2019年11月01日 18:15 掲載
交通安全・防災 【JNCAP2019前期】4車種で最も衝突安全性能が高いのは?
衝突安全性能評価試験は、試験対象車を実際にクラッシュさせる過酷なテストだ。画像は、ホンダ「インサイト」が真正面からバリアに激突する「フルラップ前面衝突試験」の様子。
JNCAP2019年度後期が2020年5月27日に発表されました。2019年度後期の衝突安全性能についての記事はこちらからご覧ください。
衝突安全性能評価は2018年度から得点の算出方法が大きく変更
衝突安全性能評価は、得点の算出方法が2018年度に大きく変更した。衝突安全の性能評価試験は、大別して乗員保護と歩行者保護、そしてシートベルト着用警報装置の3種類がある。2011年度から2017年度までは、乗員保護と歩行者保護は同等に取り扱われ、どちらも100点ずつ。そこにシートベルト着用警報の8点を加えた合計208点満点だった。
しかし2018年度からは乗員保護に重きが置かれて全59点、歩行者保護が全37点、シートベルト着用警報が全4点という配分で、合計100点満点となった。2019年度も同様である。
試験内容の詳細
試験内容は大別して3種類あることを説明したが、歩行者保護と乗員保護はその中でさらに複数の試験が用意されている。
【歩行者保護性能評価:全37点】
●頭部保護性能試験(0~32点)
歩行者がクルマにはねられて車体に乗り上げ、頭部をボンネットやフロントウインドーなどに打ちつけたことを模擬した試験だ。頭部インパクタを試験対象車のボンネットなどに時速40kmで衝突させ、衝撃点における頭部の傷害値を計測。傷害の程度は5段階で評価される。
頭部保護性能試験を受けているレクサス「UX」。ボンネットを凹ませているのが、頭部インパクタ。
●脚部保護性能試験(0~5点)
歩行者がクルマにはねられ、歩行者の脚部がバンパーなどに衝突したことを模擬した試験だ。脚部インパクタを試験対象車のバンパーに向けて時速40kmで衝突させ、衝撃点におけるヒザやスネの傷害値を計測。脚部の傷害の程度は5段階で評価される。
脚部保護性能試験を受けているレクサス「NX」。赤い物体が脚部インパクタ。
【乗員保護性能評価:全59点】
●フルラップ前面衝突試験(0~21点)
同じクルマ同士が正面衝突したことを模擬した試験。試験対象車を時速55kmでコンクリート製のリジッド・バリアに正面衝突させ、運転席と助手席に載せられたダミーの頭部や胸部などに受けた衝撃と室内の変形をもとに、乗員保護性能の度合いが評価される。
フルラップ前面衝突試験を受けているダイハツ「タント」。現代のクルマはフロント部分などがあえて壊れることで衝撃を吸収する仕組みを持つ。
●オフセット前面衝突試験(0~21点)
衝突を避けようとして、クルマの運転席側半分が対向車に衝突したことを模擬した試験だ。アルミハニカム製デフォーマブル・バリアに対し、試験対象車を時速64kmで運転席側の一部(オーバーラップ率40%)で前面衝突させる。乗員保護性能の度合いの評価はフルラップ前面衝突試験と同じだ。ただし、ダミーの搭載位置は運転席と後席左側。
オフセット前面衝突試験を受けた直後のレクサス「UX」。運転席側が衝突するため、反動で衝突後の車体は左側へと行ってしまう。
●側面衝突試験(0~15点)
1300kgのクルマが側面に衝突してきたことを模擬した試験。静止状態にある試験対象車の運転席側の側面に、重量1300kgの台車(先端にアルミハニカム製デフォーマブル・バリアを装備)を時速55kmで衝突させる内容。側突用ダミーを運転席にのみ載せ、ダミーの頭部や胸部などに受けた衝撃と室内の変形をもとに、乗員保護性能の度合いが評価される。
側面衝突試験を受けるホンダ「インサイト」。運転席のサイドウインドーが粉みじんになって霧のように舞い、リアドアは激しく凹んでいる。
●感電保護性能評価試験(点数なし)
ハイブリッド車ならびにEVが衝突事故を起こした際に、乗員や救助者が高電圧部分に触れても感電しないことを評価するための試験。ガソリン車に対しては行われないため配点はなく、評価基準に適合したクルマは得点ではなくマークで表される。
●後面衝突頸部保護性能試験(0~2点)
停車中のクルマに後方から時速36kmでクルマが衝突した際の衝撃を模擬した試験。後面衝突を再現できる衝撃試験装置(HYGE)の台上に、試験対象車の運転席また助手席シートを取り付け、ダミーを座らせて時速20kmで急激に前方に射出する。これにより衝突時の衝撃(急激な速度変化など)を再現し、その時にダミーの頸部が受ける衝撃をもとに、頸部保護性能が評価される。
乗員保護性能試験のひとつ、後面衝突頸部保護性能試験を受けているダイハツ「タント」のシート。
【シートベルトの着用警報装置評価:全4点】
運転者以外の搭乗者にシートベルト着用を促す装置の評価を行う。試験においては、装置の警報の種類やタイミング、表示位置などの作動要件が確認される。
2019年度前期の衝突安全性能評価試験を受けたのは全4車種
今回試験を受けたのは全4車種で、内訳は以下の通りだ。
【ダイハツ】
●タント/タント カスタム(※1)
※1 スバルにOEM供給されている「シフォン/シフォン カスタム」も同性能を有する
【ホンダ】
●インサイト
【レクサス】
●NX
●UX
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