2020年04月15日 15:05 掲載
次世代技術 トヨタはなぜNTTとタッグを組むのか? 見えてきたトヨタのスマートシティ構想
NTTとトヨタはスマートシティの実現に向け、それぞれが2000億円を拠出する巨大提携に踏み切った。右がNTTの澤田 純社長、左がトヨタ自動車の豊田章男社長
ハードとソフトの関係性が変わる時が来た
トヨタは3月24日、スマートシティの基盤技術の開発を目指すコアなパートナーとしてNTTと資本提携したことを発表した。出資額は相互に2000億円規模。トヨタは自動運転などを街全体で活用するスマートシティとして「Woven City」を静岡県裾野市に建設する計画だが、今回の提携はその実現に向けた大きな一歩となる。
この日、最初に登壇したのはNTTの澤田純社長だ。澤田氏は冒頭、「トヨタ自動車、NTTの資本業務提携に非常に興奮している」と現在の心境を述べた後、「我々はスマートシティを広げていくべきで、モビリティの世界でナンバーワンのトヨタと一緒に住民や社会基盤の構成に貢献していきたい」と提携に向けた抱負を述べた。日本を代表する通信業界のトップと自動車業界のトップが共に一つの目標に向かって動き出す。澤田社長の言葉にはそんな想いが込められていたはずだ。
NTTとトヨタの提携は、静岡県裾野市で2021年より開発を進める「Woven City」の場で展開される
NTTの澤田社長は「モビリティの世界でナンバーワンのトヨタと一緒に住民や社会基盤の構成に貢献していく」と述べた
NTT澤田社長が掲げたスマートシティ・プラットフォームの基本思想
続いてトヨタの豊田章男社長が登壇。そこでまず語られたのは、社会が2つの大きな流れの中にあるということだ。一つは「ソフトの進化がハードを上回り、"ソフトウェアファースト"の考え方が(社会に)広がってきている」ということ。これまでクルマはハードとソフトが常に一体開発されてきたが、その一方でスマートフォンは、ハードはそのままでもアップデートによって進化することができる。これをとうの昔に実現していた。
豊田社長は「(今後はクルマも)フルモデルチェンジはハードを更新するタイミングで、その際に車を買い換えていただき、マイナーチェンジではソフト更新だけにする。それだけで新たな機能や価値を提供できるようになる」と述べた。「ソフトとデータがカギを握る、高度運転支援機能など先進技術」が欠かせなくなった今、クルマもついにその時代に入ったということを豊田社長はここで強調したのだ。
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次世代技術