91年ル・マン 24時間レースで総合優勝を果たしたマツダ「787B(55号車)」
オレンジとグリーンのボディが鮮烈なマツダ「787B」55号車。現在、唯一のル・マン 24時間レースを制した日本車だ。
マツダ「787B」は、1990年にデビューしたマシン「787」をベースに、新開発された700馬力の4ローター自然吸気エンジン「R26B型」エンジンを搭載するなどの改良が施され、当時存在したレギュレーションのグループC規定に則したプロトタイプ・レーシングカー。翌91年の第59回ル・マン24時間耐久レースにて、マツダおよびマツダスピードが足かけ18年、13回目の挑戦の末に悲願の総合優勝を果たした(マツダは日本メーカーとして最も早くから同レースに挑戦した)。
メインスポンサーがレナウンで、同企業のブランドである「チャージ」もリアウィングなどに大きく記されたことから、「チャージ・マツダ」などとも呼ばれた。
なお2016年現在、同レースで総合優勝を果たした日本車はなく(16年はトヨタ「TS050 HYBRID」が残り5分でまさかの失速)、また、ロータリーエンジン搭載車としても初めて、なおかつ唯一の総合優勝を果たすなど、唯一無二の車両として日本のモータースポーツファンに記憶されている。
また、マツダは長い時間をかけて挑戦し続けたこと、また独特のロータリーサウンドなどもあって、海外のモータースポーツファンからも高い評価や尊敬、そして人気を勝ち得た。
91年の同レースに787Bは2台、18号車と55号車が投入され、展示車両の55号車が優勝。ドライバーはF1で優勝経験のあるジョニー・ハーバートを筆頭に、フォルカー・バイドラー、ベルトラン・ガショーとF1経験者がそろえられた。
787Bを正面から。
コーナリング性能を徹底的に追求したマシン
787Bは、787が最高速優先のマシンコンセプトだったのに対し、ボディ各所において空気抵抗の低減を図ってコーナリング性能の向上を徹底的に追求したという。また、冷却性能も向上させている。
さらに、マツダとしてはカーボンブレーキを初めて採用し、制動力を強化すると同時に、バネ下重量を軽減させたことから操縦性が向上し、優勝に貢献した。
787Bを側面から。
787Bを後方から。
787Bのコックピット脇から前方。
側面のエキゾーストパイプ。
2017年2月3日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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