クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2017.03.10 公開日:2017.03.10

トヨタ「2000GT MF12型(1967年輸出仕様テスト車)」の写真と動画を紹介!

pa170308-01-01.jpg

今なお世界的な人気を誇るトヨタ「2000GT」。その理由のひとつがこの流麗なスタイリングだ。トヨタと共同開発したヤマハのスタッフが、量産車も1台1台板金でルーフやフェンダー、ドアなどの曲面を打ち出して実現した。

 優雅なスタイリングと、総生産台数337台という希少性、そして1967年公開の映画「007は二度死ぬ」に登場したことなどにより、「幻の名車」などと呼ばれて未だに世界中で根強い人気を誇るトヨタ「2000GT」。トヨタが当時の持てる技術のすべてを導入して開発に臨んだ、同社初のスポーツカーである。プロジェクトは64年12月にスタートした。

 ただし、入念な仕上げが必要なために通常の量産ラインでは製造できないことから、当時すでにバイクレースで実績のあったヤマハとの間にスポーツカー開発に関する技術提携を65年9月に行い、試作と生産を委託。そこから2社による共同開発が始まった。

基本はトヨタが細部はヤマハが担当

 役割分担は、トヨタが全体のレイアウト計画やデザイン、基本設計、そして生産車のチェックなど。ヤマハはトヨタの指導の下で、主にエンジンの高性能化(トヨタ「トヨペット クラウン」の直列6気筒2000ccエンジン「M型」をDOHC化)と、ボディおよびシャシーの細部設計、そして生産を担当した。生産は第一期工事を終えたばかりのヤマハ磐田新工場で行われ、1台1台ハンドメイドで生産された。

 2000GTは、2社の契約締結から約1か月後の65年10月に開催された第12回東京モーターショーに早くも試作車が参考出展され、66年にはモータースポーツやスピードトライアルなどで活躍。そして67年2月に市販1号車が完成した。

pa170308-01-02.jpg

当時のほかのトヨタ車にはない曲面を多用したデザインは、空力特性の良さにもつながり、最高時速は220kmをマークしたとされる。

→ 次ページ:
実は2000GTではなく「2300GT」!?

幻の名車の中のさらにレアな1台「2300GT」!?

pa170308-01-03.jpg

2000GTのボディラインの美しさに魅了されている人は数多く、現在もオークションで高額で取引されているという。

 市販の2000GTは「MF10」という型式を持つが、今回撮影したMEGA WEB所蔵の1台は北米に輸出することを想定した試験車両だ。エンジンが変更されているほか、左ハンドルにもなっており、「MF12」という型式を持つ。

 エンジン変更の理由は、当時の北米における整備工場の技術力が考慮されたからだ。複雑なDOHCを扱うのが難しいという判断から、シンプルなSOHCに変更された。そして、その分のパワーロスを補う形で排気量を2000ccから2300ccにアップしたとされる。正式名称ではないが、ファンなどの間では「2300GT」と呼ばれている。

pa170308-01-04.jpg

2000GTを後方から。トランクリッドやボンネットなどはFRP製で、それらもまた曲面を持った流麗なデザインなのは、ヤマハがボート製造で培ったFRPの成形技術が活用されたから。ただし、FRPと板金部分の塗装の差が出ないよう、色合わせではかなり試行錯誤を重ねたという。

pa170308-01-05.jpg

エンジンのシリンダーヘッドカバーは、ブラックのつや消し縮み塗装が施されている。当時の国産車はエンジンにまでデザイン性を持たせることはあまりなかったが、ヤマハはエンジンがむき出しのバイクを製造していたことから、2000GTでも同様にエンジンにデザイン性を持たせた。

pa170308-01-06.jpg

北米へ向けての輸出仕様なので左ハンドル。ステアリングやインパネ、シフトノブに使われている木材はローズウッドで、現在は輸入禁止となっているので手に入らない。なお、夏場の車内の非常な高温により天然木は割れやヒビが生じやすいが、それを防ぐためにヤマハの楽器作りの木工技術が活用されたそうだ。

→ 次ページ:
続いてはスペック&動画!

2000GT MF12スペック

【シャシー&ボディ】
全長×全幅×全高:4175×1600×1160mm
ホイールベース:2330mm
車両重量:1120kg

【エンジン】
タイプ:水冷直列6気筒DOHC
排気量:2300cc

2000GTの走りを動画で!

2016年8月25日・26日にMEGA WEBで行われたヒストリックカー同乗試乗イベントで、2000GTの助手席から撮影。前方を走るのはデロリアン「DMC-12」やGM「キャディラック シリーズ62」など。通常の2000GTとは異なる、2300ccSOHCエンジンのサウンドを楽しんでもらえる。時間は7分2秒。

上の動画と同じイベントにて撮影。2000GTの前方を走るGM キャディラック シリーズの後席から撮影した。動画の再生時間は6分26秒。

こちらも同じイベントで撮影したもの。2000GTの後方を走るトヨタ「カローラ レビン」から撮影。動画の再生時間は7分14秒。

 なお、トヨタ「2000GT」関連の記事は、下記をご覧いただきたい。

2017年3月10日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

関連記事

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)