2019年07月22日 12:57 掲載

次世代技術 自動運転はなぜ必要? その理由
新連載「いま、自動車業界でなにが起きているのか」(第1回)

100年に一度の変革期にあると言われる現在の自動車業界。今後、モビリティは社会をどう変えていくのか? 本連載では専門性の高い内容をやさしくかみ砕き、解き明かしていきます。第1回は自動運転に関する自動車メーカーの思惑について。

文・大谷達也

自動運転技術を開発する米ウェイモは、乗用車以外に自動運転トラックの開発も進めている。

商業車自動運転の可能性

 6月20日、ルノー、日産自動車、ウェイモ(グーグルを傘下に持つアルファベットの自動運転開発会社)の3社はドライバーレス・モビリティサービスに関する独占契約を結び、今後、フランスと日本において乗客および配送向けドライバーレス・モビリティサービス事業に関して実現の可能性を検討していくと発表しました。

 この手のニュースは毎日のように飛び込んできますが、その本当の意味を理解するのは難しいように思います。そこでこのコラムでは、そのときどきで話題になった出来事をかみ砕いて説明し「いま、自動車界でなにが起きているのか?」を解き明かしていきます。

 その第1回は、冒頭のニュースについて解説しつつ、自動車メーカーの思惑を紹介することにしましょう。

 まず、ドライバーレスとは自動運転技術の一種で、完全にドライバーが不要な運行システムのことを指します。これをタクシーもしくはバスのような事業、または宅配事業に応用する可能性を3社で探っていくというのです。

 いま話題の自動運転ですが、このなかにはさまざまな技術レベルが存在します。基本的には人が運転するものの、その一部の操作を自動運転技術で助けてくれるものもあれば、人が乗っていても、基本的な運転操作はすべてクルマがまかなってくれるものも開発されています。

 このニュースにあるドライバーレスは自動運転の究極の姿で、ドライバーがまったく不要な技術です。そんなこと、本当に可能なのでしょうか? これを実現するうえでさまざまな課題があるのは事実ですが、数多くの自動車メーカーやIT企業がその実現にチャレンジしようとしているのが現実です。

 ではドライバーレスにできると、どんなメリットがあるのでしょうか?