2022年11月07日 18:50 掲載

ライフスタイル 首都圏三環状の要「外環道」は今どうなっている? 粛々と工事が進む現場を取材した

東京都調布市の外環道トンネル工事で発生した陥没事故から2年が経過し、その間、工事はまったく進んでいないものだと思っている人は多いだろう。しかし10月の中頃に、中央JCTでHランプシールドの掘削作業が完了したという情報を入手したので、真相を確かめるべく取材に向かった。

文・写真=会田肇

首都圏三環状、外環道への期待

本線工事は停止した状態でも、それに伴う周辺の施設は粛々と工事が進んでいた。写真は中央道と接続する「中央JCT」の現場

本線工事は停止した状態でも、それに伴う周辺の施設は粛々と工事が進んでいた。写真は中央道と接続する「中央JCT」の現場

 今、首都圏では都心を中心として弧を描くように、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東京外かく環状道路(外環道)、首都高速中央環状線(中央環状線)の3つの環状線(三環状)の整備が進んでいる。これは都心から放射状に延びた各高速道路を、横串を刺したように相互に結ぶことで不要な都心部への交通量を減らすことを目的に整備されたものだ。

 中でも、大きな効果が期待されているのが外環道だ。都心から約15kmを環状に結び、主に東京23区の外側を周回する全長85kmの高規格幹線道路となる。フランスのパリで例えると、有名な「ペリフェリック」(全長35km)のような道路とも言え、個人的にもここで都心を通らずに空港へ向かえる環状線の便利さを実感したことがある。この外環道についても羽田空港まで延伸される計画があり、そうした状況に重ね合わせられるとも思う。

 これまで外環道は、2018年6月に千葉県側の高谷JCTから常磐道につながる三郷南IC間15.5kmが開通しており、これで全計画のうち約50kmが開通。すでに東関道~常磐道~東北道~関越道を結ぶ幹線道路として大きな効果を生み出しているのは周知のところだ。

 そして次なる開通区間として期待されているのが、関越道~中央道~東名道の区間だ。現在は当該区間をトンネルを掘る地下構造で計画されているが、最初に都市計画が決定した1966年時点では高架方式であった。しかし、ルート上には住宅地が多いということで2001年に地下構造に変更する計画のたたき台が公表され、2014年には40m以上の地下となる大深度地下使用の認可が下り、2017年よりシールドマシンを使った工事がスタートしている。

中央JCTの完成イメージ。右が関越道の大泉JCT方面で、左が東名高速方面。画像は4枚を組み合わせたもの

中央JCTの完成イメージ。右が関越道の大泉JCT方面で、左が東名高速方面。画像は4枚を組み合わせたもの

陥没事故の発生と、その後の進捗

外環道の工事概略図。シールドは3カ所に設置して工事を進める計画。左のシールド機付近で陥没・空洞が発生した

 そんな矢先の2020年10月18日、工事を進める東京都調布市の地表部分で突然大きな陥没箇所が現れる。これに地域住民は騒然となった。シールドマシンによる圧縮された空気が放出されることへの地域住民への影響は訴えていたものの、陥没については想定外だったからだ。その後、すぐに当該箇所の工事は中止されたが、その後の調査で地中では長さ30m(最大)の空洞が3つ見つかり、住民からはさらなる不安の声が相次いだ。

 工事を担当する東日本高速道路(以下:NEXCO)は、翌2021年3月、記者会見を開き、「緩んだ地盤の補修工事を行い、その工事期間は2年間を予定。当該箇所の住民には"仮移転"をお願いしたい」との内容を発表した。NEXCOによれば、当該箇所は「トンネルの幅16m、長さ220mの長方形の区域」とし、そのエリア内には約30軒の家屋が含まれることを公表。さらに当該箇所の家屋の取り壊しが必要になることも明らかにされた。

 NEXCOでは、「厚さ5~10mの地表部から地下47mまでの地盤を補修することになるが、その際に当該箇所の真上にある家屋は解体する必要がある」としており、仮移転して建て直す場合の新築費用の負担やその間の家賃負担、また、完全移転する場合の買い取り案などが示されている。ただ、地域住民側からするとその近隣にも被害が及んでいるとしており、線引きの難しさが表れた格好だ。

 こうした状況下において、住民の立場に立った配慮を優先し、まずは緩んだ地盤の補修工事を進めた上で本工事を再開する計画だ。そのため、現段階で外環の関越道~中央道~東名道の区間が開通する見込みはまったく立っていない。

 では、この区間の工事はどんな状況下にあるのだろうか。多くの人は「陥没事故が発生したことで工事はまったく進んでいないのでは?」と、そう思う人も多いはず。実は2020年5月に住民側から出ていた世田谷方面のトンネル工事を差し止める仮処分申請が一部認められており、こうした状況から私自身も現場を見るまでそう思っていた。

 しかし、10月18日でちょうど2年が経ったところで、10月13日には事業用地内にある中央JCTにおいて、Hランプシールドの掘削が完了したとの話が伝わってきた。これが事実なら工事は進んでいることになる。そう思い、国道事務所に訊ねてみるとそれは事実だった。「現時点では東名側の本線トンネル工事は止まっているものの、外環事業は必要な事業と認識しており、進められる工事は進めている」との回答が得られたのだ。ならば、その現場は見せてもらえるのかを問い合わせると、この日の取材が許可された。

本線を除き、工事そのものは着実に前進

トンネルとして完成した中央JCTのHランプ。外環道から中央道へ向かうアプローチとなる

トンネルの反対側。奥には立坑(縦穴)空間が広がっている。

 案内された場所では、中央道とJCTで接続する場所として工事が進められていた。現地で工事状況が一望できる櫓に上がってみたが、そこでは広大な敷地を目の当たりにすることとなった。この区間は本線が地下道で進められる中で、地上の中央道と接続するJCTの建設現場だ。とはいえ、これほどまでに広い敷地となっているとは想像できていなかったのだ。

 そして、国道事務所から聞いた通り、そこでは工事が着実に進んでいる様子も見ることができた。つまり、本線の工事は停止していても、開通に必要なJCTなどのランプなど、進められる箇所は今もなお粛々と工事が続けられているのだ。本線工事が進められない現状では、開通の時期こそ明示できないが、工事自体は少しずつ開通に向けて進められているというわけだ。

 折しも10月26日には、東京外環トンネル施工等検討委員会の第25回会合が開かれた。会合では、今回の見学箇所である中央JCT北側のHランプおよび、大泉側本線シールドトンネルにおけるシールドトンネル工事のトラブル再発防止策や、地域の安全・安心を高める取り組みについて報告。さらに地域住民への情報提供が適切に行われてきたことや、施工についても生活環境への影響をモニタリングしつつ細心の注意を払って掘進を実施していくことなどが示された。

中央JCTの構造イメージ。中央道と接続する箇所以外はほとんどが地下内に収まる

中央JCTの構造イメージ。中央道と接続する箇所以外はほとんどが地下内に収まる

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周辺住民との協調活動を紹介

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