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ライフスタイル最終更新日:2017.11.29 公開日:2017.11.29

その9 / ハイウェイテクノフェア 空調服もすごいが、 おがくずトイレが凄すぎ。

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2つのファンがついた高視認性安全服の空調服。(c) JAF Media Works

 展示会・見本市の中でひっそりと咲く、専門性という不思議さが心をくすぐるモノを紹介する本企画。本日は東京ビッグサイトで11/21~22に開催された、高速道路の建設管理技術に焦点をあてた展示会「ハイウェイテクノフェア2017」にやって来ました。

 最初にこの展示会名を聞いたとき、テクノ音楽のフェスのことかと思った筆者。なんか疾走感がありカッコよいです。テクノの父・クラフトワークも「アウトバーン(ドイツの高速道路のこと)」という名前のアルバムを出していますしね。そんなことはどうでもいいですね……。

空調服で熱中症ゼロを目指せ!

 高速道路に関する技術、これだけで既に本コーナー好みなネタがてんこ盛りな展示会なわけです。ゆえに、つぶさに見ていくと会場に泊まり込むハメになるので的を絞らねば! そんな決心とともに会場に足を踏み入れた筆者の行く手を阻む止まれの標識のような物体ありき。

空調服の袖が結んであるのでファンから風が定期的に送り込まれると作業服が膨れるという実演。(c) JAF Media Works

 「空調服」というのをみなさんはご存知ですか?
 左右の腰の辺りに取り付けられた2つの小型ファンによって、服の中に外気を取り込み、汗を蒸発させることによる気化熱で身体を冷やす作業服のことです。

ファンは取り外し可でさまざまな現場に対応

 筆者の目の前に立ちふさがったのは、「ほらこ~んなに服の中に空気が流れていますよ」というデモンストレーションだった訳で、ファンから定期的に大量の風が吹き込まれている様子が一目瞭然で思わず「おお~」と声を上げてしまいました。

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風を送り込むファンは取り外し可能で洗うこともできます。(c) JAF Media Works

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ファンにはさまざまなオプションパーツが付属。左から木の枝などが入り込みにくくする保護ネット、火花をガードするメッシュ状の金属フィルター、グラスウールや鉄粉などの粉塵が服に入ることを防止するフィルターセット。(c) JAF Media Works

 空調服は工場や屋外作業などエアコンの使用できないような環境でも、快適に作業できるように開発されたもので、炎天下の高速道路の熱中症対策にも最適といえます。
 脱着が簡単にできるファンは、ポケットなどに収納できるバッテリーボックスか電池ボックスに接続して稼動します。

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上:リチウムイオンのバッテリーボックスは最大風量が7.2Vで、約8時間連続稼動が可能。また空調服を1日約8時間着用した場合、1か月の電気代は約50円と非常に安価であるそうです。下:ベルトにも装着できるバッテリーケースも販売しています。(c) JAF Media Works

「一度着たら手放せない」

 この空調服、着用者から「高温の現場でも効率よく作業でき、一度着たら手放せない」と言われるほど好評の製品なのです。風力は500kcalと200kcalがあり、毎秒約20リットルの送風能力を持つ500kcalシリーズ空調服は、日本気象協会推進の「熱中症ゼロへ」プロジェクトの公式アイテムに指定されています。

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作業服は土木建設業用、溶接用、農業・林業用など多彩なラインナップを備えています。上は汚れ作業時に便利は不織布製の使いきりのウェア。(c) JAF Media Works

 これだけではありません。同じくファンを使って温度調節をおこなう商品として、ヘルメット内に送風して内の温度を6.9℃低く、湿度を32%抑えることを実現した「空調ヘルメット」もあるのです。

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空調ヘルメット。(c) JAF Media Works

空調服の着用効果

 「無駄な汗をかかなくなり体力の消耗を抑える」、「汗がすぐに蒸発するので、汗臭が減りあせもなど汗による皮膚病になりにくくなる」、「1日10時間着用した場合の1か月の電気代は約20円とエネルギー・コストの節約になる」、「熱中症予防だけでなく、注意力、集中力、判断力低下が抑制できる」といった利点がある空調服は、水が蒸発する際に熱を奪う気化熱の原理を活用する打ち水にヒントを得て開発されました。

 汗をかくという行為は生理的な冷却システムといえます。人間の体に備わるこのシステムを作業服の中に風を通すことで最大限に発揮させるアイデア商品たる空調服は、高速道路だけでなく、ミカン農園、農業、建築現場など日陰のない過酷な環境で働く人々の助けになっている優れものアイテムなのです。

→ 次ページ:
高速道路のトイレ問題をスカッと解決

 空調服さんのブースにお礼を言い、次はと回りを見渡した筆者の目に飛び込んできたのは「けん引式バイオトイレカー」のトイレのマークです。

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黄色いペイントが目を引く、西日本高速道路メンテナンス中国株式会社のけん引式バイオトイレカー。車体の重量は750kg以下のため、けん引免許も不要である。(c) JAF Media Works

 11月19日は「世界トイレの日」でした。世界ではいまだに3人にひとりがトイレを使えないという実情があります。(記事はこちら)。

 誰でもトイレを我慢しなくてはならないというのはつらいですよね。日本では公衆トイレは全国にくまなく配置されており、サービスエリアにももちろんトイレがありますが、高速道路の本線上で働く現場作業員はトイレを我慢しているという現状があるそうです。
 作業中にトイレに行けるようになる、また事故などで本線上に長時間滞留をする人に対して「トイレに行けないストレス」を軽減するためのけん引式トイレがこのリフレッシュボックスです。

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小便用トイレ。(c) JAF Media Works

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大便用トイレ。両方とも衛生的かつ機能的な作りになっている。(c) JAF Media Works

 けん引車の中に入ってみると、まずテーブル付きのちょっとした休憩スペースがあり、リフレッシュボックス内にはエアコンも付いています。トイレは大小に分かれており、それぞれに水洗の手洗い場が設置されています。この簡易式トイレの優れたところは、おがくずチップを利用したバイオトイレであることです。

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排泄物がおがくずに攪拌され、有機的に分解処理するため悪臭が抑制される大便用トイレ。(c) JAF Media Works

 排泄物はおがくずチップで有機的に分解処理され、大小あわせて1日最大40回使用が可能です。これって少ないと感じるかもしれませんが、分解された排泄物を交換せずに半年から1年間、連続使用できます。使用されたおがくずは野菜などの肥料にも使えるそうで、地球に優しい循環システムであるのが素晴らしいです。

 作業現場に安心かつ快適で、女性も気軽に利用できるこのようなけん引式のバイオトイレカーは実はいままでなく、日本初の試みだということです。清潔なトイレの環境づくりは、労働者の尊厳を守ることで、作業の効率化にもつながるはずなので、普及してほしいものです。

2017年11月29日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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