2022年01月12日 20:10 掲載
次世代技術
ソニーは本気でEVメーカーを目指すのか? 試作車第2弾「VISION-S 02」に込められた真の目的とは
セダンタイプの「VISION-S 01」登場後に姿を表したSUVタイプの「VISION-S 02」(写真提供=SONY)
2年間の沈黙を破り、ソニー製EV第2弾が登場
実は、個人的にはソニーが『VISION-S』の第2弾を発表するのではないかと予想していた。以前、ソニーグループでAIロボティクスビジネスを担当する川西 泉常務に取材した際、「セダンだけでなく、スポーツタイプなど他の車型へ展開する可能性」を示していたからだ。
しかし、約36分のプレスカンファレンスが進行する中、映画の話やドローンの話はあるものの、VISION-Sの気配はなかなか感じられないでいた。だが、その雰囲気が変わったのは後半8分を切ったときだった。
まず、登壇していたソニーグループの吉田憲一郎社長が「ここでモビリティのメガトレンドをお話しする」と切り出し、背後から出てきたのは2年前の『VISION-S』。「なるほど、VISION-Sの経過報告をここでするのか」と多くの人が思ったはずだ。
しかし、話は違う方向へと向かう。吉田社長は「安全に移動しながらエンターテイメントも楽しみたいという希望に、ソニーは応えられる。(2年前の)発表後、大きな反響を受けて、移動する体験をどのように変革できるか考えてきた」とし、ここで「本日、新しいVISION-Sを披露したい」と述べたのだ。そこからオンラインのカメラは左袖をズームアップし、SUV形状の新たなVISION-Sとおぼしき車両が登場。吉田社長がそれを迎え入れる様子が映し出された。
記者達はその瞬間を逃すまいと多くのフラッシュを放つ。これだけでも記者達の興奮ぶりが伝わってくるが、この日の本当の意味での"真打ち"はこの後だった。
「VISION-S」のコンセプトについて話すソニーグループの吉田憲一郎CEO(写真提供=SONY)
吉田社長は「我々はさまざまな企業から"動"の分野で多くを学んできた。その経験から我々が持つセンサー技術や5Gと、エンターテイメント技術を組み合わせることでソニーはモビリティを再定義するクリエイティブカンパニーになれると確信した」とし、これを加速するため「22年春に新会社『ソニーモビリティ』を設立し、ソニーとしてEVの市場投入を本格的に検討していく」と宣言したのだ。
この宣言に会場は一瞬、静まり返ったが、すぐに我に返ったかのように拍手と歓声が沸き起こった。ソニーは2年前のVISION-Sを発表して以来、一貫して「販売については今のところ検討していない」(前出:川西氏)と述べており、新会社を設立してまでEV事業化を検討しているとは、誰もが想像すらしていなかったはず。それだけにこの宣言には誰もが驚いたことだろう。この後、吉田社長は満面の笑みを浮かべながら会場を後にした。
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