2020年07月09日 11:50 掲載

交通安全・防災 現行車種の安全性能がわかる! JNCAP得点一覧。トヨタ・日産・ホンダ編

国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が、毎年実施している新車の安全性能評価試験JNCAP(自動車アセスメント)。ここでは、メーカー別に現行車種の衝突安全と予防安全の2種類の試験結果を一覧にして掲載する。まずは、トヨタ、日産、ホンダの合計51車種を取り上げる。それ以外のメーカーも順次記事を準備中のため、お待ちいただきたい。

神林 良輔

トヨタ「クラウン」(15代目)の夜間の対歩行者・被害軽減ブレーキのイメージ。

トヨタ「クラウン」(15代目)の夜間の対歩行者・被害軽減ブレーキのイメージ。

 JNCAPは、1995年度にフルラップ前面衝突試験とブレーキ性能試験の2項目からスタートし、その後、時代に合わせてさまざまな試験を追加してきた。そして2014年度からは、衝突被害軽減ブレーキなど、事故を未然に防ぐ機能を対象とした予防安全性能評価試験も新たにスタートした。

 衝突安全性能評価に関しては、2011年度から2017年度までは208点満点として、ほぼ同一の試験内容と得点算出方法によって評価が行われてきた。そこで今回は現行車種のうち、2011年度以降に評価試験を受けた車種を取り上げた。なお試験内容の変更はないが、2018年度からは得点の算出方法が大きく変更となり、100点満点になった。また衝突安全性能は、その得点によって得られる★の数でも評価が表される。最高評価は★が5つの「ファイブスター賞」だ。

 一方、予防安全性能評価試験は2014年度に40点満点でスタートし、毎年新たな試験項目が追加され、6年目となる2019年度は141点満点だった。予防安全性能評価は、その得点によって「ASV+」から「ASV+++」までの評価が与えられる。2014年度・2015年度は最高ASV+まで、2016年度・2017年度は最高ASV++(ダブルプラス)まで、2018年度以降はASV+++(トリプルプラス)が新たに設定された。

※1 ASV:Advanced Safety Vehicleの略。先進安全自動車のこと。

 このほか、2017年度までに発売された車種は、安全運転支援システムの機能向上などが行われていることが多い。そこで2020年7月現在、どのような機能を装備しているかがわかるよう、車種ごとに「安全運転支援システムのアップデート履歴」も記載した。

メーカー別最多の29車種が評価を受けているトヨタ

トヨタ「プリウス」のGOAボディ。そこにTNGAの思想に基づいた環状構造(赤い部分は「日の字環状構造」)骨格を採用し、ボディのねじり剛性を従来比で約60%向上。

トヨタ「プリウス」のGOAボディ。赤いフレームは、TNGAコンセプトによる「日の字環状構造」。ねじり剛性を従来比で約60%向上させた。

 2011年度以降に衝突安全もしくは予防安全のどちらかの性能評価を受けたトヨタ車は、29車種35グレードにのぼる。トヨタ車の衝突安全性能は、「GOA(ゴア)」(※2)と呼ばれるコンセプトの基に開発が進められてきた。そして、2016年度に登場した4代目「プリウス」からは、GOAに加え、新たなクルマづくりコンセプトのTNGA(※3)により開発されるようになり、より一層衝突安全性能が高められている。

※2 GOAについてGlobal Outstanding Assessmentの略。本来は、トヨタが独自で実施している「クラス世界トップレベルを追求している安全性評価」のこと。それが転じて、トヨタの衝突安全ボディ技術の名称として使われている。
※3 TNGAについてToyota New Global Architectureの略。トヨタが掲げる新しいクルマづくりのコンセプトで、2016年の4代目「プリウス」が採用第1号。

 また予防安全に関しては、安全運転支援システム「Toyota Safety Sense」が2015年に登場した。第1世代はセンサーの違いによる、エントリークラス用の「Toyota Safety Sense C」と、歩行者検知を可能としたより高性能な「Toyota Safety Sense P」の2種類があった。2017年12月には、夜間の歩行者検知性能などを強化した第2世代が登場し、それ以降の新型車やフルモデルチェンジ車に搭載されているほか、マイナーチェンジが実施されて第1世代から換装されている車種もある。なお、第2世代はCとPという種類分けは存在しない。

 またトヨタは、子会社のダイハツからコンパクトカーや軽自動車のOEM供給を受けている。それらの車種に関しては、ダイハツ製の安全運転支援システム「スマートアシスト」シリーズが搭載されている。

Toyota Safety Senseの「レーントレーシングアシスト」(車線逸脱抑制機能)のイメージ。車両はトヨタ「RAV4」。

Toyota Safety Senseの「レーントレーシングアシスト」(車線逸脱抑制機能)のイメージ。車両はトヨタ「RAV4」。

【セダン/クーペ/ステーションワゴン】
●カムリ(10代目・2017年7月発売)

衝突安全:85.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:75.6点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2018年8月のマイナーチェンジで、一部を除いた全車にインテリジェント・クリアランスソナーを設定。

●カローラ アクシオ/フィールダー(11代目・2012年5月発売)

衝突安全:178.4点/208点満点 ★★★★★(2012年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年4月1日にToyota Safety Sense Cを一部車種に搭載。2017年10月には、同システムを全車標準装備とした。

●クラウン(15代目・2018年6月発売)

衝突安全:96.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:124.5点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●86(初代・2012年4月発売)

衝突安全:168.8点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(Toyota Safety Senseは未搭載)

●プリウス(4代目・2015年12月発売)/プリウスPHV(2代目・2017年2月発売)

衝突安全:183.6点/208点満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:68.1点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2017年11月に、Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2018年12月には第2世代のToyota Safety Senseにアップグレードされ、2020年7月にはさらに機能の向上が図られた。

●プリウスα(初代・2011年5月発売)

衝突安全:173.1点/208点満点 ★★★★☆(2011年度)
予防安全:25.5点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2014年11月に、レーンデパーチャーアラート(車線逸脱警報)などの安全運転支援機能を追加。2017年11月には、Toyota Safety Sense Pを全車標準装備した。

【コンパクトカー】
●アクア(初代・2011年12月発売)

衝突安全:165.3点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:45.8点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年11月に、一部のグレードを除いてToyota Safety Sense Cを標準装備。2018年4月には、第2世代のToyota Safety Senseへと変更し、2019年7月にはその機能向上が図られた。

●カローラ スポーツ(12代目・2018年6月発売)

衝突安全:87.8点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:122.4点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●スペイド/ポルテ(2代目・2012年7月発売)

衝突安全:167.2点/208点満点 ★★★★☆(2012年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年6月に、Toyota Safety SenseCを全車標準装備。2019年7月には、第2世代のToyota Safety Senseに換装された。

●タンク/ルーミー(初代・2016年11月発売)

衝突安全:169.6点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:30.6点/79点満点 ASV+(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「タンク/ルーミー」はダイハツ「トール」のOEM供給車のため、ダイハツ製のスマートアシストIIを搭載。2018年11月に、最新版のスマートアシストIIIに換装された。

●タンク/ルーミー(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:180.3点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)

●パッソ(3代目・2016年4月発売)

衝突安全:168.5点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:29.9点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:3代目「パッソ」は、ダイハツ「ブーン」のOEM供給車のため、スマートアシストIIを搭載。2018年10月にはスマートアシストIIIに換装された。

●パッソ(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:179.2点/208点満点 ★★★★★(2016年度)

【ミニバン】
●アルファード(3代目・2015年1月発売)/ヴェルファイア(2代目・2015年1月発売)

衝突安全:178.4点/208満点 ★★★★★(2016年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年1月に第2世代のToyota Safety Senseを標準装備。同年10月にはインテリジェントクリアランスソナーを全車標準装備とした。

●ヴォクシー(3代目・2014年1月発売)/ノア(3代目・2014年1月発売)/エスクァイア(初代・2014年1月発売)

衝突安全:175.0点/208満点 ★★★★★(2014年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2016年1月にToyota Safety SenseCが一部グレードに標準装備された。2019年1月には、第2世代のToyota Safety Senseに換装、全車標準装備とした。

●ヴォクシー/ノア/エスクァイア(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:182.3点/208満点 ★★★★★(2014年度)

●シエンタ(2代目・2015年7月発売)

衝突安全:166.8点/208満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2018年9月に第2世代のToyota Safety Senseを一部グレードに標準装備。

●シエンタ(サイド・カーテン・エアバッグ付き)

衝突安全:175.8点/208満点 ★★★★★(2015年度)

【SUV・クロスカントリー4WD】
●C-HR(初代・2016年12月発売)

衝突安全:185.8点/208満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:74.4点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety Sense Pを全車標準装備。2019年10月にインテリジェントクリアランスソナーなどのオプション選択を可能とした。

●RAV4(5代目・2019年4月発売)

衝突安全:88.9点/100満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:137.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2020年7月上旬時点でなし(第2世代Toyota Safety Senseを全車標準装備)。

●ライズ(初代・2019年11月発売)

衝突安全:85.7点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:73.6点/141点満点 ASV++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ライズ」はダイハツ「ロッキー」のOEM供給車のため、スマートアシストを搭載(現在、スマートアシストには、バージョンを示すローマ数字が末尾につかなくなった)。

●ランドクルーザー(2007年9月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2015年8月にToyota Safety Sense Pをトヨタ車で初搭載。全車標準装備とした。

【軽自動車】
●ピクシス エポック(2代目・2017年5月発売)

衝突安全:165.7点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス エポック」は、ダイハツ「ミラ イース」のOEM供給車のため、スマートアシストIIIを一部グレードに標準装備。

●ピクシス ジョイ(初代・2015年9月発売)

衝突安全:166.0点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:33.6点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス ジョイ」はダイハツ「キャスト」のOEM供給車のため、スマートアシストIIが一部グレードに設定されており、2017年10月のマイナーチェンジでスマートアシストIIIに換装された。

●ピクシス メガ(初代・2015年7月発売)

衝突安全:159.2点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:30.5点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ピクシス メガ」はダイハツ「ウェイク」のOEM供給車のため、スマートアシスト(I)を一部グレードに採用しており、2016年5月にスマートアシストIIに換装。2018年1月には、さらにスマートアシストIIIに強化され、全車標準装備となった。

【商用車】
●JPN TAXI(初代・2017年10月発売)

衝突安全:182.9点/208満点 ★★★★★(2017年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety SenseCを全車標準装備。2019年3月に第2世代Toyota Safety Senseに換装された。

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続いて日産8車種とホンダ14車種

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