高熱車内に注意!夏のクルマに置き忘れてはいけないものとは?
夏の車内は、直射日光が当たる場所では50℃以上になることもある。こうした高温によるトラブルが例年発生しているが、高温の車内に放置すると破裂の恐れがある物についてご存じだろうか。身近なアイテムが、思わぬ事故を引き起こさないよう注意が必要だ。
夏の車内温度は50℃以上に達する
例年、車内の高温化による事故が相次いでいる。炎天下に晒されたクルマは、場合によっては1時間で50℃に達することもある。実際、どのように温度が上昇していくのか、JAFが行った実証実験を見てみよう。実験は2018年8月の正午、炎天下で行われた。車両条件は、「対策なし」と、「サンシェード装着」、「窓開け」、「エアコン作動」のそれぞれの対策を行った場合の4条件。クルマの色は、対策なしが黒と白の2台で、各対策を行ったクルマはすべて黒である。
その結果、車内温度が最も高温になったのは、対策なしの黒車両で57℃に達した。さらにダッシュボードの温度は79℃と驚くべき結果であった。いずれも、対策なしの白車両と比べて5℃高い。これは、黒が光を吸収しやすい性質を持つためと考えられる。最高気温が最も低かったのはエアコンを作動していた車両で27℃だった。それでも、直射日光が当たるダッシュボードは61℃と高温であった。
ライターやスプレー缶などは、車内置き忘れで破裂の危険
さて、このように高温になる車内では、身近な日用品を車内放置すると危険が引き起こされることがある。JAFのテストでは、スマートフォンやライターなどの日用品をダッシュボードに長時間放置した場合の状況変化についても実験が行われた。
結果は、スマートフォンは警告画面が表示され一部の機能を除いて使用不可となった。また、ライターは2~3時間でケースに亀裂が生じてガスが抜けてしまった。
消費者庁も2017年に、ライターには可燃性の高圧ガスが充てんされており、直射日光が当たる場所や温度が高くなる所に放置すると破裂の危険性があるため、絶対に置かないようにと注意を呼び掛けている。
同じようにガスが充てんされているスプレー缶も危険だ。一般的なスプレー缶には、「直射日光の当たる場所やストーブ、ファンヒーターの近くなど、40℃以上となるところに置かないこと」といった注意書きが記されている。では、実際に高温に晒すとどうなるのか。こちらは、上越地域消防局が実験動画を公開していた。
動画では、60℃を超えた時点で缶が膨張して横揺れしている様子を窺うことができた。そして、70℃を超えた時点でスプレー缶は爆発し、瞬く間に激しい炎が巻き起こった。車内でこの爆発が起これば、非常に危険なことは言うまでもない。
最後にもうひとつ、昨今の新型コロナ感染拡大により身近な日用品となった消毒用アルコール。消毒用アルコールに使用されているエタノールは、火種があると常温でも引火するため注意が必要だ。東京消防庁では、消毒用アルコールを直射日光の当たる場所に保管すると、熱せられることで可燃性蒸気が発生し、引火しやすくなると警告している。もちろん火種がなければ燃えることはないが、注意は必要である。
真夏の車内は、高温によるさまざまな危険が潜んでいる。子どもやペットの置き去りはもちろんのことだが、引火の危険性がある日用品の置き忘れもしないよう徹底したい。