねられ死亡した事故が報じられたばかりだが、視覚障害者にとって(そして誰にとっても)、駅のホームは柵のない橋に例えられる。

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ホームドアが設置されていないホーム。(c) JAF Media Works

 国土交通省ではこうした駅のホームにおける転落事故防止に向けて、ハードとソフトの両面から安全対策を行っており、ハード面として効果的だといわれているのがホームドアである。東京都によると、都営地下鉄の4つの路線で発生した転落事故は、昨年度までの5年間で44件。すべてホームドアのない駅で発生している。

ホームドアとは?

 ホームドアとは、冒頭の写真のように、駅のホームの線路の近いところにフェンスを作って、列車が止まったときだけフェンスのドアが開いて乗客が乗り降りできる装置である。

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列車が止まった時に開いている状態のホームドア。(c) JAF Media Works

 2016年の国土交通省の統計では、視覚障害者のホーム転落事故件数(481件)の87.5%が利用者数1万人以上の中規模以上の駅において発生している。しかし、全国には1万人以上が利用する駅が2391件あるが、ホームドアを整備しているのは527駅と、約4割にも満たないのである。

 こういった状況を踏まえ、同省は利用者の多い都心の駅を中心に、ホームドアの設置を薦めており、都営地下鉄では、東京オリンピックまでに新宿線では全ての駅に、他の路線でも順次ホームドアの設置を進めていく予定だ。東京の地下鉄全体では、オリンピックまでにおよそ8割の駅にホームドアが設置される見込みである。

 今までホームドアが設置されてこなかった原因としては、費用面の課題だけでなく、特急列車や普通列車などドアの位置が異なるさまざまな種類の列車が乗り入れるため、ホームドアが設置しにくいという事情もあったという。最近はドアの位置が違う列車にも対応できるようにロープやバーが上下する新しいタイプのホームドアも出始めている。

私たちにできること

 ソフト面の対策として、国土交通省は昨年、ホームドアがない駅では原則として、駅員が視覚障害者を介助することを取り決めた。

 駅員だけでなく、私たち利用者にもできることがある。
 ホームで戸惑っている視覚障害者をみかけたら「お困りですか」と声をかけたり、まさにホームから転落しそうになっている時には「白杖(はくじょう)の方止まって!」など視覚障害者が自分のことだと分かるような具体的な呼びかけを行うことである。そういった呼びかけを率先して行う風土ができることが事故防止につながるのではないだろうか。

2017年12月27日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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