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最終更新日:2016.12.02 公開日:2016.12.02

国交省+NASVA、2016年度前期自動車アセスメント評価結果(JNCAP)を発表

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歩行者に対する被害軽減ブレーキ評価試験デモンストレーションの一場面。実際に、試験の様子が再現された。

★★最新の2017年度前期の評価結果が2017年10月26日に発表されました。10月31日に追加発表された1車種分も含めて、9車種をランキング形式にしてこちら「JNCAP予防安全2017年前期発表! 最新9車種をランキングで紹介」でアップしました(新しいタブが開きます)。ぜひ併せてご覧下さい!★★

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 国土交通省並びに独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)は、12月1日、「平成28年度前期自動車アセスメント評価結果」を発表した。

np161202-01-02.jpg 最近は安全性能をセールスポイントにする新車も増えてきたが、その性能がどのくらいのレベルにあるのかは、ユーザーには調べようがない。そこで、公的機関がその安全性を試験、結果を公表し、ユーザーの安全な車選びに役立ててもらうとともに、自動車メーカーによる安全機能の開発に拍車をかけようというのが、「自動車アセスメント」通称「JNCAP」(ジェイ・エヌキャップ)である。

 対象になるのは、おもに販売台数の多い新車で、車の他にチャイルドシートの試験も行われている。また、NCAPは、欧州のユーロNCAPを始め、米国、オーストラリア等世界各国で実施され、相互に情報交換も行われている。

 その今年度前期の結果が発表されたわけだが、今回、新たに加わった試験が、歩行者に対する被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)である。ちなみに、車両を対象にした被害軽減ブレーキや、車線はみ出し警報装置などの予防安全技術は、2014年度から試験が行われている。

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対歩行者被害軽減ブレーキ試験とは?

車両の影から歩行者が出てくる厳しい条件でもテスト

 歩行者に対する被害軽減ブレーキの試験が開始されたのは、平成20年以降、交通事故による死者の内、歩行者の割合が最も高くなっているためだ。

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状態別の交通事故死者数の推移。平成20年より逆転し、それ以来、自動車運転中よりも歩行中がトップの状態が続いている。

 被害軽減ブレーキの対歩行者試験は、道路横断中の歩行者を模擬したターゲットに対し、時速10~60kmでクルマが接近していき、そのクルマの警報および被害軽減ブレーキの動作状況を確認するというもの。実際の事故の状況から、見通しのよい道路を横断する場合と、駐車しているクルマの陰から道路を横断する場合の2種類の交通環境が想定されている。

 性能評価は、実験条件毎に、警報または被害軽減ブレーキの作動により衝突を回避できたか否か、衝突してしまった場合でも衝突時の速度をどこまで低減できたかによって、実際の事故の被害状況から計算された得点が与えられ、その合計で行われる。

すべての試験車が最高ランクの「ASV++」を獲得!

 予防安全性能試験のすべての得点を合わせた満点は71点。内訳は、被害軽減ブレーキの対車両が32点満点、同じく対歩行者が25点満点、はみ出し警報が8点満点、後方視界情報が6点満点である。そして、これらの合計が46点を超えると「ASV++(ダブルプラス)」評価となり、12点を超えると「ASV+」評価となる。ASVとは「先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle)」の略で、今回試験された11車種は、すべて「ASV++」を獲得した。個別の得点には差があるものの、全ての車種の予防安全装置が事故防止に役立つことが確認されたことになる。

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テスト車両の車内。試験は条件を合わせることが重要なため、試験車両は、ステアリング、アクセル、ブレーキのすべてをロボットと呼ばれる機械が操作する。

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そして気になる最高得点車両は? ランキング発表

最高得点を獲得したのはマツダ「アクセラ」

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マツダ「アクセラ」。同社の予防安全の最新技術が投入されているという。

 最高得点はマツダ「アクセラ」で、満点に近い70.5点。100点満点でいうと99.3点という高得点を獲得した。被害軽減ブレーキの対歩行者において0.5点だけ及ばなかった他は、すべて満点だった。

 マツダの被害軽減ブレーキは「アドバンスト・スマート・シティ・サポート」といい、モービルアイ社製のフォワード・センシング・カメラが採用されている。歩行者検知を行える作動速度域は、約10~80kmである。

 今回得点が高かったことの理由は、カメラの画角が広いことから早い段階から歩行者を認識できたことが理由のひとつだという。画角を広げると情報量が多くなり、また対象の歩行者画像は小さくなるため高度な画像認識技術が必要になるが、そのハードルをクリアしたわけだ。ちなみに、カサをさしていたり、大きなカバンを持っていたりするなど、シルエットが人間らしくなくなると、若干認識率が下がるという。

 アクセラを始めとする5車種の体験試乗も結果発表会で行われ、被害軽減ブレーキが歩行者ダミーに対して実際に働く様子も、車内外から動画で撮影してきたので、後ほど公開予定の記事でご覧いただきたい。

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モービルアイ社製単眼カメラは、フロントウィンドウ上部の中央、ドライバーから見てルームミラーの向こう側の、比較的ジャマにならない定番の位置に装備されている

11車種の得点ランキング

 各車種の得点は以下の通りだった。71.0点満点だが、感覚的にわかりやすいよう、カッコ内に100点満点に換算した点数も追加した。その後ろの得点は、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキに関する得点。ASV++の評価を受けられる71点満点中の46点以上は、100点満点で64.8点以上となる。

1位:70.5(99.3)点/24.5点 アクセラ(マツダ)
2位:69.5(97.9)点/23.5点 フォレスター(スバル)
3位:68.9(97.0)点/22.9点 インプレッサ(スバル)
4位:68.5(96.5)点/22.5点 レヴォーグ/WRX(スバル)
5位:68.1(95.9)点/22.1点 プリウス(トヨタ)
6位:68.0(95.8)点/22.0点 レガシィ(スバル)
6位:68.0(95.8)点/22.0点 RX(レクサス)
8位:67.9(95.6)点/21.9点 GS/GS F(レクサス)
9位:67.3(94.8)点/21.3点 クラウン 3車種(アスリート/ロイヤル/マジェスタ)(トヨタ)
10位:66.3(93.4)点/20.3点 イグニス(スズキ)
11位:58.4(82.3)点/12.5点 フリード/フリード+(ホンダ)

2016年12月2日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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