冬の車中泊はどれくらい寒い?防寒対策はどうする?【前編】
スキー場の駐車場で仮眠する時や、大雪で立ち往生してしまった時など、エンジンを切った車内は、どこまで冷え切ってしまうのだろうか。前編では、過去の「JAFユーザーテスト」の結果から、冬の車内がいかに冷えるかと、防寒対策の効果について紹介する。
冬の車内温度はどれくらい寒い?
大雪で立ち往生した時や、降雪時に車中泊、仮眠をする時に、車内はどれくらい寒くなるのだろうか? エンジンをかけて暖房をつけていれば、寒さは防げると思うものだが、降雪時にはクルマのマフラーが雪に埋もれてしまい、滞留した排気ガスの影響で一酸化炭素中毒になる危険性もある。とはいえ、エンジンを切った冬の車内は、ヒトが耐えきれるものなのか。
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)は、2月の長野県で夜間(23時~翌朝7時まで)におけるミニバンの車内温度の低下状況を検証した。
暖房をつけた車内が25℃の時にエンジンを停止して計測を開始。その時の外気温は-10.2℃だった。車内温度は1時間経過すると10℃程度まで低下。その後、3時間で氷点下(0℃)。8時間後で-7℃まで低下した。なお、検証終了時の外気温は-12.9℃まで下がっていた。一般的な冷蔵庫の温度が3~7℃なので、エンジンを切った車内はたった1時間で、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫に入っているような温度になることがわかる。
【車内温度のテスト条件】
実施日時:2014年2月4日23時~翌7時
場所:長野県上田市 菅平高原(ホテル駐車場)
テスト対象:ミニバン2台
外気温(開始時):-10.2℃
外気温(終了時):-12.9℃
【車内温度の変化】
スタート時:25℃
1時間後:10℃程度
3時間:0℃
8時間後:-7℃
寒さ対策を検証
また、JAFは同じ条件において防寒対策の違いも検証している。20~30代の4名のモニターが車両(ミニバン)2台に分乗。防寒対策なし、エマージェンシーシート使用、毛布+使い捨てカイロ使用、寝袋(冬山用)使用の4つの状態で寒さをしのげるか調べた。すると「毛布+使い捨てカイロ」を使った人と、「寝袋(冬山用)」を使った人が朝まで、寒さに耐えることができたが、それ以外の2人は途中でギブアップした。
対策なしの被験者は、「エンジンを止めて30分くらいで結構寒くなりました。最後は手足の感覚が無くなってきたのでギブアップしました」と語っているので3時間程度で耐え難い寒さになることがわかる。
エマージェンシーシートの被験者は「最初は暖かいですが、だんだんと冷えてきます。最初にちょっと汗をかいて、それが冷えてくる」と話し、保温効果はあるものの、エマージェンシーシートだけでは朝まで耐えることができないようだ。
朝まで耐えることのできた被験者はいずれも、顔や足先などから寒さを感じたと話している。
【寒さ対策による違い】
・対策なし:2時間45分でギブアップ
・エマージェンシーシート:5時間27分でギブアップ
・毛布+使い捨てカイロ:8時間後まで耐えた
・寝袋(冬山用):8時間後まで耐えた
このように、エンジンを切った車内温度はマイナスになることもあり、防寒対策なしでは、とても過ごせない状況である。しかし、大雪や吹雪による立ち往生などはいつ何時起こるかわからない。エンジンを切った状態でも寒くないよう、防寒着や、毛布、寝袋、カイロなどを車載しておくのがいいだろう。
次回、後編では車中泊のプロに聞いた寒さ対策について紹介する(後編はこちら)。