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クルマ最終更新日:2017.05.18 公開日:2017.05.18

「歩きスマホ」事故増加の対策として、 ヨーロッパで地面に埋め込んだ信号機が設置

 スマートフォンの普及に伴い、ゲームやSNSに夢中になって起きる交通事故が社会問題となっている。ドライバーによるわき見運転だけに留まらず、歩行者が手元の画面操作に意識を集中しすぎるあまり、信号機に気がつかず車にはねられる事故も少なからず報告されている。JAFでもこうした「ながらスマホ」の危険に対する啓発活動を、ポケモンとも協力しながら力を入れているところだ(次ページ末の外部リンク参照)。

 これは日本特有の事象ではない。企業Dekraの研究チームは2016年に、アムステルダム、ベルリン、ブリュッセル、パリ、ローマ、ストックホルムの6都市で14,000人の歩行者の行動調査を行った。すると、約17%の歩行者が「歩きスマホ」をしており、中でも25~35歳の年齢層では、22%がスマホ操作を「集中的に」行っていることが明らかになった。

 こういった歩きスマホをして信号機を見ない歩行者のために、画面を見下ろす視点の先、つまり地面に信号機を設置する試みが、オランダの地方都市で行われ話題になっている。

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Foto: Edwin Bruining / HIG Traffic Systems

 この地面に設置された信号機は、頭上の信号機とシンクロしたライン状のLED照明で、設置したのはオランダ西部のボーデグラヴェン・レーウェイク。同自治体に拠点を置く企業HIG Traffic Systemsが開発した「+ Lichtlijn」というプロジェクトで、現在は学校が集中する地区の1か所のみで試験的に運用されている。事故防止の効果が見込めれば、幅広い地域での採用も検討されているという。

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Foto: Edwin Bruining / HIG Traffic Systems

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賛否両論が。そしてドイツでも

 同自治体地方議員のキース・オスカム氏は、SNS、ゲーム、WhatsApp、音楽が及ぼす影響力の多大さを指摘し、「歩行者の行動を変えることは不可能だが、なにかしらの交通安全対策を実施したかった」と述べている。

 それに対し、オランダ交通協会ジョゼ・デ・ジョン氏は、「そのような信号機の設置は、スマホユーザーが従来の信号機を見ない傾向を増長させるだけで、良い策ではない。歩行者は、赤信号でも車が止まっているか必ず安全確認すべきである」と反論した。

ドイツでも歩きスマホの事故が増加

 ドイツでも若者を中心に、歩きスマホによる事故が増加している。それを受けて南ドイツのアウグスブルク市では、4月に路面電車の信号において、同じような歩きスマホ事故を防ぐための信号機が設置されたばかりである。

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ドイツ・アウグスブルクの歩きスマホ事故対策用に地面に埋め込まれた信号。©dpa

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スマホ画面を見下ろす視点の先に信号機が点滅する仕組みだ。 ©dpa

2017年5月18日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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