2020年04月20日 15:40 掲載

クルマ 【自動車燃費ランキング2019:軽自動車編】軽自動車の燃費性能、頭打ちの状態か?


神林 良輔

1位:スズキ アルト(DBA-HA36S)37.0km/L

画像3。スズキ「アルト」(8代目)。2019年の燃費ランキング(軽自動車)で9年連続の第1位を獲得。

画像3。8代目「アルト」。7代目と合わせると、2011年から9年連続の1位。2019年の年間販売台数は、アルト ラパンも含めて7万2162台の第8位。

 スズキ「アルト」は初代が1979年に誕生し、現行の8代目(画像3)は2014年12月22日に発売された。長い歴史を有することを意識してか、全体的なデザインもクラシックな雰囲気を漂わせる。8代目は、後に「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ばれる、スズキ車の大多数に採用されることになる新型プラットフォームを初採用。重量比でボディの約46%に高張力鋼板を使用したほか、エンジン、足回り、シートなども徹底的な軽量化が実施され、先代と比較して60kgの軽量化に成功。現行車種の中で最軽量の610~700kgを実現した。37.0km/Lの燃費を達成したのは、2WD+CVT(※5)の「X」、「S」、「L」の3グレードだ(これらの車重は650kg)。このほか、エネチャージなども燃費向上に大きく貢献している。

※5 CVT:Continuously Variable Transmission。直訳すると「連続可変トランスミッション」。ギアを使わない機構による無段変速トランスミッションのこと。

1位:マツダ キャロル(DBA-HB36S)37.0km/L

画像4。マツダ「キャロル」。2019年の燃費ランキング(軽自動車)で本家スズキの「アルト」とともに第1位を獲得した。

画像4。7代目「キャロル」。かつてマツダでは自社生産しており、初代「キャロル360」は人気を博した。

 1962年に誕生した初代「キャロル360」から、1995年誕生の3代目まではマツダが自社で生産していた「キャロル」。1998年の4代目からはスズキのOEM供給を受けるようになり、現行は2015年1月30日発売の7代目である(画像4)。本家アルトとの外見上の違いは、ボディカラーのバリエーションが1色少ないこと。アルトにある「ブルーイッシュブラックパール3」を「キャロル」では選べないのだ。なお37.0km/Lを達成したグレードは、2WD+CVTの「GX」、「GS」、「GL」。

 「キャロル」(アルト)はエンジンやCVTも大きく改良されたことで、優れた燃費を実現。直列3気筒「R06A型」エンジンは圧縮比の向上、「EGR(※6)システム」の採用に加え、吸排気系を新規に設計するという大幅な改良が施された。そして「副変速機構付きCVT」にも手が入れられ、車両の軽量化に合わせて変速比の最適化がなされた。なお副変速機構とは、変速比の幅を広げるためのシステムのことだ。

※6 EGR:Exhaust Gas Recirculationの略。排気再循環システムのこと。一度燃焼しているため酸素濃度が低い排気ガスを、再循環させて吸気に混ぜて再度エンジンに送り込むことで、燃焼温度を抑える仕組み。結果として、NOxの発生を抑制できるなどのメリットがある。

第3位:スズキ アルト ラパン(DBA-HE33S)35.6km/L

画像5。スズキ「アルト ラパン」。2019年の燃費ランキング(軽自動車)で単独3位となった。

画像5。「アルト ラパン」。女性ユーザーを意識した作りが特徴で、外見も角の取れた柔らかい形状とパステルカラーとなっている。

 「アルト ラパン」の初代は2002年1月に誕生。現行の3代目(画像5)は2015年6月3日に発売開始となった。初代が若い女性の高評価を得て人気につながったことから、3代目は女性がクルマに求めるものについての徹底的な調査・分析が行われた。そして企画から開発、デザイン、機能・装備、アクセサリーの設定など、さまざまな部分に女性視点が盛り込まれて誕生。例えば、運転席のエアコンの吹き出し口は、髪や肌に優しいという弱酸性のイオン微粒子を吹き出すパナソニックの「ナノイー」を採用している。

 3代目の燃費値35.6km/Lを実現した最大のポイントは、先代と比較して120kgという大幅な軽量化を達成したこと。アルトと同一の新型プラットフォーム「HEARTECT」を採用し、エンジン、ボディ、足回りなどを徹底的に手が入れられた。その結果、2WD+CVTグレード同士で比較して、先代の800kgから680kgへと、約15%にも及ぶ軽量化に成功したのである。さらにエネチャージや「R06A型」エンジンなども、アルト同様に改良して高効率化を実現。それらにより、先代と比較して約37%の向上となる35.6km/Lを達成した。

第4位:ダイハツ ミラ イース(DBA-LA350S)35.2km/L

画像6。ダイハツの2代目「ミラ イース」。2019年の燃費ランキング(軽自動車)で第5位となった。

画像6。2代目「ミラ イース」。2019年の販売台数は、ミラ トコットも含めて8万5288台で第6位。

 「ミラ イース」は、1980年に誕生した伝統あるミラの名を継ぐ新世代の軽自動車だ。初代は、低燃費、低価格、省資源を掲げ、ハイブリッド車、EVに続く"第3のエコカー"(低燃費ガソリン車)として2011年9月に誕生。2017年5月9日に発売された現行の2代目(画像6)は、第3のエコカーというコンセプトをキープしつつ、ダイハツの新コンセプト「DNGA」(※7)を確立するための原点として、挑戦的な意味合いも含めた開発がなされたことが大きな特徴だ。燃費値35.2km/Lを達成したグレードは、2WDの「L」および「B」(全車CVT)。この2グレードの車重は、ミラの時代から長年覇を競い合っているアルトと同じ650kgだ。

※7 DNGA:Daihatsu New Global Architectureの略。ダイハツの新世代プラットフォームおよびクルマ作りのコンセプトのこと。DNGAプラットフォームは、足回りやエンジンなど、構成するすべての要素が同時に新規に開発された。

 2代目「ミラ イース」も、軽量化が低燃費実現の大きなポイントとなった。ボディに採用された骨格構造「Dモノコック」は、補強材の最適配置や小型化、部品同士の結合強化や一体化を図ることで、高強度・高剛性と同時に軽量化を実現。さらに、フロントフェンダーやバックドアなどに樹脂パーツを採用。その上、足回り部品の最適化も実施。「L」と「B」グレードにはさらなる軽量化のため、2017年5月時点での国内最軽量となる13インチのタイヤとスチール製ホイールを新開発した。さまざま工夫が施され、先代との比較で最大80kgの軽量化を達成し、35.2km/Lを実現したのである。

第4位:スバル プレオ プラス(DBA-LA350F)35.2km/L

画像7。スバルの2代目「プレオ プラス」。ダイハツの2代目「ミラ イース」のOEM車だ。2019年の燃費ランキング(軽自動車)で同率順位の第4位を獲得。

画像7。スバルの2代目「プレオ プラス」。ダイハツの2代目ミラ イースのOEM車。

 スバル(当時は富士重工業)とダイハツの協力関係は、2007年2月26日まで遡る。スバルが、ダイハツのコンパクトカー「ブーン」のOEM供給を受け、4代目「ジャスティ」として販売したのが始まりだ。その後、2008年4月10日には、トヨタとダイハツと3社での開発・生産における新たな協力関係で合意。その協力関係のもと、スバルはリソースを主力車種に注力するために軽自動車の開発を終了し、ダイハツからOEM供給を受けることに。そのひとつが2代目「プレオ」である。

 1998年登場の初代「プレオ」はスバルの自社開発だったが、ダイハツから7代目ミラのOEM供給を受け、2代目「プレオ」は誕生。そしてミラの派生型としてミラ イースが2011年9月に誕生すると、スバルも翌2012年12月にOEM供給を受け、2代目「プレオ」の派生車種として初代「プレオ プラス」をラインナップ。これにより、ミラ イースはピクシス エポックも加えた3兄弟車となった。

 そして2代目「プレオ プラス」(画像7)は、本家ミラ イースと同日の2017年5月9日にデビューとなった。2代目「プレオ プラス」と2代目ミラ イースとでは、グレードの設定が異なる。ミラ イースでは燃費に最も優れるグレードはLとBの2種類があるが、プレオ プラスでは「F」の1種類のみ。ただしボディカラーに関しては、ミラ イースと同じ9種類が用意されている。

第4位:トヨタ ピクシス エポック(DBA-LA350A)35.2km/L

画像8。トヨタの2代目「ピクシス エポック」。ダイハツの2代目「ミラ イース」のOEM車で、2019年の燃費ランキング(軽自動車)で、同率順位の4位となった。

画像8。ミラ イースのOEM車である「ピクシス エポック」。2019年の販売台数は、「ピクシス」シリーズ合算で2万1821台と第14位。

 トヨタは、2000年代後半の頃から、軽自動車を望む声が大きくなってきたことを感じていた。そこでグループの経営資源を有効活用することを決断。2010年9月28日に、子会社のダイハツから軽自動車のOEM供給を受けることで合意した。

 その後、ダイハツからの軽自動車を「ピクシス」シリーズとして展開。シリーズ第3弾として2012年5月10日に登場したのが、初代ミラ イースをベースとした「ピクシス エポック」である。そしてミラ イースが2017年5月9日に2代目にフルモデルチェンジしたのに合わせ、「ピクシス エポック」もフルモデルチェンジを実施。同月12日に2代目「ピクシス エポック」(画像8)が誕生した。2代目の最も燃費に優れるグレードは「L」と「B」で、ミラ イースと同一。用意されているボディカラーも9色と同じで、大きな差異はないようだ。

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