2021年08月03日 06:00 掲載
ライフスタイル
『イタリア発 大矢アキオの
今日もクルマでアンディアーモ!』第17回
ユーロ統一は遠い!? 羨望のナンバープレート
小顔に萌え
実はさらなる違いがある。それはナンバーの材質である。フランス、そして2020年に欧州連合を離脱したイギリスなどは、プラスチック製が導入されている。これが羨ましい。なぜなら、イタリアの鉄製ナンバープレートの品質が良くないからだ。経年変化が激しく、とくに黒い文字の部分がたちまち薄くなってゆく。
筆者のクルマもしかりだ。屋根付き駐車場を使っているにもかかわらず、新車から僅か数年で文字の一部が薄くなり始めた。最初のうちは格好悪いので油性ペンで補修していたが、登録後13年を迎えた今は手を施す気力も失せて放置している。
プラスチック製ナンバーは、そうした劣化がほとんどなく、いつになっても新車時とほぼ同じなのである。イギリスのプラスチック製紙幣と同じくらい、EU各国で導入してほしいと思っている。
英国ではプラスチック製ナンバーが普及している。ロンドンにて。
イタリアのナンバープレートは、盤面の劣化が激しい。
ナンバーで羨ましいといえば、ヨーロッパではないがアメリカの一部州だ。前部のナンバーが要らないのである。ひき逃げ・当て逃げの状況を想像すればわかるが、事故や犯罪などで目撃者が頼りにする確率が極めて高いのは、前部よりも後部のナンバーである。フロントのナンバーは、材質や取り付け方によっては歩行者を傷つけることも否定できない。そもそも、スタイリッシュなフロントデザインをぶち壊しにする。よって、前部のナンバーの必要性は低いと考える地域があって当然、と筆者は思う。
欧州各国に前部ナンバーを省略している国はない。しかしEU非加盟国であるスイスのそれは、加盟各国のものよりひとまわり小さい。したがって、クルマのデザインを壊さない。小顔萌えである。
スイスの前部ナンバー。ジュネーヴにて。
それ以上にヨーロッパの路上で筆者自身がカッコいいと思うのは、モナコ公国、サンマリノ共和国、そしてリヒテンシュタイン公国といった小国のナンバーである。いずれもEU加盟国ではないので、今も独自のナンバープレートを採用している。当然、ヨーロッパ各地の路上で見かける機会は少ない。
そのうえ、そうした国のナンバーが付いたクルマは、国民所得の高さや低い税率を反映して、高級車であることが多い。ゆえに、イタリアの路上では、それなりに目立つのである。
モナコ公国のナンバー。トリノ自動車博物館で。
サンマリノ共和国のナンバー。桁数の少なさが、世界で7番目に人口が少ない国を物語っている。
ランボルギーニ・ディアブロに装着されたモナコ公国のナンバー。トリノ自動車博物館で。
もちろんイタリアナンバーに乗っていても、ワクワクすることがある。それは夏のヴァカンス時期にドイツを走っているときだ。イタリアのナンバープレートのクルマに出会うことは奇跡に近い。ドイツ観光をするイタリア人は、イタリアを訪れるドイツ人の数と比べて極めて少ないのである。
だからドイツ、それも地方部でイタリアナンバーの家族連れ車に遭遇すると、つい手を振って挨拶してしまいたくなる衝動に駆られるのだ。
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