レシピ06:「紅葉への道のり」の作り方
連載第1回「この辺りで、お昼ごはん♥」をオマージュ
今年の夏は天候不順で、カラッと晴れる日が少なかったですね。一方、秋を迎えた今は、小春日和が続いているし、そろそろ山も色づき始める頃だから、パートナーと「お弁当を持ってドライブへGO!」な気分になりますよね。
ん? この話、シチュエーション、なんとなく『JAF Mate』の連載第1回に似てる。というわけで、今回は、あのカップルの行く末まで作り込みました。
付き合い始めたばかりのカップルがサンドイッチの山へ向かったのはゴールデンウィーク。今回、ひと夏を共に過ごした2人が秋にドライブへ行くなら、どこだろうと考えました。そこで思いついたのが、コレ!
地平に連なるおにぎりの山脈。
その山肌は、「たまごふりかけ」「明太子ふりかけ」によって紅葉まっ盛り。 その中腹へ続くのは、海苔でできたドライブコース。
山道を進むのは、これまた紅葉したようにオレンジ色のジープ ラングラー。
その荷台には、自撮りを楽しむ若い女性2人。
ふりかけおにぎりを山に見立てた、のどかな風景がいい感じです(自画自賛)。え、女性が2人? あのカップルじゃないの? その答えは、『JAF Mate』 本誌の11月号をご覧いただきたいのですが、JAF会員でなければ届いてないのでヒント! クルマだから、運転席に誰かいます。
ちなみに、上の写真が第1回で制作した作品。こちらは、サンドイッチを山に見立ててますが、今回はおにぎり。どちらが手作りのお弁当として、人との距離感が近いでしょうか?
「紅葉への道のり」を表現した材料
タカラトミー「トミカ 山へドライブ!オフロードカーセット」(2.160円)のジープ ラングラー
ミニカーでも秋を表現したいと思い、鮮やかなオレンジ色のモデルを選びました。背景の青空ともマッチするでしょう? ルーフ部も取り外し可能で荷台があらわになるので、そこに人形を乗せて、はしゃいでいる感じを出しました。もちろん駐車中!
2体の女性型フィギュア
自撮りしているようなポーズの人形をセレクトしたら、夏っぽい服装になってしまいました。ドライブした日は暑かったということで(笑)。でも黄色や赤色で、服部分を再塗装することで、秋らしくなったでしょ!?
ふりかけおにぎり
おにぎりに「たまごふりかけ」と「明太子ふりかけ」をまぶして、紅葉した山を表現。特に「たまごふりかけ」は、きざみのりが透けて緑に見えて、まだ染まりきってない山のようになり、妙にリアルになりました。
青空とランチョンマット柄のプリント
おにぎりの山脈の奥に広がる空、枯れ草をイメージしたギンガムチェック柄のランチョンマットは、共にプリンターで印刷したもの。実は、これも第1回のオマージュで、あえてギンガムチェック柄をセレクトしています。
いよいよ制作!
(01)
実は自撮り棒は自作です!
(02)
均等な形のおにぎりを作る秘密兵器
自宅にあったおにぎりをキレイに三角形に握れる調理器具。衛生的でお弁当作りに最適なグッズですが、ジオラマ作成での利点は均等な三角形のおにぎりが作れること。美しい山脈になっているでしょ?
(03)
おにぎりが4つしかない理由
ギンガムチェック柄と青空のプリントを貼り合わせた部分に、ふりかけおにぎりを配置(衛生上、ちゃんとビニールを敷きました)。微妙に三角形の頂点をずらすことで奥行きが出て、雄大な光景になります。
作品では7つのおにぎりが並んでいるように見えますが、実際に作ったのは4つ。なぜなら撮影後、全部食べるのは無理だから! というわけで、他の3つは写真を合成して増やしました。
(04)
手前を太く、奥を細く切って遠近感を出す!
今回のタイトルは「紅葉への道のり」。気づいていないかもしれないので、あえて申しあげるのですが、道のりの「のり」と「海苔」がかかっています!
で、制作の話に戻ると、道を表現した海苔は、レンズの手前を太く、奥を細く切って、遠近感を出しています。山へ続く長い道のように見えるでしょ?
ミニチュア写真家:田中達也(たなか たつや)
1981年、熊本県生まれ。広告関連のアートディレクションに携わりながらInstagramにアップしていたミニチュア作品が大人気に! 「ミニチュア写真家」へと転身する。ハリウッド映画『アントマン』に作品を提供するなど、世界的にも活躍。今年話題を呼んだNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックのミニチュアも手がけた。
写真集『MINIATURE LIFE』『MINIATURE LIFE2』(水曜社)を上梓。
彼の作品は、http://miniature-calendar.comをチェック!
企画構成・文/寺田剛治