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クルマ最終更新日:2017.08.21 公開日:2017.08.21

女性はエンジニアに向かない!? 米IT企業の求人広告に登場した 女性が話題に

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エンジニアのアイシス・ウェンガーさん(22歳)。© Isis Anchalee

 「女性はエンジニアに向かない」などIT業界での性差別的発言がアメリカで話題になっている。男性が多いIT業界では、多様化への取り組みが様々な形でなされているが、それに関連するニュースを3つ紹介したい。

エンジニアが魅力的な女性であるはずがない!?

 サンフランシスコのIT企業で働くエンジニアのアイシス・ウェンガーさんは、今ちょっとした「時の人」となっている。
 彼女は、働いている会社のリクルート用キャンペーン広告に名前、役職、会社で働くことが好きな理由を挙げて出演した。するとこの広告に対してSNS上でいわゆる炎上現象が起こったのだ。

 「こんなセクシーで魅力的な女性がエンジニアであるはずがない。この女性はキャンペーン用のモデルだ。」
 「女性を募集したいなら、セクシーな笑みではなく、温かみのあるフレンドリーな笑顔の方がいいのではないか。」
 「女性向けなのか?男性向けなのか?誰にアピールしているのかが明確でない、思慮の浅いキャンペーンだ。頭のいい人なら、仮にこの女性がソフトウェアエンジニアだと信じたとしても、(会社をアピールする)宣伝文句を真に受けないだろう。」

 など投稿は否定的な意見が多く、それに一番驚いたのは当事者のウェンガーさんだった。もともと内気で人から注目されることに関心がなかった彼女は、求人広告用キャンペーンにもあまり深く考えることなく承諾したからだ。

IT業界での差別の意見交換の場が社会現象に

 エンジニアと聞いてイメージするステレオタイプな人物像、つまりIT業界に存在する固定概念や性差別と直面することになった彼女は、Twitterで「#ILookLikeAnEngineer」というハッシュタグを使い始めた(上記の画像)。つまり仕事場で偏見や差別にさらされている人たちの意見交換の場を提供したのだ。
 すると24時間以内に26,000以上の投稿があり、「わたしもエンジニアです」と写真付きでツイートする女性など賛同者が続出し、今ではサンフランシスコの女性の間で#ILookLikeAnEngineerがブームになるほど社会現象になっているという。

 「#ILookLikeAnEngineerの目標は、どういう姿がエンジニアに相応しいのかを再定義することです。それがIT業界の多様性を妨げる無意識的な偏見を失くすための一歩になると考えています」とウェンガーさんは、Medium誌のインタビューで発言している。

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Googleでも差別的発言が

「女性はエンジニアに向かない」と主張したGoogle社員が解雇される

 2つ目は、今アメリカのIT業界で最もホットな話題のひとつである。
 米Google社の男性社員が多様性を否定する文書を社内で流し、その内容がTwitterで広がり世間で注目を集めた。これを受けてGoogle社最高経営責任者(CEO)サンダー・ビチャイ氏は、男性社員の文書の内容を批判するメールを全社員に告知した。結局その男性社員は解雇されたニュースを米国の各メディア が伝えている。

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© picture alliance / Christoph Dernbach/dpa

 米WIREDによれば、解雇された男性社員はジェームズ・ダモアさんといい、文書には「Googleが多様性に力を入れているのは会社にとって不利益だ。なぜなら男女は生まれながらにして違うものであり、女性は協調性があってストレスに弱いのでコーディングには向かない。無理にエンジニアとして雇うべきではない」という趣旨が書かれていたという。

 これに対してピチャイCEOは、文書の一部が性別に基づく有害なステレオタイプを助長しており、従業員の一部が生物学的にみてその仕事に不向きだと示唆する発言は侮辱的で容認できないとしている。

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Google社CEOサンダー・ビチャイ氏。picture alliance / Christoph Dernbach/dpa

 Googleは8月10日にこの件を話し合うため全社ミーティングを開催しようとしたが、ダモアさんの文書にSNS上で反対したGoogle社員が、右翼団体から名前を公表され嫌がらせを受ける事態が起こり、CEOは全社ミーティングをキャンセルした。
 その後、Google社内でダモアさんの文書に賛同する社員の声がマスコミに取り上げられたり、ダモアさん自身がツイッターに「@Fired4Truth」(真実のために解雇された)というアカウントを作ったり、Wall Street JournalにGoogleのロゴ入りのTシャツを着た写真と共に「なぜ私はGoogleに解雇されたのか」という文章を寄稿するなど、この問題はまだまだ続きそうだ。

米大手IT企業の60~70%が男性、半数以上が白人

 3つ目はTwitter社など大手IT企業が発表した統計である。
 2014年にTwitter社が公表したデータによれば、全従業員のうち女性が占める割合は3割、白人の割合は59%に上り、女性や白人以外の人種の登用が進んでいないことが明らかになった。
 また、技術職では女性の割合はたった1割にとどまるという。

 IT業界において従業員に関するデータを公表したがらない企業が多かったが、多様性の促進とともにFacebook、Yahoo、Googleなど大手企業が公表した統計によると全従業員の内、約60~70%が男性であり、半数以上が白人であることを米CNNが伝えている。

2017年8月21日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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