60~70年代カリフォルニアの ライフスタイルへのオマージュ、 ビートルの特別限定車
ザ ビートル デューン。© Volkswagen
60~70年代カリフォルニア・ビーチバギーの精神を
古き良き西海岸をイメージさせるクルマが登場した。「The Beetle Dune(ザ ビートル デューン)」である。1960~70年代アメリカ西海岸で流行したオフロード用カスタムカー「Dune Buggy(デューン バギー)」のオマージュだ。
オフロードスポーツが盛んなカリフォルニアでは、ビーチを走れるようにビートルを改造したバギーが一世を風靡した。ビートルのボディシェルは残して車高を高くし、大きく切り取ったフェンダー、切り詰められたエプロン、リアにむき出しで搭載されたチューニングエンジンなど、どんな場所でも走れるワイルドな外観が特徴だった。
70年代カリフォルニアの雰囲気を伝える写真。サーファーたちにとってビートルはファッションアイテムとして愛用された。© picture-alliance / Chad Ehlers
そういったデューン バギーの中で代名詞とも言われるのが1964年、ブルース・メイヤーズが販売した「Meyers Manx(メイヤーズ・マンクス)」である。
動画では、ブルース・メイヤーズ自身がメイヤーズ・マンクスについて語っている。
メイヤーズ・マンクスは、1968年日本公開映画「華麗なる賭け」にも登場している。ショートパンツ姿のスティーブ・マックイーンがフェイ・ダナウェイを乗せ、メイヤーズ・マンクスでビーチを疾走させるシーンは特に有名である。太陽、海、サーフィン、ポップアート、ヒッピーに象徴される開放的なカリフォルニアのライフスタイルは、Cal Look(キャルルック)と呼ばれ、世界中の若者の憧れの的となっていくのである。
メイヤーズ・マンクスは絶大な人気を博し、それを模倣した多数のバギーが世界各国で生産され、そして消えていった。ドイツでは1969年にフランクフルト・モーターショーで発表されたKarmann(カールマン)社のバギーはビートルをベースにしたものとして話題を呼んだ。
カールマン社が発表したバギー。© picture-alliance / dpa / Gutberlet
フォルクスワーゲン社自身も2011年に、同じくフランクフルトのモーターショーで、低迷しているフォルクスワーゲンのアメリカ市場を意識した「バギー アップ!」を発表している。
フォルクスワーゲン バギー アップ!。© picture alliance / dpa / Revierfoto
ザ ビートル デューンは、「The Beetle R-Line」がベースになっている。スポーティーなアンダーガードをフロントとリアに装備し、リアスポイラーも加え、専用サスペンションによって全高を15mm上げることによって、クロスオーバー感が強調されている。
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エクステリアとインテリアはブラックを基調としてイエローのラインが、ホイールやダッシュボード、ドアトリム、シートのステッチにアクセントとして施され、スタイリッシュさを際立たせている。
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ブルース・メイヤーズは、「メイヤーズ・マンクスのメッセージはfun。ドライブする楽しみであり、人生に喜びを見つけていく人たちにぴったりだ」と言っている。当時カリフォルニアで、人々は自由な気風の中、砂浜でのドライブを楽しんでいた。
ザ ビートル デューンは、オフロードでというよりは普段使いでの実用性がより前に出ているかもしれないが、自動車史のデザインアイコンたるビートルの特別仕様車に目が留まる人なら、独自のライフスタイルや楽しみ方を知っているに違いない。
ザ ビートル デューンは、6月27日から、フォルクスワーゲン グループ ジャパンで販売中。限定販売台数300 台。ボディカラーは「ディープブラックパールエフェクト」の1 色のみで、全国希望小売価格は3,269,000円(税込)である。
1971年の写真、フォルクスワーゲン「キャンパー」とビーチ・バギー。© picture-alliance / /HIP / National Motor Museum
2017年7月7日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)