2021年11月29日 12:00 掲載

次世代技術 ニーズ高まる宅配向け小型電動トラック(BEV)。ヤマト運輸と日野自動車が集配業務の実証実験を開始

労働人口の減少やeコマースの拡大などを背景に、都市部や住宅街での宅配業務の作業効率も考慮した次世代トラックの開発が進んでいる。ヤマト運輸と日野自動車が実証実験を進める小型電動(BEV)トラックは、従来のトラックと何が違うのか?

文=くるくら編集部

電気自動車ならではの強みを活かす

ヤマト運輸と日野自動車が共同で開発をすすめる「日野デュトロ Z(ズィー)EV」。

ヤマト運輸と日野自動車が共同で開発を進める「日野デュトロ ZEV」。

 ヤマト運輸と日野自動車は11月22日、共同で小型BEVトラックの実証実験を開始すると発表。24日から同車両を用いた集配業務を開始した。

 近年、持続可能な物流の実現に向けた温室効果ガス排出量の削減など、環境に配慮した取り組みの重要性が高まる中で、ヤマトグループは、経営構造改革プランの長期目標として「2050年CO2排出実質ゼロ」を掲げ、環境に配慮し、かつドライバーにとって実用性の高い低炭素車両の導入を進めている。

 いっぽう日野も、環境負荷ゼロへのチャレンジを掲げており、カーボンニュートラルの実現に向け取り組みを加速させている。今回の実証実験は、そうした2社の共通する目標により実現したプロジェクトである。

 使用される車両は、日野が開発した小型電動(BEV=Battery Electric Vehicle)トラックの「日野デュトロ ZEV」だ。バッテリーのみで走る電気自動車である。その特徴は、走行時に温室効果ガスを排出せず、環境に配慮した車両であることはもちろんだが、このトラックの最大の売りはコンパクトなボディサイズと、BEVだからこそ実現できた超低床構造にある。

従来の後輪駆動車と比べて床面地上高は半分の約400mmという超低床構造を実現。荷役作業性や乗降性を大幅に向上させた。

従来の後輪駆動車と比べて床面地上高は半分の約400mmという超低床構造を実現。荷役作業性や乗降性を大幅に向上させた。

コンパクト&超低床構造が実現できたワケ

 全長4.7×全幅1.7×全高2.3mというサイズは、現行の日野デュトロより一回り小さく、全高以外は5ナンバーサイズに収まる。住宅街を走行しやすいことはもちろん車両総重量は3.5t未満のため、普通免許でも運転可能であることから、昨今、物流業界の課題のひとつとなっているドライバー人材確保にも貢献するという。

 また日野デュトロ ZEVは宅配現場での使い勝手の良さも追求している。従来のエンジンとトランスミッションの代わりにコンパクトなモーターをキャブ下に搭載し、前輪駆動車としたことで従来の後輪駆動車と比べて床面地上高は半分の約400mmという超低床構造を実現。荷役作業性や乗降性を大幅に向上させた。さらにウォークスルー構造の採用で、ドライバーは車を降りることなく運転席から直接荷室への移動が可能になった。

 航続距離ついては、発表されたリリースによれば、宅配用途に必要な100km以上を目指し開発されたという。主な使用シーンとして、荷物を生活者に届ける「物流のラストワンマイル」の現場である市街地での宅配を想定しているそうだ。

ウォークスルー構造とすることで、運転席から降りることなく荷室への移動が可能に。作業性が向上した。

ウォークスルー構造とすることで、運転席から降りることなく荷室への移動が可能に。作業性が向上した。

「日野デュトロ Z(ズィー)EV」のボディサイズは、全長4.7×全幅1.7×全高2.3mとコンパクト。

「日野デュトロ ZEV」のボディサイズは、全長4.7×全幅1.7×全高2.3mとコンパクト。

ライバル企業も電動トラックを順次導入

 今回の実証実験は、2021年11月24日~2022年5月末までの約6か月間、日野デュトロ ZEV を2台運用し実施が予定されている。カーボンニュートラルの実現、そして働くドライバーの課題解決に向けて、温室効果ガス排出量削減効果や、集配業務における効率性・作業負荷低減の効果などが検証される。

 昨今、宅配向けなど小口配送用にBEVの導入を目指す動きが広がっている。佐川急便は今年4月、近距離の集配に使用している約7200台の軽自動車をすべてBEVに切り替える計画を発表した。日本郵便ではすでに都内を中心に1200台のBEVが走っている。環境への配慮だけでなく、労働人口の減少やeコマースの拡大などを背景に、都市部や住宅街での宅配業務の作業効率も考慮した次世代トラックの電動化は、今後ますますニーズが高まりそうだ。

ライターお勧めの関連記事はこちら