貨客混載可能に
旅客は旅客、貨物は貨物で、それぞれのサービスに特化してきた輸送業界。
現在輸送業界は、ドライバーなどの人手不足が深刻化している。そこで国土交通省は、貨物と旅客を同時に運べるようにするための規制緩和を9月にも行う。「貨客混載(かきゃくこんさい)」により、サービスのかけもちを可能にし、輸送業界の生産性向上を狙う考えだ。
今回の規制緩和により、路線バスはこれまで荷物の重量制限が350kgだったものが撤廃されることで、より多くの荷物を運べるようになる。また、過疎地域などの地域限定ではあるが、タクシーや貸切バスで荷物だけを運べるように。さらに、これまで貨物の輸送に限定されていたトラックでも旅客輸送が可能になる(こちらも地域限定)。
たとえば、タクシーは時間帯によって旅客数が大きく変わるが、その空いた時間を使って宅配の荷物を運ぶ。あるいは貨物輸送をしているトラックの経路途中で旅客を一緒に乗車させる、といったことが可能になるのだ。
もちろんバスやタクシーで貨物を運ぶ際の、積載できる重さには上限が規定されるし、貨物トラックで旅客を運ぶ際にはドライバーが2種免許を取得している必要がある。事業者としても旅客・貨物の各事業許可の取得が必要だ。
貨客混載による効率化によりどこまで輸送業界の活性化につながるか、各事業者の手腕がこれまで以上に問われることになる。我々ユーザーとしても、運賃の低価格化だけではない、新しいサービスの登場に期待したい。
2017年7月19日(JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一)