【動画あり】ジャパンEVラリー白馬2017その1 BMW「i3」&テスラ「モデルS」などに実際に乗ってみた!
9月2日(土)~4日(月)に長野県白馬村で開催された、『ジャパンEVラリー白馬2017』(一般社団法人日本EVクラブ主催、白馬村/白馬村観光局後援)。
ここでは、その試乗会において、実際に運転したり同乗試乗したりしたEV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)の様子をお届けする。
その1はEV&FCV編。EVはBMW「i3」とテスラ「モデルS P100D」、FCVはトヨタ「MIRAI」。その静粛性にも注目だ。それぞれ車内から撮影した走行時の動画も掲載する。
また実際に乗ることはできなかったが、日本EVクラブが所有するケーターハム「スーパーセブン」ベースの「EVスーパーセブン」も紹介する。
試乗会で一番人気を争ったBMW「i3」
BMW「i3」。BMWといえば、フロントの「キドニー・グリル」がデザイン上のトレードマーク。同車はEVなので空気を取り込む必要がないのでふさがれているが、デザイン上のキドニー・グリルはしっかり存在する。
BMW「i3」は日本では2014年4月から販売が始まり、現在は2016年10月から販売されている2代目。BMW車の中で、コンパクトなボディとEV車であるという点で異彩を放っている1台だ。量産車としては世界初となるCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)によるモノコックボディなどでもよく知られている。
「i3」は、EVとしての航続距離を延長するためのエンジンを搭載した「レンジ・エクステンダー」タイプ(ただし一般的なPHVのようにガソリンだけでは走行できない)と、今回のEVタイプと2種類あり、今回はEVのみが試乗会に用意された。試乗会では非常に人気が高く、戻ってきてはすぐに次の試乗で出て行くという具合だった。
乗ってみた感想は、回生ブレーキの強さ。試乗コースはスタートしてすぐ山道を下るのだが、下り坂でもアクセルペダルから足を離せばしばらくして停車してしまうほどだった。現在、EVはワンペダルで走れる設定が主流で、「i3」もそうした1台というわけである。
リアビュー。従来のBMWのイメージからはかけ離れたデザイン。なお、車両価格は499万円(税込)から。
コンパクトなボディながら、リアドアが後ろに開く観音開き式にすることで、後席の乗り降りがしやすくなっている。それを実現したのが、Bピラーを必要としないCFRP製のモノコック構造のボディである。
「i3」の同乗試乗動画。当たり前だがエンジン音がないため、走行で発生する騒音はタイヤによるロードノイズや風切り音が大半を占める。動画中の解説は、インストラクターとして同イベントに参加した人気の女性モータージャーナリスト・吉田由美氏。
テスラ「モデルS P100D」の助手席に同乗試乗
テスラは米車だが、スタイリングは欧州車風とも感じた。うっかりアクセルを踏むと危険なほどの加速力を有し、性能的には立派なスーパーカーだが、4ドアセダンであることを考えると、ジャンル的にはラグジュアリー性重視のGTカー。
「モデルS」は、2013年からテスラが日本での販売を開始したEV。デュアルモーターで前後輪それぞれを駆動するAWD(全輪駆動)により、時速0→100kmの加速が2.7秒という性能を有する。ガソリン車の場合、3秒を切るような車種はスーパーカーの中でも最上位に位置する。
このようにうっかり踏み込むと大変危険なため、今回はインストラクター(著名なモータージャーナリストも多数参加した)が運転し、助手席への同乗試乗という形が取られた。
なお、記者はかつて「モデルS」を試乗して高速道路なども含めて横浜~東京を走行したことがある。そのときは、「i3」と同様に回生ブレーキの効き具合がとても強かったことが印象に残っている。「モデルS」は回生ブレーキの効き具合を設定でき、やはり1ペダル操作が意識されているようだ。
「モデルS」のリアビュー。リアは大型のウィングなどは装備されておらず、スポイラーのみ。スッキリしている。なお「モデルS」は航続距離の長さなどでグレードがわかれるが、今回の「P100D」は最上位モデル。最大で613kmの航続距離がある。最高速度は時速250km。価格は1705万9000円(税込)から。
「モデルS」のコックピット。ステアリング左側の大型モニターはタッチスクリーンとなっており、ここでさまざまな操作が可能。ルーフの開閉ができたり、車高の調整も複数の段階から選択可能。
同乗試乗の様子。さすがに一般道のため、時速0→100kmが2.7秒という激烈な加速力は体験できなかった。その代わり、タッチスクリーンで実にさまざまなものを操作できることを見てもらえるはずだ。
FCV「MIRAI」もEVの仲間
「MIRAI」。同車のコアとなる燃料電池(FCスタック)は車体中央下部(前列シートの下ぐらい)に搭載されている。最高出力は114kW、体積出力密度は3.1kW/L。その前方、フロントアクスルの辺りにモーターがある。モーターの最高出力は113kW、最大トルクは335N・m。
トヨタ「MIRAI」は2014年の年末に販売が開始された、乗用車(セダン)としては世界初となる市販のFCV。
燃料電池とは、燃料を、燃焼ではない化学反応を用いて直接的に発電する装置をいう。名称からはわかりにくいのだが、電池(バッテリー)でも内燃機関でもなく、実際には発電装置である。「MIRAI」の場合は水素を燃料としており、発電した電気でモーターを駆動させて走行している。
バッテリーに充電した電気を使うのではなく、燃料を消費するところはガソリン車やディーゼル車のようだが、タイヤを回す仕組みはEVと一緒。よって当然車内も静かで、ロードノイズや風切り音しかない。
リアビュー。「MIRAI」は4ドアセダン。ボディ全体は空力が考慮されたデザインだが、リアにはウィングやスポイラーなど、スポーツカー系のこれ見よがしの空力パーツは備えられていない。なお、車両価格は723万6000円(税込)。
コックピット。操作系は従来と変わらない。発電した電力でモーターを駆動するときや、減速時の回生ブレーキで電力を貯蔵する際の電力の流れは、ステアリングの前方、この画像では暗く陰になっている部分にあるマルチインフォメーションモニターに表示される。
「MIRAI」の走行の様子。これまたタイヤと路面との摩擦で生じるロードノイズしか聞こえない。EVにさらなる静粛性を求める場合、タイヤの性能が重要になってくる。
EVにコンバートされた「スーパーセブン」
「EVスーパーセブン」。ベースとなったガソリン車のケーターハム「スーパーセブン」のパワー(kW)・ウェイト・レシオは、最上位グレードの「620R」では2.3という、うっかりアクセルを踏み過ぎたらどこかに吹っ飛びそうな驚異の数値。EVスーパーセブンは重量が200kg近く増加して出力も3分の1ほどなので、11.1とそれほどすごくはない。
「スーパーセブン」とは通称で、元々はイギリスのスーパーカーメーカー・ロータスが1957年に開発した「セブン」がベースだ。ロータスは、資金を得るために1973年に製造権などすべてを同社のディーラーだったケーターハムに売却。そしてケーターハムはその後、小規模自動車メーカーとなり、「セブン」シリーズの生産を続けて現代に至るというわけだ。
ご覧の通り、ヒストリックカーらしいデザインをそのまま踏襲しているが、時速0→100kmの加速は最上位グレードの「620R」なら2.8秒という、3秒切りのスーパー・スーパーカーのスペックを有している。
そんな「スーパーセブン」の4つあるグレードの内、下から2つ目の「270」をベースにして、EVにコンバートしたのが「EVスーパーセブン」である。EVコンバートとはEV化のことで、ガソリン車からエンジンなど内燃機関を取り払い、代わりにモーターやバッテリーなどで走行できるようにする作業のことをいう。青森県八戸市の東北自動車株式会社が、日本EVクラブの指導の下にコンバート作業を行った。
「EVスーパーセブン」のリアビュー。イベント2日目朝のEV&PHVによるパレードランでは先頭を走行した。
EVスーパーセブン・スペック
全長×全幅×全高:3100×1575×1115mm
ホイールベース:2225mm
トレッド(前/後):1270/1336mm
車重:約730kg
最高出力:65.3kW
モーター:High Performance AC50-01
バッテリー:東芝製SCiB(13.2kWh)
1充電距離:100~130km
コックピット。ちなみにベースとなったグレード「270」の価格は、496万8000円(税別)。
2017年9月15日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)