2022年04月11日 18:30 掲載
ライフスタイル
『イタリア発 大矢アキオの今日もクルマでアンディアーモ!』第26回
イタリア人運転者の6割がお守り信仰! 気になるミラーに下げる「アレ」とは?
レベル5時代も魔除けグッズ?
しかしイタリアのミラーぶら下げアイテムとして伝統的なものといえば、やはり「お守り系」である。日本でも交通安全の赤いお守りを下げている人がいるが、そのイタリア版だ。十字架のほか、とくに南部で魔除けとして信仰が篤い「赤い角」もたびたび見かける。
他にも「馬蹄」や、カトリックにおけるお数珠的存在である「ロザリオ」も定番である。また「ゴッボ」といわれる山高帽を被った男の人形は、背中のこぶに触ると幸運が訪れると信じられている。
自動車保険比較サイト「キアレッツァ・プント・イット」の2011年調査によると、イタリアでは「おまじないや魔除け・幸運のマスコットは、たとえめざましい効果は無くても、交通事故や不運から身を守ってくれる」と信じるドライバーがなんと60%にのぼる。
ロザリオ付き十字架+赤い角(と象)
ナポリにて。赤い角は、とくにイタリア南部で幸運のシンボルとして大切にされている。
赤い角同様、山高帽の紳士「ゴッボ」もラッキーアイテムだ。
冒頭のテントウムシも、実は幸運のシンボルである。カトリックにおける聖母マリアの人生における悲しみと喜びが各7つであったことと、テントウムシの紋が7つであることから崇められてきた、というのが有力な説である。
テントウムシ信仰は、アルプス以北で強いが、イタリアでもときおりみられる。たとえば、冒頭の写真は、赤い角とてんとう虫の"ハイブリッド"、さらにロザリオ付き十字架+赤い角(+象?)というクルマも発見した。
テントウムシのぬいぐるみ状マスコット。
気になるのは未来だ。特定の条件下でシステムがすべての運転操作をする「レベル4」や無条件ですべての運転操作をクルマがする「レベル5」が普及すると、リアビューミラーは必要なとき、つまり手動運転するときだけ引き出す、もしくは自動的にポップアップするようなるかもしれない。
今回紹介したようなアクセサリーたちは居場所を失ってしまうのだろうか、それとも別のぶらさがり場所が与えられるのか。ドライバーがいない車内で十字架や赤い角が揺れているのを眺めながら乗っているのは、いかなる心境なのか、今から興味あるところだ。
幸運を招び寄せるべく、赤い角にすがる筆者。ナポリにて。
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