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公開日:2026.04.01

外環道「東名~湾岸」延伸が前進! ルートは東京側・川崎側どちらになる?「首都高接続部」の検討結果が発表【いま気になる道路計画】

首都高羽田線とアクアライン方面をつなぐ大師ジャンクション。将来はここへ外環道がつながる可能性も

東京外かく環状道路(外環道)は現在、関越道 大泉JCTから南下し、東名高速に接続する区間で整備が進められている。一方、その先の区間「東名高速~湾岸道路」計画については、いまだルート帯の検討段階にとどまっている。そんな中、2026年3月26日に開催された検討会で新たな動きがあった。今後の展開について、詳しく見ていこう。

首都高羽田線とアクアライン方面をつなぐ大師ジャンクション。将来はここへ外環道がつながる可能性も

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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具体化のカギは「東京側 vs 川崎側」ルート

外環道「東名~湾岸」工区の概要。

外環道「東名~湾岸」工区の概要。

東京外かく環状道路(外環道)は、都心からおよそ15km圏の郊外を通り、千葉・埼玉・東京・神奈川を環状に結びながら、放射状に延びる各高速道路を相互に接続する路線だ。外環道のおかげで、例えば常磐道と関越道を行き来する際も、首都高の都心部を経由せずに済み、混雑回避に大きく寄与している。

外環道は現在、千葉県の東関東道および首都高湾岸線と接続する「高谷JCT」から、反時計回りに関越道「大泉JCT」までの約50kmが開通済みだ。さらにその先、中央道・東名高速へとつながる約16kmの区間では、整備が進められている。

東名高速の先に続くのが、多摩川に沿って再び湾岸線へと至る最終区間「東名~湾岸」工区だ。しかし、この区間はまだ事業化には至っておらず、概略ルートすら定まっていないのが現状だ。

大きな焦点となっているのが、多摩川の東京側を通すのか、それとも川崎側を通すのかというルート選定だ。特に川崎側には、ほぼ並行する形で高規格道路「川崎縦貫道路」計画が存在しており、外環との整合や一本化をどう図るかが課題となっている。政治的な判断も含め、難しい調整が求められている状況にある。

最新の検討会では「アクアライン直結ルート」がやや優勢に?

外環道「東名~湾岸」工区の東京側ルートと川崎側ルートの比較。川崎側がやや優勢とみられる。

外環道「東名~湾岸」工区の東京側ルートと川崎側ルートの比較。川崎側がやや優勢とみられる。

そんな中、2026年3月26日に国土交通省の会議が開かれ、「東名~湾岸」工区の概略ルート検討に一定の前進が見られた。内容を見ていこう。

今回前進したポイントは、前回会議からの宿題だった「首都高への接続部」に関する状況比較だ。外環道を東京側・川崎側のどちらに通すかによって、接続部がどのように変わるのかが整理された。

【東京側ルート案】
羽田線に「昭和島JCT」、湾岸線に「東海JCT」で接続する構想。
【川崎側ルート案】
羽田線に「大師JCT」、湾岸線に「川崎浮島JCT」で接続する構想。つまり、すでに開通済みのアクアライン延伸部「首都高速 神奈川6号 川崎線」に直結する形となる。

ルート比較で“重視”されている判断軸は、周辺の渋滞緩和、羽田空港と東京港・川崎港・横浜港のアクセス、観光振興、実際に整備する際の事業性という4点に絞られている。それぞれの比較は下記の通り。

●渋滞緩和
特に大きな差はないとされる

●空港・港湾アクセス
東京側(昭和島・東海JCT):もともとの著しい渋滞区間に、さらに交通が集中するおそれがあり、渋滞悪化が懸念される
川崎側(アクアライン直通):交通の分散が期待でき、著しい渋滞区間を回避したアクセス向上につながるとされる

●観光振興
東京側:周辺観光地へのアクセス向上が見込まれる
川崎側:周辺観光地へのよりスムーズな移動が可能となる

●事業性
東京側:昭和島・東海JCT周辺に、連続した公共空間がなく、大規模な土地改変が必要となる。東海JCTでは新たなランプ整備も求められる
川崎側:国道15号~大師JCTは、すでに川崎縦貫道路のために確保された事業用地がある。大師JCTはランプ新設が必要ない

この比較を総じて見ると、「川崎側ルートの優位性」が感じられる内容だ。特にアクセス性と事業性の面など、クリティカルな部分で川崎側のメリットが目立つ状況だ。

このように川崎側の優位が見え始める中で、今後の焦点はそれを覆すほどの「東京側の優位性」が示されるかどうかだ。川崎側と同程度もしくは、それを上回るほどの社会的意義や政策的な理由が新たに示される必要がある。

もっとも、現時点で「勝負あり」と断じるのは早い。ただし、今回の検討内容を見る限り、国交省が少しずつ方向性を固め、「既成事実」を積み上げているようにも映るのだ。

最終決定に向けた次の検討課題は「第三京浜との接続」

外環道「東名~湾岸」工区の次なる検討課題は、第三京浜との接続だ。

外環道「東名~湾岸」工区の次なる検討課題は、第三京浜との接続だ。

では、次回の「第9回会議」で最終判断が下されるのか……というと、そうではなさそうだ。新たな検討課題として浮上したのが「第三京浜との接続部」をどうするかだ。

ここで焦点となるのは、すでに開通済みの「横浜北西線」と整備が進む「圏央道延伸部(藤沢~横浜)」の存在だ。横浜北西線は2020年に開通し、横浜青葉JCT~港北JCTで東名高速と第三京浜を結んでいる。

一方の圏央道は、新湘南バイパスからさらに東へ延び、地下トンネルで横浜市栄区へ到達。そこから釜利谷JCTで横浜横須賀道路へ接続。横浜市を東西に横断する新たな高速ネットワークを形成する計画となっている。現在は、「藤沢~栄」を通る長大トンネルにおいて、2本目の掘削工事が進められている。

この圏央道と横浜横須賀道路が直結すれば、東京方面にとって「東名高速」に代わる新たなルートが誕生することになる。東名高速の渋滞を避けるドライバーは、釜利谷経由で湾岸線や横浜新道、第三京浜へと流れ込む可能性が高い。

こうした新たな交通流を踏まえ、外環道を第三京浜の東京側・川崎側のどちらに接続するのか。あわせて、ジャンクション予定地周辺に支障物件がどの程度存在するのかといった点も含め、引き続き比較検討が進められていく見通しだ。

その先については、「計画の基本的な方針の取りまとめに必要となる検討を進めるとともに、引き続き、川崎縦貫道路の計画と一本化する場合について、整備効果や起終点等についての検討を進める」とされている。ただし、この表現は従来から使われているもので、現時点で方向性が明確になったとは言いがたい。

果たして今後の検討では、第三京浜との接続以外に「新たな検討テーマ」が示されるのだろうか。可能性としては、目黒通りや中原通り、第二京浜(国道1号)などといった一般道路との接続が議論に加わることも考えられる。

あるいは、さらに次の「第10回会議」で「計画段階評価を進めていく方針」が打ち出される可能性もある。そうなれば、2回程度の地域アンケートを経て概略ルートが絞り込まれ、都市計画決定と環境アセスメントを経て、いよいよ事業化が視野に入ってくる。

2016年の協議会設立からすでに10年目。外環道の「東名~湾岸」区間は、ようやく計画具体化の最終段階に差し掛かりつつある。最終的にどのルートが選ばれるのか、引き続き動向を注視していきたい。

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