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最終更新日:2018.09.18 公開日:2018.09.18

レシピ15:「甘い結末」の作り方

2017年5月号より『JAF Mate』で始めた「MINIATURE “CAR” LIFE」。約1年半の間に15作品を皆さんにご覧いただきましたが、これで最終回。同時に、この「Park blog」で連載していた「撮影の舞台裏」も、これで最後になります。さて、「MINIATURE “CAR” LIFE」らしい終わり方って、何だろうと考えて、僕が出した答えがコレ。

たまたまなのですが、第1回の「この辺りで、お昼ごはん♥」、第6回の「紅葉への道のり」で、同じ設定のカップルを作品の中に登場させました。

第1回は、初デートでドライブへ。女性は、頑張って手作りしたサンドイッチを持ってきました。第6回では、友達とWデート。彼氏の愚痴(=ノロケ)を友達と言い合う、若い男女にありがちな微笑ましいドラマもMINIATUREの世界に表現しました。
そう、作品のタイトルのように、この2人に結婚という「甘い結末」を迎えてもらうことが、JAF Mate連載の最終回=結末にふさわしいと考えたのです。

晴れの日の舞台は、大小のホールケーキを連ねたショートケーキ。
まるでウェディングケーキのよう。
ホイップクリームとイチゴの並木の間をピンク色のキャデラックがゆっくりと走り出す。
車につながっているのは、空き缶に模したチョコスプレー。
2人を祝福するガラガラとした、ちょっと騒がしい福音が聞こえてくるようだ。
その奥には2人の両親、親戚、そして友達たち。
真っ白な道……。
これからどんな色の道を進むかは、2人次第。

JAF Mateでは、この連載は終わりますが、私のライフワークである「MINIATURE CALENDAR」は、続きます。
ゴールであり、スタートでもある結末がぴったりだと思えたのです。
では、最後となる「甘い結末」の作り方をご覧ください。

→次ページ: 「甘い結末」を表現した材料

「甘い結末」を表現した材料

トミカプレミアム「No.25 キャデラック エルドラド ビアリッツ」864円(税込み)

今回、ウェディングカーにぴったりの車として選んだのがこちら。2人の晴れ姿がしっかり見えるようにしたかったので、オープンカーありきでミニカーを探しました。調べるとオープンタイプはスポーツカーばかり。結婚式にはしっくり来ないな、と困っている中、見つけたのが、このレトロなキャデラック。「ザ・アメリカ西海岸」的な車なので、ハッピーな感じが増してませんか?

最終回もプライザー社のフィギュアを使用。ジオラマ好きの間では有名なメーカーさんなのですが、私の連載で何度も出てきたので、流石に読者の皆さんも、もう覚えてしまったんじゃないですか? 右は牧師をはじめ、結婚式のためにドレスアップした老若男女。左の新郎新婦は、当然、加工しています。そのやり方についは、次ページを確認してください。

大小のホールケーキ、イチゴ、ホイップの食品サンプル

本物のようですが食品サンプルです。絞り出したホイップを作品のように並べることが、本物だとできるかどうか、想像してもらえればわかるはず。市販のものを使う場合もありますが、私は特注で作ってもらうことも。この大小のホールケーキもそうなんですよ。

→次ページ:「いよいよ制作!」

いよいよ制作!

(1)ウェディングドレスが風になびく様を表現

キャデラックのミニカーに新郎新婦を載せるにあたり、まずは運転をする新郎の下半身をカット。足腰の関節が曲がるわけではないので、ミニカーの運転席に座っているように見せるにはそうするしかないのです。続いて新婦。まずは元の状態ではブロンドだったので、髪を黒くして日本人ぽく。続いて、オープンカーに乗っているのだから……と、リアリティを持たせるため、頭部に付くベール部分を一度カットし、斜めに接着し直しました。ほら、風になびいているように見えませんか?

(2) 遠近法を用いて食品サンプルを配置

作品の奥行きを出すため、奥に小径、手前に大きいホールケーキを並べました。上に載せたイチゴ、ホイップも同様です。

並べ終わったら、レンズに向かって手前に主人公となる新郎新婦が乗るミニカーを配置。そこにフィギュアを載せます。フィギュアの配置などの細かい作業には、鶴首のピンセットを使うと便利ですよ。

(3)空き缶を表現したチョコスプレー

ミニカーのリア部分に細い針金を数本配置。本当に接着してもいいのですが、写真ですので、つながっているように見えればOK。その先に色とりどりのチョコスプレーを数個、置きました。当然、これも接着などしていません。

(4)マクロレンズで超接近撮影!

今回、撮影で使ったのは超広角ながら、近距離で撮影できるレンズ。超広角の歪みを利用して新郎新婦の親戚縁者たちが、遠くに見えるよう表現しました。実際は、20センチほどしか離れていないのですが、そうは見えないですよね?

ミニチュア写真家:田中達也(たなか たつや)

1981年、熊本県生まれ。広告関連のアートディレクションに携わりながらInstagramにアップしていたミニチュア作品が大人気に! 「ミニチュア写真家」へと転身する。2017年に話題を呼んだNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックのミニチュアも手がけた。「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」が国内外各地で開催中。

写真集『MINIATURE LIFE』『MINIATURE LIFE2』(水曜社)を上梓。
彼の作品は、http://miniature-calendar.comをチェック!

企画構成・文/寺田剛治

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