クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2021.12.08 公開日:2021.12.08

【動画で見る】大型トレーラー右折のメカニズム。狭い交差点でも曲がれる車軸ステアとは

夜にコンビニへ向かって歩いていたら、片側一車線の道路で大型トレーラーと遭遇。そして交差点に近づくとゆっくりと右折を開始。数回の切り返しをしないと曲がり切れないと予想していたが、なんと1回で曲がり切っていった! それを可能にしたのはトレーラー後輪が操舵する「車軸ステア」という機能だった。その仕組みを動画で解説。

記事の画像ギャラリーを見る

大きなトレーラーでも小回りできる車軸ステアとは

大型トレーラーの後輪が操舵する車軸ステア

トレーラーの後輪が操舵する車軸ステア 写真=藤原重機

 夜に家の近所のコンビニへ向かって片側一車線の道路を歩いていたところ、前方から大型トレーラーがあらわれた。その先の小さな交差点には、セダンやバンが停車し、交通整理をする人たちが立っている。この交差点を曲がるのでは!と思い、スマホで動画の録画を開始。

 牽引車とトレーラーという組み合わせで、片側一車線同士の小さな交差点は1回で曲がり切れないはず、と思い、プロドライバーのハンドルさばきを記録したいと録画していたのだが……。

【くるくら動画】大型トレーラーの右折

撮影=小林祐史

 すると一度は停止したが、なんと1回で曲がり切ってしまった。後で動画を見直すと、トレーラーの後輪が操舵しているではないか。どんな仕組みになっているのだろうかと、大型トレーラーを運行している藤原重機へと取材してみた。

普通のトレーラーでは曲がれない交差点も曲がれる

トレーラーの後輪が操舵する車軸ステア

牽引車はスウェーデンのスカニア製(左)、トレーラーは中国のバルカン製(右) 写真=小林祐史

 藤原重機によると、車両は牽引車(前で牽引する車)がスウェーデンのスカニア(SCANIA)のもので、トレーラー(後ろで牽引される車)が中国のバルカン(VULCAN)のもの。このトレーラーは舵切台車などと呼ばれるタイプで、後輪がステアリングするのだ。この機構を「車軸ステア」「3軸ステア」などと呼ばれており、普通の大型トレーラーでは曲がれないような狭い交差点でも切り返さないで曲がれるようになるとのこと。つまり車軸ステアは小回りできるシステムなのだが、それゆえにトレーラーは特殊な動きをする。その様子を、先ほどと反対側の前方からと、俯瞰による別の交差点での右折の様子を次の動画で見てみよう。

【くるくら動画】大型トレーラーの右折その2

撮影=藤原重機

 車軸ステアのないトレーラーなら内輪差を考慮して、内側にある障害物との間にスペースを取って大回りすることになる。そのため広い交差点でないと曲がるのが難しくなる。

 対して車軸ステアは障害物の近くまで車体を寄せる。そして後輪がステアを始めると、障害物を避けるように外側へトレーラーがスライドしていく。これで大型トレーラー内輪の軌道は小回りとなるため、狭い交差点でも曲がることが可能となる。車軸ステアで曲がるトレーラーを外側から見ていると、途中から自分の方へトレーラーが迫ってくるので機構を知らない人はびっくりするだろう。

 このように、車軸ステアを持つような車体が特殊な動きをする大型トレーラーを公道で走行させるには、「特殊車両通行許可」を関係各位へ取得する必要がある。動画のように大型トレーラー単独ではなく、数台の誘導車や多くの補助員、交通整理員が随伴することも必要で、安全には細心の注意が払われている。もし自分が大型トレーラーに遭遇したら、誘導車や補助員、交通整理員よりも外側から見るようにしたい。近づきすぎると、通常の自動車とは異なる動きをするので危険だ。

<バルカン(VULCAN)の車軸ステアを説明した動画>

冒頭と120秒を過ぎたところで車軸ステアが登場

 ちなみにラウンドアバウト(環状交差点)を積極的に活用している国の中には、大型トレーラーに車軸ステアを装備することを推進しているところもある。理由は狭い(直径の小さい)ラウンドアバウトでも、車軸ステアなら小回りができるので大型トレーラーが通行できるから。十字路の交差点より面積が必要なラウンドアバウトを、コンパクトにするための施策の一環だそうだ。


スカニアってどんなトラック?
気になる方は下の「この記事の写真を見る」をクリック

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)