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公開日:2026.03.13

羽田空港への新ルート? 都心から直結する「海岸通り延伸」構想とは。昭和島から先を延伸する空港アクセスの現状【いま気になる道路計画】

羽田空港周辺の様子。(c)show-m – stock.adobe.com

東京都の港区~大田区を通る都市計画道路「海岸通り」を羽田空港方面へ延伸する“新たな都市計画道路”の構想がある。現在は途中で行き止まりになっている区間をつなぎ、空港アクセスの強化を図る狙いだ。その計画概要やメリット、現状を見ていこう。

羽田空港周辺の様子。(c)show-m – stock.adobe.com

文=鳥羽しめじ

資料=東京都、国土交通省

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混雑する羽田空港アクセス、北側からの新道で解消?

現在の羽田空港アクセスとなる道路網。

現在の羽田空港アクセスとなる道路網。

羽田空港への道路アクセスは、主に「首都高湾岸線」とその側道である「国道357号」、あるいは蒲田方面からアプローチする「環八通り」が担っている。また、首都高羽田線も空港西側に出入口を有している。

しかし、これらのルートは慢性的な混雑が課題だ。特に一般道では交通量が多く、ピーク時は空港到着までの所要時間が読みにくい状況にある。

一方、羽田空港ではターミナル機能の拡張に加え、5本目の滑走路整備構想なども検討されており、今後さらなる需要増加が想定されている。そのため、増加する空港アクセスを支える道路インフラの強化もあわせて求められているところだ。

そこで東京都が構想しているのが「海岸通り延伸」という新ルートだ。

東京都は「新たな都市計画道路の検討」対象として、「⽻⽥空港周辺地域における道路網の拡充」を掲げている。

東京都は「新たな都市計画道路の検討」対象として、「⽻⽥空港周辺地域における道路網の拡充」を掲げている。

「海岸通り延伸」計画は、東京都の都市計画道路の整備方針「第四次事業化計画」において、新たな都市計画道路として検討すべき路線にリストアップされているものだ。

この10か年計画は2025年度が最終年度となるが、羽田空港アクセス道路は都市計画決定には至っていない。そのため、次の「第五次事業化計画」へ、いわば宿題として引き継がれる見込みとなっている。

では、具体的なルートを見てみよう。

「海岸通り」は汐留や天王洲アイル、大井競馬場などを経由する、都心港湾部を南北に貫く幹線道路だ。ただし現在は、昭和島付近で行き止まりとなっている。

今回の構想は、この海岸通りをそのまま南へ延伸し、羽田空港のある空港島まで直結させようというものだ。延伸距離は約1.3kmとされている。

実現すれば、都心側から羽田空港へ向かう新たなアクセスルートとなる。現在、湾岸部の主要ルートとなっている「国道357号」の代替ルートとなる役割も期待される。千葉方面やお台場方面から流入する国道357号に対して、海岸通りは都心部から直接つながるルートとなる点も特徴だ。

昭和島止まりの「海岸通り」を延伸

海岸通りは天王洲アイル以南で一部未完成になっている。

海岸通りは天王洲アイル以南で一部未完成になっている。

おりしも、国道357号では羽田空港からさらに先、川崎方面への延伸工事が進行中だ。千葉・東京・神奈川を結ぶ広域ネットワークの強化が目的だ。これを踏まえると、羽田空港へ向かう交通流の一部を海岸通り経由へ分散させる効果は小さくない。

都心側でも、近年は交通環境が変わりつつある。2022年には、都心~晴海・豊洲方面を立体交差で結ぶ、環状第2号線「築地虎ノ門トンネル」が全線開通。汐留周辺で発生していた信号待ち渋滞が緩和され、海岸通り周辺の交通流も一定程度整理された。

さらに都市計画上では、海岸通りを天王洲アイルからそのまま南進させ、首都高羽田線の側道として勝島まで整備する「放射第18号線」構想も残っている。最終的には昭和島付近から蒲田方面へつながる想定だ。

「海岸通り延伸」計画は次の10か年に持ち越し、具体化はいつになる?

羽田空港の機能強化事業。JRの「羽田空港アクセス線」などの項目はあるが、道路整備は計画されていない。

羽田空港の機能強化事業。JRの「羽田空港アクセス線」などの項目はあるが、道路整備は計画されていない。

「海岸通り延伸」計画はどこまで進展しているのだろうか。

先述のとおり、第四次事業化計画の10年間で大きな具体化は見られなかった。東京都から明確な方針が示された形跡もなく、構想は次の「第五次事業化計画」へ持ち越される見込みとなっている。

地元の動きも静かなままだ。大田区が策定した「空港臨海部グランドビジョン2040」をはじめ、近年の各種計画でも、この海岸通り延伸への言及は見当たらない。東京都議会や大田区議会でも、この構想をめぐる目立った議論がおこなわれた記録は確認できない状況だ。

背景には、この構想が他のまちづくり方針などと明確に結び付いていない点にある。検討のきっかけとなる政策目的が薄く、いわば「宙ぶらりん」の構想となっているのが実情だ。

国の方針を見ても、羽田空港の設備強化計画には「成田空港アクセス線」「京急線引上げ線」など鉄道アクセス整備が中心だ。新たな道路アクセスルートへは触れられていない。さらに鉄道では、東急多摩川線をJR蒲田駅から京急蒲田駅へ地下延伸する「新空港線」事業も控えている。

外環道とも関連する事業の未来

外環道は最終的に、首都高湾岸線方面まで整備される計画だ。

外環道は最終的に、首都高湾岸線方面まで整備される計画だ。

一方、羽田空港への道路アクセスには、将来的に「計画具体化待ち」となっている別の構想がある。それが外環道の未整備区間「東名~湾岸」だ。

外環道(東名~湾岸)は、世田谷区付近から多摩川沿いに臨海部へ至るルートが想定されているが、前段階の「関越道~中央道~東名」区間すらまだ未開通であるため、具体的な検討は進んでいない。概略ルートも「多摩川の東京側」か「川崎側」かで方針が定まっていない状況だ。

仮に外環道が東京側で湾岸線に直結する場合、その終点は羽田空港周辺となる可能性が高い。そうなれば、全国規模の高速アクセスが成立し、「昭和島~羽田空港」を結ぶ「海岸通り延伸」の優先順位は相対的に下がることも考えられる。

このように、昭和島~羽田空港を結ぶ「海岸通り延伸」構想は、東京都が10年以上掲げてきたものの、大きな進展がないまま現在に至っている。もし何か動きがあるとすれば、東京での大規模な国際行事の開催や、羽田空港の機能強化が次の段階へ進むなど、ターニングポイントが必要かもしれない。次の「10か年計画」に構想が残された以上、今後の動きを長い目で注視していきたいところだ。

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