【CEATEC2016特集】村田製作所のスポーツ用ウェアラブル機器
モーションキャプチャーの仕組みをスポーツ用上達用のウェアラブル機器として応用
10月4日から7日まで、幕張メッセで開催された日本最大級の総合家電展示会「CEATEC2016」。
同展示会は、直接消費者が購入できる家電などを開発・販売している総合家電メーカーなどだけでなく、さまざまな製品の中に組み込まれている重要なパーツ・要素技術を開発しているBtoB系のエレクトロニクス系メーカーも多い。
自転車型ロボット「ムラタセイサクくん」や、その従妹で一輪車型ロボットの「ムラタセイコちゃん」、そして2014年に披露された玉乗り型で最も新しい「村田製作所チアリーディング部」のチアリーディングロボットたちの存在により、村田製作所は一般にも知名度が高いが、基本はBtoBの技術系メーカーだ。
村田製作所チアリーディング部のチアリーダーたちと、ムラタセイサクくん。
モーションキャプチャー技術をスポーツに応用!
同社は、今年も例年の通りに多岐にわたる分野の要素技術を披露したが、最も注目を集めていたのがモーションキャプチャー技術を応用したスポーツ用のウェアラブルソリューションだ。
よく知られているモーションキャプチャーの方式は、アクターの全身にマーカーを装着して、それを死角が生じないように複数の角度から撮影して、マーカーの3次元的な位置を連続して記録することで、身体の各部位の動きを把握するというもの。
今回、同社が披露したのは、マーカーではなく、小型・薄型・軽量でデータ通信が可能な9軸モーションセンサーを用いる方式だ。同センサーを多数装着したウェアを着用することで、複数のカメラがなくても、装着者の各部位の3次元的な動作を死角なしで把握できるのである。
頭部のバイザー、胸部、見えないが上腕・前腕、太ももと全身に装着された9軸モーションセンサーを通じて、身体の各部位の3次元的な動きを記録する仕組みである。
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モーションキャプチャーをスポーツの上達にどう利用?
モーションキャプチャーで自分の動作を客観視できるように
どのスポーツにおいても、自分ひとりで練習するしかない場合の最大の問題点は、客観的な視点がないため、具体的に動作のどの部分が悪いのかといったことを把握するのがなかなか難しい点である。
従来の機器で客観的な視点を得ようとしたら、せいぜいビデオカメラを自分に向けて撮影するぐらいしか手段がなく、しかもスロー再生などを使っても必ずしもわかりやすいとは限らなかった。
そこで、モーションキャプチャーの技術を応用してスポーツの動作を取り込み、身体の軸線や水平・垂直線といった補助線を描き加えたCGアニメでもって見える化することで、身体のどの部位の動作や位置、タイミングが正しくないかを把握しやすくしようというわけだ。
自分のスイングを軸などの補助線付きのCGアニメで表現してもらえる。
デモはゴルフを題材としており、スイングを行うと、スイングの軸がぶれているとか、どの部位の向きが適正ではないといったことを確認でき、同時にアドバイスも得られるので、とても動作の改善がしやすい感じだった。
アドバイス画面。コーチがいなくてもこれだけアドバイスしてもらえれば、上達は間違いないだろう。
ゴルフの他にも、野球(ピッチングやキャッチングなどもある)、テニス、卓球、バドミントンなど、用具をスイングさせる球技は多いし、バレエやダンス、フィギュアスケート、各種格闘技などへの応用もしやすいのではないだろうか。
もし可能なら、2020年の東京オリンピックで好成績を得るためにも、各競技の強化に用いてほしいところである。
チアリーダーロボ4体とムラタセイサクくんがコラボ!
そしてデモの最後は、同社の最新ロボットの「村田製作所チアリーディング部」の4体のチアリーダーロボットと、そして同社の元祖ロボット「ムラタセイサクくん」が共演してデモを披露。併せてお届けする。
今年は、新型ロボットのお披露目がなかったのもあり、ロボットたちはあまり目立った扱いではなかったが、村田製作所のロボットはCEATECの目玉のひとつともいえるので、例年通りロボットたちも含めたデモを見るために人だかりができていた。
村田製作所チアリーディング部のパフォーマンス。BGMにミュージシャンの楽曲が使われており、またロボットたちが特に音などを出さないことから、音声はカットして収録した。トータル3分55秒。
村田製作所チアリーディング部の応援に駆けつけたムラタセイサクくん。トータル時間は44秒。
2016年10月25日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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