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クルマ最終更新日:2018.09.21 公開日:2018.09.21

完全自動運転に対するイメージ

 顧客満足度調査などでおなじみのJ.D.パワーは2018年8月、先進運転支援システムADAS(*1)と自動運転に対する各国の意識の違いがわかる興味深いデータを公開した。これによると日本人の自動車ユーザーにおいては半数強がADASを信頼しており、自動運転車に対しては3割強が信頼していると答えた。国による意識の違いも興味深いので詳細を紹介する。

*1 先進運転支援システムADASとは、自動車に搭載されたレーダー、カメラ、各種センサーを利用し、ドライバーのエラーやミスをできる範囲で補完し、安全運転を支援するシステム。衝突被害軽減ブレーキが代表的。

半数前後がADASを信頼している

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ADASは、技術的には個別の運転自動化技術によって実現しているが、ADASが装備されているからといって自動運転車というわけではない。自動運転車については、最後に聞いている。J.D.パワー調べ。

 日刊自動車新聞社の調査によると、2017年末には、ADASを備えた新車の割合は設定車ベース(全車標準、グレード別標準)でトヨタが89%(レクサスを除く)、ホンダが90%、スバルが92.3%となっており、乗用車全体では60%以上となっている。政府も2020年までにADASの代表的な装備である「自動ブレーキ」の新車搭載率を90%以上へ拡大することを目指している。アイサイトが世に出た2008年から、わずか10年弱でADASは急激に普及している。

 限定的な速度で作動する自動ブレーキから歩行者をほぼ完ぺきなまでに感知する自動ブレーキまで、精度や種類はさまざまだが、かつては高級車のオプション装備だったADASの各装備も、今やコンパクトカーや軽自動車に標準装備されることも多くなっている。

 さらにJ.D.パワーの調査によると、ADASに関しては半数以上のユーザーが「完全に信頼している」、「ある程度信頼している」と回答。市民権を得たといってもよいだろう。一方、残念ながら自動運転車に対する評価は少々低めだ。もっとも、実験を除けば、日本にはまだ自動運転車は走っていないので当然かもしれない。

お国柄による違いは?日本人が気にしていることは?

日本

ドイツ

米国

中国

事故の際の法的な責任

 36%

19%

13%

18%

技術的な不良

31%

31%

50%

53%

運転する喜びを失う

10%

17%

8%

3%

ハッキング被害の可能性

7%

14%

13%

11%

自動運転者に対してドライバーが懸念していること(国別)。J.D.パワー調べ。

 同じくJ.D.パワーの調査によると、自動運転車に対してドライバーが心配している内容は、日本、ドイツ、米国、中国の4か国ではかなり違いがあることが分かった。

 日本人ドライバーがもっとも懸念することは、「事故の際の法的な責任」。つまり、機械任せの自動運転中、他車や歩行者と衝突事故などが起こった場合その責任は誰にあるのか?ということだ。また、「運転する喜びを失う」について日本よりもドイツで多くの人が懸念を抱えており、さすがは自動車大国ドイツであると感じる。ちなみにモータリゼーション著しい中国はわずか3%である。

 また、ドイツのドライバーが「運転する喜びを失う」と答えた比率が高いことは、AT車の普及率とも関連があるように感じる。日産自動車の調査によると、AT車の普及率は、日本では約99%、ドイツでは約10%である。ドイツではMT車に乗っている人の方が多く、自身でギアを操作する感覚を楽しむ人が大半なのではないだろうか。

 ちなみに、警察庁では2018年2月と2017年に減少した交通事故のうち、約6割が車両同士の追突事故だったことを発表している。その理由は「自動ブレーキの普及」としていて、交通事故の減少にADASの効果は現れているようだ。

2018年9月21日(雨輝・加藤久美子)

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