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クルマ最終更新日:2018.01.31 公開日:2018.01.31

全国の高速と国道で合計76万件!! 国交省、道路への落下物事故をなくすための啓発活動を実施

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落下物防止キャンペーンで、スタッフが配布物を手渡してドライバーに直接呼びかけた。足立トラックターミナルの正面ゲートにて撮影。

 道路上の落下物件数が1年間にどのぐらいあるかご存じだろうか? たとえば、国土交通省が管理する全国の高速道路と国道における件数は、なんと約76万件(2016年)。後続車の事故を誘発しており、2017年10月には岡山県津山市の中国自動車道で、母娘が亡くなるという重大事故も発生している。

 積み荷はドライバーに責任がある。落下しないようしっかりと固定したり、砂利などではシートで覆ったりするなど、落下を防ぐ最大限の努力をしないといけない。万が一落下物によってほかのクルマや人に損害を与えた場合は、落とし主であるドライバーに損害賠償責任が生じるのである。

 年々、落下物は増加傾向にあり、事故を少しでも減らすべく、国土交通省関東地方整備局東京国道事務所は、1月25日、トラックドライバーへの落下物防止の啓発活動を実施した。トラックが数多く集まることから、東京都足立区入谷の、23区内有数の大型公園である舎人公園に隣接する足立トラックターミナルで行われた。

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配布内容物について!

どんなものが配布された?

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今回配布されたもの。単にチラシだけだと1回目を通しただけで終わってしまうので、ティッシュボックスも配布。運転席などで利用されれば、しばらくはドライバーに落下物防止を意識してもらえるだろう。

 今回配布されたのは、チラシ3点とボックスティッシュ1箱。チラシは、メインの落下物防止、それに関連する大型車の積載重量超過防止、そして今冬は降雪量の増大が予想されているため、冬用タイヤやチェーンなどの冬装備について啓発する内容だ。

 そしてボックスティッシュは、落下物防止の啓発的な文言。運転席などで使われると思われ、常にドライバーの視界に入るようにすることで、できるだけ長い期間、意識してもらうことが目的である。

 今回は130セットを用意し、1時間で配布終了。足立トラックターミナルの正面ゲートと出口専用ゲートの2か所で配布され、大多数のドライバーが受け取っていた。

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こちらは足立トラックターミナルの出口専用ゲートでの様子。一般道に出る前に一時停止するので、そのときに渡していた。

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どんな落下物があって何が危険?

どんな落下物があるのか?

 配布終了後、国交省関東地方整備局東京国道事務所の管理第二課長の藤坂幸輔氏に対し、今回のキャンペーンについて合同インタビューを実施した。

 全国で約76万件の落下物件数に対し、東京国道事務所が管理する総延長164kmの一般国道においては年間約3600件に上るという。確認された件数だけで、1日平均で10件近い落下物があることになる。実際には、都道や区道もあるわけで、都内全体を見た場合は、もっと増えることになるだろう。

 なお東京国道事務所では日々パトロールをしており、こうした落下物があった場合は回収するようにしている。回収したものは落とし主が引き取れるように一定期間保管されるが、多くのケースで申し出る人はいないという。

 ちなみに落下物はそれこそ多種多様で、クルマの外装パーツなどに始まり、建築資材や石膏ボード、はしご、バスタブ、便座、さらにはコンテナやプレハブなどまで落ちているという。

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落下物の例。トラックで輸送されるものの大多数が、1度は落ちているのではないだろうか。中には、こんなものまで!? と驚かされるものも。

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最も危険な落下物のひとつはこれだ!

中でも危険なのはタイヤ!

 さまざまな落下物がある中で、横転事故につながりかねないとても危険な落下物がタイヤだという。

 コンテナやプレハブなどは確かに衝突したら大変だが、大きいために目立つので、回避したりブレーキをかけたりして事故には至らないことが多い。しかしタイヤはあまり大きさがないために気がつきにくく、それでいて重量があってクルマがその上を通過するには段差が大きい。こういう背の低い重量物に乗り上げると、横転につながってしまうのである。

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交通監視カメラがとらえた、タイヤの落下物による転倒事故の瞬間。段差に強そうな4輪駆動車が、横転してしまった。

落下物による被害に極力遭わなくする方法

 乗用車の一般ドライバーが落下物の被害に遭わないためには、落下物は想像以上に多いということを認識し、走行時は前方の注意を怠らないことが重要だ。前走車との車間距離をしっかり取り、そして様子をよく見て、不自然な車線変更や、何かをよけるような挙動を見落とさないようにすること。そうした時に落下物がある可能性を思い浮かべるだけでも、対処に差が出るはずだ。

 また、何かを落としそうな雰囲気があるトラックなどの後ろは走らない、という当たり前のことをすることが被害に遭わないようにするためにできるという。

2018年1月31日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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