2019年09月28日 15:00 掲載

旧車 誕生して53年! 初代から11代目までトヨタ「カローラ」の歴史に迫る

1966年11月の発売以来53年、12代にわたって日本だけでなく世界で多くの人々に愛用されているトヨタ「カローラ」。初代から11代目までの旧モデルを一挙に紹介する。「カローラ」とは、各時代においてどのようなクルマだったのか。

神林 良輔

トヨタ カローラ デラックス KE10D型 1966年式|Toyota Corolla Deluxe KE10D Type 1966 Model Year

初代「カローラ」のKE10-D型「デラックス」1966年式。スタイリングは日本人デザイナーが手がけた。「カローラ」というとファミリーカーのイメージが強いが、初代は高速性能をイメージさせるため、ヘッドランプ周辺のデザインを工夫し、豹の目のような精悍さを表現したそうである。今回の11代の「カローラ」はすべてMEGA WEBにて撮影した。

 大衆車として、日本のモータリゼーションを牽引してきた1台であるトヨタ「カローラ」。「Corolla」とは英語で"花冠"(花びらの集合体のこと)を意味し、桜を思わせるような、日本らしい美しい名を持ったクルマである。「人目を引く、美しいスタイルのコンパクトカー」をイメージして命名されたという。排気量1500ccクラスの小型セダン・コロナ(1957年誕生)と、通商産業省(現・経済産業省)の「国民車構想」に沿って開発された排気量700ccクラスの小型車パブリカ(1961年誕生)の間を埋める1000ccクラスの車種として、初代「カローラ」は1966年11月に誕生した。

 日本のモータリゼーションを発展させただけでなく、1966年に初代がオーストラリアへ輸出されたのを皮切りに世界各国へ輸出され、2019年現在は全世界170か国・地域で販売され、累計販売台数は4765万台を突破。まさにトヨタの屋台骨ともいうべき車種であり、世界の「カローラ」なのだ。

日本のモータリゼーションを加速させた初代は1966年11月に登場

トヨタ カローラ デラックス KE10D型 1966年式|Toyota Corolla Deluxe KE10D Type 1966 Model Year

KE10-D型「カローラ デラックス」1966年式。全長×全幅×全高:3845×1485×1380mm、ホイールベース:2285mm、トレッド前1230/後1220mm、車重690~710kg。排気量1077cc・水冷直列4気筒(直4)SOHCエンジン「K型」、最高出力60ps/6000rpm、最大トルク83.4N・m/3800rpm。サスペンション:前ストラット式/非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ:前ツー・リーディング式/後リーディング・トレーリング式ドラム。11代目の発売日は1966年11月5日。1970年4月まで生産された。

 初代「カローラ」は、日産ダットサン・サニー1000と共に、"日本に本格的なモータリゼーションをもたらした"といわれるほどの人気車種となる。発売から3年5か月で100万台をラインオフし、当時の国内におけるミリオンセラー最短記録を打ち立てた。さらにモデル末期の1970年3月には、輸出も含めて1か月で5万3000台という販売台数を記録している。その大成功のための反面教師となったのが、「パブリカ」だった。あまりにも質素に作りすぎてしまい、発売当初は販売台数が伸び悩んだ「パブリカ」に学び、当時の「マイカー」の購入希望者層が持つクルマに対する"憧れ"や"夢"に応えることでアピールしていったのである。初代は3種類のグレードが用意され、上画像の「デラックス(KE10-D)」は49万5000円。「スペシャル(当時は"スペシアル"と表記、KE10-B)」が47万2000円、「スタンダード(KE10)」が43万2000円だった(いずれも東京地区)。

トヨタ カローラ デラックス KE10D型 1966年式|Toyota Corolla Deluxe KE10D Type 1966 Model Year

初代「カローラ」を後方から。初代「カローラ」はスポーティな要素が加えられていた点も特徴のひとつで、リアは尻下がりのセミ・ファストバックスタイルが採用されていた。

【初代時代の「カローラ」史トピック】
1966年11月5日:初代「カローラ」誕生
1967年5月13日:商用車「カローラ バン」誕生、4ドアセダンおよび2速AT「トヨグライド」搭載モデル追加
1969年9月:エンジンを1077ccの「K型」から1166ccの「K-3型」に切り替え

ボディやエンジンの種類が豊富になった2代目1970年5月に登場

トヨタ カローラ 2代目 TE20型 1970年式|Toyota Corolla 2nd TE20 Type 1970 Model year

TE20型「カローラ(2代目)」1970年式。全長×全幅×全高:3945×1505×1375mm、ホイールベース:2335mm、トレッド前1255/後1245mm、車重730~785kg。排気量1407cc・水冷直4SOHCエンジン「T-BR型」、最高出力:ps/6000rpm、最大トルク:117.7N・m/3800rpm。サスペンション前ストラット式/後・非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ前シングル・シリンダーディスク式またはツー・リーディング式/後リーディング・トレーリング式ドラム。2代目の発売日は1970年5月6日。1974年4月まで生産された。

 1970年5月にフルモデルチェンジして2代目となった「カローラ」。安全性、居住性、高速連続走行性能、豪華さを追求する形で開発された結果、ボディの大型化がなされた。デザイン面では、前席サイドウインドー前部の三角窓が廃止。フロントグリルとリアコンビネーションランプの周囲に樹脂を用いた意匠が採用されたことなどが、初代からの目立つ変更点だ。また座席に関しては、前席にヘッドレスト一体型のハイバックシートが採用された。エンジンに関しては、初代のモデル末期に投入された排気量1166ccの水冷直列4気筒OHVエンジン「K-3型」が引き続き採用。後にT系と呼ばれる3種類のエンジン(SOHC1407cc、SOHC1588cc、DOHC1588cc)が追加設定され、排気量で3種類、仕様で2種類という6種類のエンジンがラインナップされた。上画像のTE20型は、1407ccの「T型」エンジンを搭載したグレードだ。

トヨタ カローラ 2代目 TE20型 1970年式|Toyota Corolla 2nd TE20 Type 1970 Model year

2代目「カローラ」を後方から。上画像の4ドアセダンは初代からセミ・ファストバックスタイルを継承。一方クーペはフル・ファストバックスタイルが採用された。

【2代目時代の「カローラ」史トピック】
1970年5月6日:
セダン、「カローラ バン」が2代目にフルモデルチェンジ。クーペモデル「カローラ クーペ」誕生
1972年3月:「カローラ クーペ」の最上位モデル「カローラ レビン」誕生

車名別生産台数世界一となった3代目は1974年4月に登場

トヨタ カローラ 3代目 TE30型 1974年式|Toyota Corolla 3rd TE30 Type 1974 Model year

TE30型「カローラSL」。全長×全幅×全高:3995×1570×1375mm、ホイールベース:2370mm、トレッド:前1300/後1285mm、車重890~905kg。排気量1407cc・水冷直4SOHCエンジン「T-BR型」、最高出力:91ps/6000rpm、最大トルク:117.7N・m/4000rpm。サスペンション前ストラット式/後・非対称半だ円リーフ・スプリング。ブレーキ前ディスク/後リーディングトレーリング式ドラム。3代目の発売日は1974年4月26日。1979年2月まで生産された。

 通称「30(さんまる)シリーズ」と呼ばれる3代目「カローラ」は1974年4月に登場した。実はこの3代目が登場して以降も、廉価モデルとして2代目(20シリーズ)がしばらく並行生産されており、区別をするため通称が用いられていた。ちなみに、この3代目の販売期間中に「カローラ」は車名別生産台数の世界一を達成した。またこの時期は排出ガス規制や衝突安全規制への対応がクルマに求められていたが、トヨタは、2代目よりもさらに大型化が進むのを理解した上で、ホイールベースとトレッドを前後共に拡大。エンジンルームやボディに必要なスペースを確保し、そこに必要な機器を搭載し、もしくは必要な機構を採用するなどして対応した。排出ガス規制については、最終的に当時、世界で最も厳しいとされた「昭和53(1978)年規制」に適合した。

トヨタ カローラ 3代目 TE30型 1974年式|Toyota Corolla 3rd TE30 Type 1974 Model year

3代目「カローラ」を後方から。基本的なセミ・ファストバックスタイルなどは引き続き踏襲された。生産はトヨタの高岡工場に加え、関東自動車工業、そして1975年12月から1978年6月まではダイハツも担当した。

【3代目時代の「カローラ」史トピック】
1974年4月:
初代「カローラ クーペ」が生産終了
1974年4月26日:
セダン、「カローラ バン」が3代目にフルモデルチェンジ。ハードトップモデル「カローラ ハードトップ」誕生
1976年1月14日:3ドア・ワゴンモデル「カローラ リフトバック」誕生
1977年1月13日:「カローラ クーペ」の2代目が登場

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続いては4~7代目を紹介!

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