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最終更新日:2017.08.14 公開日:2017.08.14

インドで200の言語が絶滅! 世界には 消滅していく言語がこんなに!

歌川芳虎による江戸時代1863年の浮世絵。当時のアメリカ人の会話が記述されている。© picture alliance / CPA Media Co. Ltd

 「はじめに言葉ありき」と聖書に記されているように言葉は人と人とを繋ぐ大事なコミュニケーション・ツールであり、民族の文化やアイデンティティでもある、なくてはならない存在である。

200以上の言語が消失!?

 インドで過去50年間で230の言語が消滅したという調査結果を、AFP Newsが明らかにした。それによると膨大な数の先住民や部族民が住むインドにおいて、1961年の国勢調査では約1100もの言語が存在していたが、2013年の調査では870に減少した。
 理由としては、急激な近代化による都市部への人口移動と、カースト制度の下層とされるノマド(遊動民)が、母語を話さず出所を隠すことによって「嫌がらせ」を避けようとすることが挙げられている。
 インド国内では現在も480の部族言語が話されているが、交流の増加を背景としてヒンディー語と英語の話者の数が増加しているという。

インドの学校での授業風景。© picture alliance / ZB

日本にも絶滅に瀕する言語が!

 我が国にも消滅の危機に瀕する言語がある。
 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、消滅危機の言語地図「Atlas of the World’s Languages in Danger」を発行しているが、それによるとアイヌ語は、話者が10人以下で、平均年齢が80歳を超える「極めて消滅の危険度が高い言語」に当たり、数年後には母語の話者は消滅するだろうと懸念されている。

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少数言語の存続を庇護するスイス

 世界には6000~7000の言語があるとユネスコは発表しており、その中でアイヌ語と同じように話者10人以下の消滅危険度の高い言語は199もあるそうだ。英国ケンブリッジ大学の研究では、経済的に発展した地域ほど少数言語は失われやすいと言われている。

アイヌのまりも祭り。© picture alliance / Gavin Hellier/robertharding

多言語国家スイスの事情

 ヨーロッパ諸国で少数言語が保護されている例としてスイスが挙げられる。
 スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つである。この内ロマンシュ語は、グラウビュンデン州のアルプス渓谷地でしか使用されていない話者数が総人口の約0.5%に満たない少数言語であるが、同州のほとんどの小中学校でロマンシュ語の教育を行うことにより言語の保存に努めている。

スイスでは希少言語だけでなく聴覚障害者への配慮もなされており、大学の講義で聴覚障害者のために手話通訳者を手配した例もある。© picture alliance / BSIP

 スイスではドイツ寄りの地域はドイツ語、フランスに近い地域ではフランス語、ルガーノなど南スイスのイタリア近辺の場所ではイタリア語が話され、多くのスイス人は他地域の言語を話せなくても理解できるレベルの教育を受けている。
 ところで、スイスは吹き替えでなく字幕文化の国である。それゆえ、記者が滞在していた90年代には、TV画面の半分に近い面積を3か国語または2か国語のテロップが覆うという事態が起こっていた。多言語国家も大変である。

2017年7月14日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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