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最終更新日:2017.02.09 公開日:2017.02.09

【オートモーティブワールド2】東南アジアで活躍中! 個性派揃いの日本製EVたち

 1月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催された、第10回オートモーティブワールド。

 同展示会は、第10回国際カーエレクトロニクス技術展、第9回EV・HEV 駆動システム技術展、第8回クルマの軽量化 技術展、第6回コネクティッド・カー EXPO、第4回自動車部品&加工 EXPOという、合計5つの展示会で構成される世界最大級の自動車先端技術展だ。

 続いては、第9回EV・HEV 駆動システム技術展において、会場で見かけた3輪車を含めたEVを紹介する。

 EVというと、日産「リーフ」やテスラのクルマを思い浮かべる方も多いかも知れないが、実は自動車メーカー以外の、ものづくり系企業による東南アジア向けの開発が進む。東南アジアは経済発展が著しいが、国民全員の生活レベルが高くなったというわけではなく、まだまだエコカーの普及は進んでいない。現在でも、エンジンそのものやマフラーの触媒機能などが劣悪な中古車も多量に利用されているため、特に台数の多い都市部などは大気汚染が問題となっている。

 東南アジアの国々の政府もそれを理解しており、国家プロジェクトとしてEVなど、エコカーの導入を進めている。日本のものづくり企業はそうした状況を見て東南アジア向けのEVを開発し、実際に導入に至ったり、走行試験などにこぎつけたりしている。今回出展されていた、東南アジアに進出する日本製EVを掲載する。

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すでにフィリピンで導入が進んでいる3輪EVをまずは紹介!

3000台の受注に成功した渦潮電機の3輪EV「68VM」

フィリピンで3000台の導入が決定して量産が進む渦潮電機の乗り合いタクシー向け3輪EV「68VM」。

 まずは、渦潮電機の「68VM」を紹介。アジア開発銀行とフィリピン・エネルギー省による同国の電動3輪車(3輪EV)プロジェクトから3000台の受注の獲得に成功し、同社の現地パートナーであるアルマゾーラ社において量産が始まっている3輪EVだ。フィリピンなど東南アジアでお馴染みの乗り合いタクシー向けのEVである。

 フィリピンも排ガスによる大気汚染が進んでおり、EVなどの普及が急がれている。そうした状況から同社は乗り合いタクシー市場でもエコカーの導入が進むと推測。2012年から低速電動車両(E-Trikes)として3輪EVの開発を開始し、現地走行試験を行うなどして、着実に開発を進め、16年1月に3000台の受注に成功した。

 68VMは、最高時速50km、1充電当たりの航続距離50(フリー走行)~60km(時速20kmでの定速走行)。搭載モーターの最高出力は10kW、最大トルクは70N・m。乗車定員は、ドライバー1名+乗員6名だ。

 68VMのフィリピンでの導入は、独立行政法人国際協力機構のプロジェクトによるケソン市でのE-Trikes普及実証事業や、フィリピン大学構内車両としての共同試験運行などにより、これからも続く見込みだ。今後、同社は年間1万台の受注を目指していくとしている。

68VMの運転席。前が1輪の3輪車なので、ステアリングはバイク型となっている。

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ラオスでも日本製EV3輪が実証実験中!

ラオスで実証実験中のプロッツァの3輪EV「E-TukTuk」

プロッツァがラオス向けに開発中の乗り合いタクシー向け3輪EV「E-TukTuk」。

 トヨタ系列の豊田自動織機のブースで展示されていたのが、同社製電動フォークリフトシリーズに搭載されている産業車両用AC誘導モーターを採用した、プロッツァ社の3輪EV「E-TukTuk」のプロトタイプだ。

 E-TukTukは環境省による「途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業」の補助金を受けて開発されているEVで、国を挙げてEVの普及を目指しているラオスの二酸化炭素削減や大気汚染の改善に貢献することを目的としている。

 東南アジアで普及している「トゥクトゥク」や「サムロー」などのガソリン3輪車に代わることを目指しており、日本国内での試験走行に加え、16年10月からはラオス南部の大都市パクセで走行試験がスタートした。

 E-TukTukには乗客用、乗客&貨物用、貨物用の3タイプがあり、パクセでの走行試験には各タイプ2台ずつ計6台が投入されている。なお、画像の展示車両は乗客用だ。どのタイプも同じプラットフォームで開発されており、用途に合わせてシートレイアウトを選択できるようになっている。

E-TukTukの運転席。ステアリングは、68VMと同じバイク型だが、俗にカマキリハンドルといわれるタイプ。

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万が一の洪水に巻き込まれても浮いて移動もできるEV!

耐水害機能も有した4人乗りEV「FOMM Concept One」

FOMM社製の4人乗りEV「FOMM Concept One Phage III(FOMM3)」。耐水害機能も備える。

 分析や解析、試験などを手がけるクオルテックのブースに展示されていたのが、FOMM社製の4人乗りEV「FOMM Concept One Phase III(FOMM3)」だ。2014年2月にPhase Iが発表され、現在はPhase IIIまで開発が進んでいる。

 社名と車名の両方に使われているFOMMとは「First One Mile Mobility」の略で、自宅から最寄り駅位までの遠くても1マイル(=約1.6km)を移動するための近距離用モビリティを意味する。

 FOMM3はFFインホイールモーター(最大出力5kW×2、最大トルク280N・m×2)により駆動し、アクセルコントロールを手で行う点が特徴的。カセット式に設計されたリチウムイオンバッテリーを最大で6個セットでき、最大搭載時は市街地走行モードで約100kmの航続距離を実現する。

 また、万が一の洪水に巻き込まれた際は、緊急用の機能として水に浮いて、ジェット水流装置で極低速ながら移動できる耐水害機能も有している。なおこの耐水害機能は、タイを中心とする、現在も河川の氾濫により洪水が発生しやすい東南アジアをマーケットとして目指しているために設けられた。ただし、常時の水上移動には対応していないため長時間の移動はできないし、また水上での緊急移動を行った後は保守点検が必須だ。なお、タイでの販売開始時期は、18年を予定。

コックピット。ステアリングは、バイク型でもなければクルマ型でもない、飛行機の操縦桿に近いような、SF映画などに出てくる未来のクルマ系。

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最後はリバーストライクから改造された試作EV!

豐通エレクトロニクスが開発中の試作3輪EV

 最後は、豊通エレクトロニクスが、リバーストライク(前2輪後1輪の3輪車)をベースとして開発した、コンバートEV。正式名称は特に公開されていない。

 ナンバーは取得されており、実際に日本国内での公道走行が可能だ。モーターの最大出力は11.7kW、1充電航続距離は約160kmとなっている。

リバーストライクなので、前が2輪なので、一見するとスポーツタイプのオープンカーのようなイメージ。

後方から見ると、ご覧の通り1輪。速そうなイメージ。

2017年2月9日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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