2020年07月09日 11:50 掲載

交通安全・防災 現行車種の安全性能がわかる! JNCAP得点一覧。トヨタ・日産・ホンダ編


神林 良輔

選定された8車種が評価を受けた日産

日産「スカイライン」の基本骨格。衝突安全ボディ「ゾーンボディ」のコンセプトで開発されている。

「ゾーンボディ」コンセプトで開発された「スカイライン」の基本骨格。

 日産車で、2011年以降のJNCAPの安全性能評価試験を受けた車種は8車種。衝突安全性能評価を受けたのは7車種、予防安全性能評価を受けたのは6車種だ。

 日産の衝突安全ボディの名称は「ゾーンボディ」。セーフティゾーン(キャビン)を強固にして、前後のエンジンルームやトランクなどのクラッシャブルゾーンで衝撃を吸収して乗員を保護するという、現在の衝突安全ボディの一般的なコンセプトの衝突安全技術だが、フレームなどに日産独自の工夫が施されている。

 また安全運転支援システムには、「全方位運転支援システム」という総称がつけられている。その中で特に注目されている技術といえば、高速道路などの自動車専用道路の同一車線で利用できる運転支援システム「プロパイロット」だろう。同システムは現在、最新版「プロパイロット2.0」(インテリジェント高速道路ルート走行)に進化しており、走行中にアクセルだけでなくハンズオフ(ハンドルから両手を放すこと)もできるようになった。

 そのほか、軽自動車に関しては、三菱との共同開発である「デイズ/デイズ ハイウェイスター」(三菱「eKワゴン/eKクロス」の兄弟車)や、スズキ「エブリイ」のOEM供給車の「NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ」などもあり、日産以外の安全運転支援システムも搭載されている。

日産の運転支援技術「プロパイロット」の車両認識のイメージ。

日産の運転支援技術「プロパイロット」の車両認識のイメージ。

【セダン/クーペ】
●スカイライン(13代目・2014年2月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:40.0点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年8月に全方位運転支援システム(一部機能はグレード別設定)を全車標準装備。2019年9月に、プロパイロット2.0を搭載。

●リーフ(2代目・2017年10月発売)

衝突安全:179.4点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:全方位運転支援システムを標準設定。プロパイロットをグレード別に設定。2020年2月に、プロパイロットなどの制御の最適化と、全方位運転支援技術の拡充も実施。

【コンパクトカー】
●ノート(2代目・2012年9月発売)

衝突安全:162.3点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:122.3点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2013年12月、衝突被害軽減ブレーキを一部グレードに標準装備。2015年7月、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などを全車標準装備。2017年9月に衝突被害軽減ブレーキなどの性能を向上。

【ミニバン】
●エルグランド(3代目・2010年8月発売)

衝突安全:173.1点/208点満点 ★★★★★(2011年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2011年11月に、移動物検知機能などを追加装備。2012年11月に、踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)を搭載。2018年12月、全方位運転支援システムを全車標準装備。

●セレナ(5代目・2016年8月発売)

衝突安全:175.8点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2019年8月、全方位運転支援システムを全車標準装備。

【SUV】
●エクストレイル(3代目・2013年12月発売)

衝突安全:173.0点/208点満点 ★★★★☆(2014年度)
予防安全:32.5点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年12月に衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備。2017年6月、プロパイロットを追加装備。2019年1月に高機能前照灯やペダル踏み間違い時加速抑制の機能を向上。を2020年1月に夜間時の衝突被害軽減ブレーキの性能およびプロパイロットの性能を向上した。

【軽自動車】
●デイズ/デイズ ハイウェイスター(2代目・2019年3月発売 ※4)

衝突安全:86.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:132.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制、高機能前照灯などを全車標準装備。プロパイロットをグレード別に設定)。

※4 デイズ ハイウェイスター:「デイズ」のスポーティモデル。

【商用車】
●NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ(3代目・2015年2月発売 ※5)

衝突安全:148.0点/208点満点 ★★★☆☆(2015年度)
予防安全:7.7点/40点満点(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「NV100クリッパー/NV100クリッパー リオ」はスズキ「エブリイ」のOEM供給車のため、安全運転支援システムは「スズキ セーフティ サポート」を装備(発売時は、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制などをグレード別に設定)。2019年6月に車線逸脱警報や高機能前照灯などを一部グレードに標準装備。

※5 NV100クリッパー リオ:「NV100クリッパー」の上級モデル。

「Honda SENSING」の拡充を続けるホンダは14車種

ホンダの衝突安全技術「G-CON」を導入して開発された「グレイス」の基本骨格。

衝突安全技術「G-CON」を導入して開発された「グレイス」の基本骨格。

 ホンダ車で、2011年度以降の安全性能評価試験を受けたのは14車種。エントリー向けセダン「グレイス」だけは衝突安全性能評価試験しか受けていないが、残りの13車種は衝突・予防の両方の安全性能評価試験を受けている。

 ホンダの衝突安全ボディに関する技術は、衝突時の衝撃を制御する「G-CON」だ。ただし、これは全車種に採用されているわけではない。今回の14車種のうちなら、ミニバンや軽自動車、そのほかエントリー向けのセダンやSUVなど、10車種に採用されている。中上級以上のセダンやSUVなどには採用されていない。

 そして安全運転支援システムは、「Honda SENSING」と呼ばれ、高級車から軽自動車まで全車標準装備もしくは設定グレードが用意されている。Honda SENSINGは衝突被害軽減ブレーキなど、基本8種類の安全運転支援機能がパッケージングされたもの。ただし、最近の車種はそこにさらに1~3種類の安全運転支援機能を追加し、より機能的に充実した内容となっている。

ホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」の最新バージョンを搭載しているのは、軽自動車の「N-WGN」と「N-BOX」。

Honda SENSING」最新バージョンを搭載しているのは、軽自動車の「N-WGN」と「N-BOX」。横断自転車に対応している。

【セダン/クーペ】
●アコード(10代目・2020年2月発売)

衝突安全:88.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:132.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSING基本8機能+2機能を全車標準装備)。

●インサイト(3代目・2018年12月発売)

衝突安全:87.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:121.4点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなしHonda SENSING基本8機能+2機能を全車標準装備)。

●グレイス(初代・2014年12月発売)

衝突安全:181.0点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年7月にHonda SENSINGの装備グレードを設定。

●ジェイド(初代・2015年2月発売)

衝突安全:178.2点/208点満点 ★★★★★(2015年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年5月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●シビック(10代目・2017年9月発売)

衝突安全:180.8点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:78.4点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Honda SENSINGを標準装備。2020年1月に歩行者事故低減ステアリング機能と先行車発進お知らせ機能を追加。

●シャトル(初代・2015年5月発売)

衝突安全:180.1点/208点満点 ★★★★★(2015年度)
予防安全:14.9点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年9月にHonda SENSINGを全車標準装備。2019年5月に高機能前照灯を追加。

【ミニバン】
●オデッセイ(5代目・2018年8月発売)

衝突安全:83.9点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:62.7点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年1月に一部グレードにHonda SENSINGを標準装備。2016年2月にHonda SENSINGの標準装備車種を拡大。2017年11月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●ステップワゴン(5代目・2017年9月発売)

衝突安全:180.9点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:64.6点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年5月に一部グレードを除いてHonda SENSINGを標準装備。2017年9月にHonda SENSINGを全車標準装備。

●フリード/フリード+(2代目・2016年9月発売 ※6)

衝突安全:177.2点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:58.4点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2019年10月にHonda SENSINGを全車標準装備。

※6 フリード+:3列シートの「フリード」に対し、「フリード+」は2列シートとなっている。

【SUV】
●CR-V(5代目・2018年8月発売)

衝突安全:85.9点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:119.0点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備)。

●ヴェゼル(1代目・2013年12月発売)

衝突安全:183.7点/208点満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:60.8点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年2月に全グレードでHonda SENSINGの装備を選択可能に。2018年2月にHonda SENSINGを全車標準装備。

【軽自動車】
●N-BOX/N-BOX カスタム(2代目・2017年9月発売 ※7)

衝突安全:184.1点/208点満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:129.2点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Honda SENSINGを全車標準装備(一部グレードは装備しない選択も可能)。Honda SENSINGの性能向上(横断自転車への対応、夜間の歩行者検知性能の向上)を実施。

※7 N-BOX カスタム:N-BOXの上級モデル。

●N-VAN(1代目・2018年7月発売)

衝突安全:78.5点/100点満点 ★★★★☆(2018年度)
予防安全:119.2点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備。ただし、6MT車が前後の誤発進抑制機能を搭載していないなど、車種によっては一部の機能を未搭載)。

●N-WGN/N-WGN カスタム(2代目・2019年8月発売 ※8)

衝突安全:88.7点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:123.7点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Honda SENSINGを全車標準装備しているが、一部グレードは装備しない選択も可能)。

※8 N-WGN カスタム:N-WGNの上級モデル。

→ 次ページ:
安全性能評価試験の配点などについて

JNCAP関連記事一覧