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道路・交通最終更新日:2020.07.09 公開日:2020.07.09

現行車種の安全性能がわかる! JNCAP得点一覧。トヨタ・日産・ホンダ編

国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が、毎年実施している新車の安全性能評価試験JNCAP(自動車アセスメント)。ここでは、メーカー別に現行車種の衝突安全と予防安全の2種類の試験結果を一覧にして掲載する。まずは、トヨタ、日産、ホンダの合計51車種を取り上げる。それ以外のメーカーも順次記事を準備中のため、お待ちいただきたい。

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トヨタ「クラウン」(15代目)の夜間の対歩行者・被害軽減ブレーキのイメージ。

トヨタ「クラウン」(15代目)の夜間の対歩行者・被害軽減ブレーキのイメージ。

 JNCAPは、1995年度にフルラップ前面衝突試験とブレーキ性能試験の2項目からスタートし、その後、時代に合わせてさまざまな試験を追加してきた。そして2014年度からは、衝突被害軽減ブレーキなど、事故を未然に防ぐ機能を対象とした予防安全性能評価試験も新たにスタートした。

 衝突安全性能評価に関しては、2011年度から2017年度までは208点満点として、ほぼ同一の試験内容と得点算出方法によって評価が行われてきた。そこで今回は現行車種のうち、2011年度以降に評価試験を受けた車種を取り上げた。なお試験内容の変更はないが、2018年度からは得点の算出方法が大きく変更となり、100点満点になった。また衝突安全性能は、その得点によって得られる★の数でも評価が表される。最高評価は★が5つの「ファイブスター賞」だ。

 一方、予防安全性能評価試験は2014年度に40点満点でスタートし、毎年新たな試験項目が追加され、6年目となる2019年度は141点満点だった。予防安全性能評価は、その得点によって「ASV+」から「ASV+++」までの評価が与えられる。2014年度・2015年度は最高ASV+まで、2016年度・2017年度は最高ASV++(ダブルプラス)まで、2018年度以降はASV+++(トリプルプラス)が新たに設定された。

※1 ASV:Advanced Safety Vehicleの略。先進安全自動車のこと。

 このほか、2017年度までに発売された車種は、安全運転支援システムの機能向上などが行われていることが多い。そこで2020年7月現在、どのような機能を装備しているかがわかるよう、車種ごとに「安全運転支援システムのアップデート履歴」も記載した。

メーカー別最多の29車種が評価を受けているトヨタ

トヨタ「プリウス」のGOAボディ。そこにTNGAの思想に基づいた環状構造(赤い部分は「日の字環状構造」)骨格を採用し、ボディのねじり剛性を従来比で約60%向上。

トヨタ「プリウス」のGOAボディ。赤いフレームは、TNGAコンセプトによる「日の字環状構造」。ねじり剛性を従来比で約60%向上させた。

 2011年度以降に衝突安全もしくは予防安全のどちらかの性能評価を受けたトヨタ車は、29車種35グレードにのぼる。トヨタ車の衝突安全性能は、「GOA(ゴア)」(※2)と呼ばれるコンセプトの基に開発が進められてきた。そして、2016年度に登場した4代目「プリウス」からは、GOAに加え、新たなクルマづくりコンセプトのTNGA(※3)により開発されるようになり、より一層衝突安全性能が高められている。

※2 GOAについてGlobal Outstanding Assessmentの略。本来は、トヨタが独自で実施している「クラス世界トップレベルを追求している安全性評価」のこと。それが転じて、トヨタの衝突安全ボディ技術の名称として使われている。
※3 TNGAについてToyota New Global Architectureの略。トヨタが掲げる新しいクルマづくりのコンセプトで、2016年の4代目「プリウス」が採用第1号。

 また予防安全に関しては、安全運転支援システム「Toyota Safety Sense」が2015年に登場した。第1世代はセンサーの違いによる、エントリークラス用の「Toyota Safety Sense C」と、歩行者検知を可能としたより高性能な「Toyota Safety Sense P」の2種類があった。2017年12月には、夜間の歩行者検知性能などを強化した第2世代が登場し、それ以降の新型車やフルモデルチェンジ車に搭載されているほか、マイナーチェンジが実施されて第1世代から換装されている車種もある。なお、第2世代はCとPという種類分けは存在しない。

 またトヨタは、子会社のダイハツからコンパクトカーや軽自動車のOEM供給を受けている。それらの車種に関しては、ダイハツ製の安全運転支援システム「スマートアシスト」シリーズが搭載されている。

Toyota Safety Senseの「レーントレーシングアシスト」(車線逸脱抑制機能)のイメージ。車両はトヨタ「RAV4」。

Toyota Safety Senseの「レーントレーシングアシスト」(車線逸脱抑制機能)のイメージ。車両はトヨタ「RAV4」。

【セダン/クーペ/ステーションワゴン】
●カムリ(10代目・2017年7月発売)

衝突安全:85.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:75.6点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2018年8月のマイナーチェンジで、一部を除いた全車にインテリジェント・クリアランスソナーを設定。

●カローラ アクシオ/フィールダー(11代目・2012年5月発売)

衝突安全:178.4点/208点満点 ★★★★★(2012年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年4月1日にToyota Safety Sense Cを一部車種に搭載。2017年10月には、同システムを全車標準装備とした。

●クラウン(15代目・2018年6月発売)

衝突安全:96.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:124.5点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●86(初代・2012年4月発売)

衝突安全:168.8点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Toyota Safety Senseは未搭載)

●プリウス(4代目・2015年12月発売)/プリウスPHV(2代目・2017年2月発売)

衝突安全:183.6点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:68.1点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年11月に、Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2018年12月には第2世代のToyota Safety Senseにアップグレードされ、2020年7月にはさらに機能の向上が図られた。

●プリウスα(初代・2011年5月発売)

衝突安全:173.1点/208点満点 ★★★★☆(2011年度)
予防安全:25.5点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2014年11月に、レーンデパーチャーアラート(車線逸脱警報)などの安全運転支援機能を追加。2017年11月には、Toyota Safety Sense Pを全車標準装備した。

【コンパクトカー】
●アクア(初代・2011年12月発売)

衝突安全:165.3点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:45.8点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年11月に、一部のグレードを除いてToyota Safety Sense Cを標準装備。2018年4月には、第2世代のToyota Safety Senseへと変更し、2019年7月にはその機能向上が図られた。

●カローラ スポーツ(12代目・2018年6月発売)

衝突安全:87.8点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:122.4点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●スペイド/ポルテ(2代目・2012年7月発売)

衝突安全:167.2点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年6月に、Toyota Safety SenseCを全車標準装備。2019年7月には、第2世代のToyota Safety Senseに換装された。

●タンク/ルーミー(初代・2016年11月発売)

衝突安全:169.6点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:30.6点/79点満点 ASV+(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「タンク/ルーミー」はダイハツ「トール」のOEM供給車のため、ダイハツ製のスマートアシストIIを搭載。2018年11月に、最新版のスマートアシストIIIに換装された。

●タンク/ルーミー(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:180.3点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)

●パッソ(3代目・2016年4月発売)

衝突安全:168.5点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:29.9点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:3代目「パッソ」は、ダイハツ「ブーン」のOEM供給車のため、スマートアシストIIを搭載。2018年10月にはスマートアシストIIIに換装された。

●パッソ(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:179.2点/208点満点 ★★★★★(2016年度)

【ミニバン】
●アルファード(3代目・2015年1月発売)/ヴェルファイア(2代目・2015年1月発売)

衝突安全:178.4点/208満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年1月に第2世代のToyota Safety Senseを標準装備。同年10月にはインテリジェントクリアランスソナーを全車標準装備とした。

●ヴォクシー(3代目・2014年1月発売)/ノア(3代目・2014年1月発売)/エスクァイア(初代・2014年1月発売)

衝突安全:175.0点/208満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年1月にToyota Safety SenseCが一部グレードに標準装備された。2019年1月には、第2世代のToyota Safety Senseに換装、全車標準装備とした。

●ヴォクシー/ノア/エスクァイア(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:182.3点/208満点 ★★★★★(2014年度)

●シエンタ(2代目・2015年7月発売)

衝突安全:166.8点/208満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年9月に第2世代のToyota Safety Senseを一部グレードに標準装備。

●シエンタ(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:175.8点/208満点 ★★★★★(2015年度)

【SUV・クロスカントリー4WD】
●C-HR(初代・2016年12月発売)

衝突安全:185.8点/208満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:74.4点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2019年10月にインテリジェントクリアランスソナーなどのオプション選択を可能とした。

●RAV4(5代目・2019年4月発売)

衝突安全:88.9点/100満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:137.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●ライズ(初代・2019年11月発売)

衝突安全:85.7点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:73.6点/141点満点 ASV++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ライズ」はダイハツ「ロッキー」のOEM供給車のため、スマートアシストを搭載(現在、スマートアシストには、バージョンを示すローマ数字が末尾につかなくなった)。

●ランドクルーザー(2007年9月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年8月にToyota Safety Sense Pをトヨタ車で初搭載。全車標準装備とした。

【軽自動車】
●ピクシス エポック(2代目・2017年5月発売)

衝突安全:165.7点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス エポック」は、ダイハツ「ミラ イース」のOEM供給車のため、スマートアシストIIIを一部グレードに標準装備。

●ピクシス ジョイ(初代・2015年9月発売)

衝突安全:166.0点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:33.6点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス ジョイ」はダイハツ「キャスト」のOEM供給車のため、スマートアシストIIが一部グレードに設定されており、2017年10月のマイナーチェンジでスマートアシストIIIに換装された。

●ピクシス メガ(初代・2015年7月発売)

衝突安全:159.2点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:30.5点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス メガ」はダイハツ「ウェイク」のOEM供給車のため、スマートアシスト(I)を一部グレードに採用しており、2016年5月にスマートアシストIIに換装。2018年1月には、さらにスマートアシストIIIに強化され、全車標準装備となった。

【商用車】
●JPN TAXI(初代・2017年10月発売)

衝突安全:182.9点/208満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety SenseCを全車標準装備。2019年3月に第2世代Toyota Safety Senseに換装された。

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続いて日産8車種とホンダ14車種

選定された8車種が評価を受けた日産

日産「スカイライン」の基本骨格。衝突安全ボディ「ゾーンボディ」のコンセプトで開発されている。

「ゾーンボディ」コンセプトで開発された「スカイライン」の基本骨格。

 日産車で、2011年以降のJNCAPの安全性能評価試験を受けた車種は8車種。衝突安全性能評価を受けたのは7車種、予防安全性能評価を受けたのは6車種だ。

 日産の衝突安全ボディの名称は「ゾーンボディ」。セーフティゾーン(キャビン)を強固にして、前後のエンジンルームやトランクなどのクラッシャブルゾーンで衝撃を吸収して乗員を保護するという、現在の衝突安全ボディの一般的なコンセプトの衝突安全技術だが、フレームなどに日産独自の工夫が施されている。

 また安全運転支援システムには、「全方位運転支援システム」という総称がつけられている。その中で特に注目されている技術といえば、高速道路などの自動車専用道路の同一車線で利用できる運転支援システム「プロパイロット」だろう。同システムは現在、最新版「プロパイロット2.0」(インテリジェント高速道路ルート走行)に進化しており、走行中にアクセルだけでなくハンズオフ(ハンドルから両手を放すこと)もできるようになった。

 そのほか、軽自動車に関しては、三菱との共同開発である「デイズ/デイズ ハイウェイスター」(三菱「eKワゴン/eKクロス」の兄弟車)や、スズキ「エブリイ」のOEM供給車の「NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ」などもあり、日産以外の安全運転支援システムも搭載されている。

日産の運転支援技術「プロパイロット」の車両認識のイメージ。

日産の運転支援技術「プロパイロット」の車両認識のイメージ。

【セダン/クーペ】
●スカイライン(13代目・2014年2月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:40.0点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年8月に全方位運転支援システム(一部機能はグレード別設定)を全車標準装備。2019年9月に、プロパイロット2.0を搭載。

●リーフ(2代目・2017年10月発売)

衝突安全:179.4点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:全方位運転支援システムを標準設定。プロパイロットをグレード別に設定。2020年2月に、プロパイロットなどの制御の最適化と、全方位運転支援技術の拡充も実施。

【コンパクトカー】
●ノート(2代目・2012年9月発売)

衝突安全:162.3点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:122.3点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2013年12月、衝突被害軽減ブレーキを一部グレードに標準装備。2015年7月、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などを全車標準装備。2017年9月に衝突被害軽減ブレーキなどの性能を向上。

【ミニバン】
●エルグランド(3代目・2010年8月発売)

衝突安全:173.1点/208点満点 ★★★★★(2011年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2011年11月に、移動物検知機能などを追加装備。2012年11月に、踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)を搭載。2018年12月、全方位運転支援システムを全車標準装備。

●セレナ(5代目・2016年8月発売)

衝突安全:175.8点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2019年8月、全方位運転支援システムを全車標準装備。

【SUV】
●エクストレイル(3代目・2013年12月発売)

衝突安全:173.0点/208点満点 ★★★★☆(2014年度)
予防安全:32.5点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年12月に衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備。2017年6月、プロパイロットを追加装備。2019年1月に高機能前照灯やペダル踏み間違い時加速抑制の機能を向上。を2020年1月に夜間時の衝突被害軽減ブレーキの性能およびプロパイロットの性能を向上した。

【軽自動車】
●デイズ/デイズ ハイウェイスター(2代目・2019年3月発売 ※4)

衝突安全:86.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:132.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制、高機能前照灯などを全車標準装備。プロパイロットをグレード別に設定)。

※4 デイズ ハイウェイスター:「デイズ」のスポーティモデル。

【商用車】
●NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ(3代目・2015年2月発売 ※5)

衝突安全:148.0点/208点満点 ★★★☆☆(2015年度)
予防安全:7.7点/40点満点(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ」はスズキ「エブリイ」のOEM供給車のため、安全運転支援システムは「スズキ セーフティ サポート」を装備(発売時は、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制などをグレード別に設定)。2019年6月に車線逸脱警報や高機能前照灯などを一部グレードに標準装備。

※5 NV100クリッパー リオ:「NV100クリッパー」の上級モデル。

「Honda SENSING」の拡充を続けるホンダは14車種

ホンダの衝突安全技術「G-CON」を導入して開発された「グレイス」の基本骨格。

衝突安全技術「G-CON」を導入して開発された「グレイス」の基本骨格。

 ホンダ車で、2011年度以降の安全性能評価試験を受けたのは14車種。エントリー向けセダン「グレイス」だけは衝突安全性能評価試験しか受けていないが、残りの13車種は衝突・予防の両方の安全性能評価試験を受けている。

 ホンダの衝突安全ボディに関する技術は、衝突時の衝撃を制御する「G-CON」だ。ただし、これは全車種に採用されているわけではない。今回の14車種のうちなら、ミニバンや軽自動車、そのほかエントリー向けのセダンやSUVなど、10車種に採用されている。中上級以上のセダンやSUVなどには採用されていない。

 そして安全運転支援システムは、「Honda SENSING」と呼ばれ、高級車から軽自動車まで全車標準装備もしくは設定グレードが用意されている。Honda SENSINGは衝突被害軽減ブレーキなど、基本8種類の安全運転支援機能がパッケージングされたもの。ただし、最近の車種はそこにさらに1~3種類の安全運転支援機能を追加し、より機能的に充実した内容となっている。

ホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」の最新バージョンを搭載しているのは、軽自動車の「N-WGN」と「N-BOX」。

Honda SENSING」最新バージョンを搭載しているのは、軽自動車の「N-WGN」と「N-BOX」。横断自転車に対応している。

【セダン/クーペ】
●アコード(10代目・2020年2月発売)

衝突安全:88.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:132.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSING基本8機能+2機能を全車標準装備)。

●インサイト(3代目・2018年12月発売)

衝突安全:87.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:121.4点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなしHonda SENSING基本8機能+2機能を全車標準装備)。

●グレイス(初代・2014年12月発売)

衝突安全:181.0点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年7月にHonda SENSINGの装備グレードを設定。

●ジェイド(初代・2015年2月発売)

衝突安全:178.2点/208点満点 ★★★★★(2015年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年5月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●シビック(10代目・2017年9月発売)

衝突安全:180.8点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:78.4点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Honda SENSINGを標準装備。2020年1月に歩行者事故低減ステアリング機能と先行車発進お知らせ機能を追加。

●シャトル(初代・2015年5月発売)

衝突安全:180.1点/208点満点 ★★★★★(2015年度)
予防安全:14.9点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年9月にHonda SENSINGを全車標準装備。2019年5月に高機能前照灯を追加。

【ミニバン】
●オデッセイ(5代目・2018年8月発売)

衝突安全:83.9点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:62.7点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年1月に一部グレードにHonda SENSINGを標準装備。2016年2月にHonda SENSINGの標準装備車種を拡大。2017年11月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●ステップワゴン(5代目・2017年9月発売)

衝突安全:180.9点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:64.6点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年5月に一部グレードを除いてHonda SENSINGを標準装備。2017年9月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●フリード/フリード+(2代目・2016年9月発売 ※6)

衝突安全:177.2点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:58.4点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2019年10月にHonda SENSINGを全車標準装備。

※6 フリード+:3列シートの「フリード」に対し、「フリード+」は2列シートとなっている。

【SUV】
●CR-V(5代目・2018年8月発売)

衝突安全:85.9点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:119.0点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備)。

●ヴェゼル(1代目・2013年12月発売)

衝突安全:183.7点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:60.8点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年2月に全グレードでHonda SENSINGの装備を選択可能に。2018年2月にHonda SENSINGを全車標準装備。

【軽自動車】
●N-BOX/N-BOX カスタム(2代目・2017年9月発売 ※7)

衝突安全:184.1点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:129.2点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Honda SENSINGを全車標準装備(一部グレードは装備しない選択も可能)。Honda SENSINGの性能向上(横断自転車への対応、夜間の歩行者検知性能の向上)を実施。

※7 N-BOX カスタム:N-BOXの上級モデル。

●N-VAN(1代目・2018年7月発売)

衝突安全:78.5点/100点満点 ★★★★☆(2018年度)
予防安全:119.2点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備。ただし、6MT車が前後の誤発進抑制機能を搭載していないなど、車種によっては一部の機能を未搭載)。

●N-WGN/N-WGN カスタム(2代目・2019年8月発売 ※8)

衝突安全:88.7点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:123.7点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備しているが、一部グレードは装備しない選択も可能)。

※8 N-WGN カスタム:N-WGNの上級モデル。

→ 次ページ:
安全性能評価試験の配点などについて

衝突安全性能評価試験の内容と配点について

 衝突安全性能評価試験は2011年度から2019年度まで試験内容はほぼ同じだ。ただし、得点の算出方式が2018年度に大きく変わり、配点が208点満点から100点満点となった。また、歩行者保護の頭部保護性能試験で、試験車のボンネットなどに向かって射出される頭部インパクタ(※9)の射出速度が2015年度までは時速35kmだったが、2016年度からは時速40kmに変更されている。この変更は係数の変更で調整されており、2011年度からから2015年度までと、2017年度・2018年度に評価試験を受けた全車種が同じ208点満点で比較できるようになっている。

※9 頭部インパクタ:接触して歩行者が車上に乗り上げた際、ボンネットなどに頭部が打ち付けられた際の傷害値を計測するための装置。人の頭部を模している。

【2011年度~2017年度の配点:208点満点】
●乗員保護性能試験(合計100点)
・フルラップ前面衝突試験:30点
・オフセット前面衝突試験:30点
・側面衝突試験:25点
・後面衝突頸部保護試験:15点
●歩行者保護性能試験(合計100点)
・頭部保護性能試験:75点
・脚部保護性能試験:25点
●シートベルトの着用警報装置評価(8点)

【2018・2019年度の配点:100点満点】
乗員保護性能試験(合計59点)
・フルラップ前面衝突試験:21点
・オフセット前面衝突試験:21点
・側面衝突試験:15点
・後面衝突頸部保護試験:2点
●歩行者保護性能試験(合計37点)
・頭部保護性能試験:32点
・脚部保護性能試験:5点
●シートベルトの着用警報装置評価(4点)

予防安全性能評価試験の年度別の試験内容と配点について

 予防安全性能評価試験は、以下のように毎年のように新たな試験が追加され、配点が増えている。

2014年度:40点満点
・衝突被害軽減ブレーキ(対車両):32点
・車線はみ出し警報:8点
2015年度:46点満点
【追加】後方視界情報:6点
2016年度:71点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・昼間):25点
2017年度:79点満点
【変更】車線はみ出し警報:8点⇒車線逸脱抑制:16点
2018年度:126点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・夜間街灯あり):40点
【追加】高機能前照灯:5点
【追加】ペダル踏み間違い時加速抑制:2点
2019年度:141点満点
【追加】衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者・夜間街灯なし):15点

衝突安全と予防安全の評価について

 衝突安全性能評価試験は、2011年度以降、得点によって得られる★の数が異なり、以下の5段階で評価されている。

衝突安全性能評価・2011年度~2017年度
・170.0点以上:★★★★★(ファイブスター賞)
・150.0点以上170.0点未満:★★★★☆
・130.0点以上150.0点未満:★★★☆☆
・110.0点以上130.0点未満:★★☆☆☆
・110.0点未満:★☆☆☆☆

2011年度から2017年度までのファイブスター賞の条件:乗員保護性能試験および歩行者保護・頭部保護性能試験においてレベル4以上、歩行者保護・脚部保護性能評価試験においてレベル3以上が必要。2011年度に関しては、後面衝突頸部保護性能試験で、薄緑色または緑色が必要。なおレベルとは試験ごとの評価で、5段階で表されている。

【衝突安全性能評価・2018年度以降】
・82.0点以上:★★★★★(ファイブスター賞)
・72.5点以上82.0点未満:★★★★☆
・63.0点以上72.5点未満:★★★☆☆
・53.5点以上63.0点未満:★★☆☆☆
・53.5点未満:★☆☆☆☆

2018年度以降のファイブスター賞の条件:シートベルトの着用警報装置評価以外の試験において、レベル4以上の評価を獲得する必要がある。

 予防安全性能評価試験ではASVに「+」をつけて評価を表す。当初は「ASV+」までだったが、予防安全性能評価は毎年のように試験項目が追加されて配点が増えていったことから、2016年度には「ASV++」(ダブルプラス)が、2018年度には「ASV+++」(トリプルプラス)が追加設定された。

【予防安全性能評価(2018年度以降)】
・86点超:ASV+++
・46点超~86点以下:ASV++
・12点超~46点以下:ASV+


 2014年度から予防安全性能評価試験が始まったことで、JNCAPは2種類の評価試験を実施してきた。そして2020年度からは、いよいよ衝突安全と予防安全のふたつの試験が統合される。これまでは、衝突安全と予防安全のどちらかだけの評価試験を受けることも可能だったが、2020年度からは必ず両方の試験も受けることになる。どちらもそろって高得点を獲得しないと、高評価を得られなくなるのである。なお詳細は未発表のため、合計得点などは発表されていない。2020年度前期の発表は、11月末から12月上旬ぐらいに発表されるものと思われる。

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