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ライフスタイル最終更新日:2017.07.10 公開日:2017.07.10

レシピ04:「裁縫な特等席」の作り方

「昭和」を感じさせる情景は、NHK朝ドラ『ひよっこ』の影響

僕がオープニングのミニチュアを手がけたNHK連続テレビ小説『ひよっこ』。毎朝、楽しく見ています。舞台は東京五輪が開催された1964年頃。登場する街も、車も、ファッションも、全部「昭和」。そんなのを見ていたら、思わず「MINIATURE”CAR”LIFE」で、懐かしい情景を作りたくなりました。

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そこで選んだのがオート三輪のミニカー。1981年生まれの僕は、実際に走っている姿を見たことはありませんが、不思議なもので懐かしく感じる車です。それが現役で活躍した時代を知っている読者の方なら、なおさらでしょう。

そのオート三輪をどう使おうか……と考えた時、思い浮かんだのが、夏の風物詩である「花火」でした。

鮮やかなピンク色のオート三輪は、若いカップルの特等席。
車の周囲を覆い尽くす漆黒の闇と夜空は、黒色のペーパー。
そこに大輪の花を咲かせたのは、裁縫道具のマチ針だ。
その下には、同じくマチ針で表現した縁日の提灯が灯っている……。

花火よりも、彼女が喜ぶ姿をうれしそうに見つめる……そんな、キュンとさせる情景にしてみました。

→次ページ:「裁縫な特等席」を表現した材料

「裁縫な特等席」を表現した材料

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トミーテック「ザ・カーコレクション 80HG-018 マツダ T600」(864円)

T600は、東洋工業(現・マツダ)が、1959〜71年まで発売していた小型オート三輪。模型は、当時でも珍しいピンク色で、サビが浮いたように見える汚し塗装が施されています。昭和を演出するのにぴったりだったのと、夜空に映えるボディーカラーという2つの理由でこれを選びました。

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マチ針

「100均」で購入したマチ針を、花火の表現に使いました。赤、ピンク、緑、紫、青、黄、紫、白が基本1セット。それをバラバラにし、「赤とピンク」「青と緑」など、同系色により分け、それを再び円形のケースに差し込むと花火が完成! 放射状に伸びる針が一部だけ光る点も、花火らしいですよね。
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男女のフィギュア

数ある人形の中から、「花火を見ている」ように感じさせるものをセレクト。女性はAラインのスカートをはいているものを選びました。というのは、『ひよっこ』でも、こんなファッションがでてきそうだから(笑)。本当に様々なポーズがあって、逆に人形からインスピレーションを得ることもあるんですよ。

→次ページ:いよいよ制作!

いよいよ制作!

(01)
電動ヤスリでフィギュアのバリを除去

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今回使用したのは、プライザー社の無塗装フィギュア。120体で1セットなのですが、その全てがランナーにくっついた状態なのです。ランナーから切り離すと、どうしても「バリ」と呼ばれる不要な出っ張りが残るので、それをきれいに取り除く必要が出てきます。人形は1㎝ほどしかないので、紙ヤスリだと削りにくい。そこで便利なのが、電動ヤスリ! ペン先のヤスリが回転するので、ピンポイントでバリを狙えて便利ですよ。

(02)
夜空とオート三輪のカラーに合わせて人形を塗装

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そもそも、なぜ無塗装のフィギュアを選んだかというと、作る情景に合ったカラーにしたいから。塗装済みの人形を上塗りしてもいいのですが、もったいないですからね(笑)。

塗装の手順は、意外に大胆! まずは全身を肌色に塗ります。その次に着ている服を下から順に色を重ねていきます。女性のフィギュアなら肌、次にピンクのシャツ、そして黄色のスカートという順番。この手順にすると、はみ出した時に修正がしやすくなるのです。もちろん、最後に髪の塗装も忘れずに!

(03)
最大の難関!! 「マチ針地獄」

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今回の情景で最も苦労したのが、マチ針で表現した花火。同系統の色をしたマチ針により分け、それを再び円形のケースに差し込む単純作業を、延々と繰り返します。五輪の花火を作り上げましたが、40分ほどかかりました。修行のつもりでやってください。無の境地になれますから(笑)。

(04)
黒いペーパーにマチ針を刺して、花火を打ち上げる!

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ペーパーをL字状に屹立させて、そこに(3)で作ったマチ針の花火をバランスよく配置します。小さなこだわりですが、両面テープで貼らず、あえて花火の中心部に目立ちにくい白色のマチ針を刺して、固定しました。

最後に、縁日の提灯をイメージした赤と黄色のマチ針もプラス! オート三輪のミニカーよりも低い位置に刺すことで、それが遠くに見える雰囲気になります。そう、遠近法の効果が得られるのです。ぜひ、試して実感してください。

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ミニチュア写真家:田中達也(たなか たつや)

1981年、熊本県生まれ。広告関連のアートディレクションに携わりながらInstagramにアップしていたミニチュア作品が大人気に! 「ミニチュア写真家」へと転身する。ハリウッド映画『アントマン』に作品を提供するなど、世界的にも活躍。現在放映中のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックのミニチュアも手がける。

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写真集『MINIATURE LIFE』『MINIATURE LIFE2』(水曜社)を上梓。
彼の作品は、http://miniature-calendar.comをチェック!

企画構成・文/寺田剛治

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