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クルマ最終更新日:2020.12.15 公開日:2020.12.15

「レッサーパンダ」|第17回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当の江川さんに、「レッサーパンダ」を解説してもらいました。

くるくら編集部 上條 謙二

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「より小さい」から、レッサーパンダ

レッサーパンダ|アニマルしっかりみるみる|くるくら

野生のレッサーパンダは、成獣の場合、基本的にオスもメスも1頭ずつ別々に暮らしている。

 インド北東部、ネパール北部、中国南西部などの高地(標高1500~4000m)の森林地帯に生息するレッサーパンダ。体長は、成獣で50~60cm、体重は3~6kgほど。頭の形が丸く、短めな鼻口部(鼻・口・顎からなる動物の顔のはみ出した部分のこと)、大きな三角形で先端がとがった耳、つぶらな瞳、フワフワした毛で覆われた太くて長い尻尾など、愛らしい容姿を構成する要素に富んでおり、また愛嬌のある立ちポーズをとることで人気があります。

 昔、レッサーパンダは単純に「パンダ」と呼ばれている時代がありました。しかし後になってジャイアントパンダが発見されて有名になってくると、2種の動物を区別するために「レッサー」(lesser:「より小さい」の意味)をつけて呼ぶようになったと言われています。ちなみにジャイアントパンダの故郷である中国では、ジャイアントパンダのことを「大熊猫」、レッサーパンダを「小熊猫」と表記するそうです。どちらも森の中で生活し、主に竹や笹の葉などを食べています。

親指代わりの種子骨の突起

レッサーパンダ|アニマルしっかりみるみる|くるくら

レッサーパンダは、前足に骨が変化した突起があり、この突起と他の5本の指とを使って物をつかんだりすることができる。

 レッサーパンダの身体的な特徴は、前足の手首にある種子骨の突起です。大きさは指の第1~2関節ぐらいの大きさがあって、種子骨が指のような突起になっており、指と向かい合って配置されていることで物をつかむことができます。

「園内では竹の葉やリンゴを与えるのですが、手渡しすると前足の5本の指と種子骨の突起を親指のように使って握ります。とても器用で、食べ進んでかなり小さくなったリンゴでもつかんだままで食べ続けられます。ただその突起は足裏まで毛で覆われているため外から確認するのは難しい」(※江川さん以下同)そうです。この手首の種子骨の突起は、ジャイアントパンダにもあります。

 レッサーパンダが器用に使えるのは、前足だけでなく後ろ足もです。「背中、頭、首などにも届き、ポリポリと掻いていることがある」そうです。

 ところでレッサーパンダの足裏には肉球はありません。

「標高が高く寒いところで暮らしている動物なので、ネコのように肉球が露出していると霜焼けになってしまうから」だそうです。レッサーパンダが足裏まで毛に覆われているというのは、そんな寒いところで生きていた証です。

 レッサーパンダは歩き方に特徴があります。それはかかとを付けて歩くことです。そんな特徴の歩き方を「蹠行性(しょこうせい)」と言います。かかとを含む足の裏全体を使って歩行します。足裏全体が接地することで、直立時の安定性もよくなると言われています。

 それぞれの足指には、湾曲した鋭い鉤爪が付いています。この爪を使ってレッサーパンダは上手に木登りをします。「一度、展示スペースを覗いてみてもどこにもいないので探していたら、思いもかけないほど木の高いところまで登っていたことがありました」。元々は森林地帯に生息している動物ですから、木登りはお手の物です。

 ところでレッサーパンダの鳴き声を知っていますか?

「笛の音に近いような『ピー、ピー』という鳴き声を出します」。仲間同士でコミュニケーションをとるときには鳴き声をよく出し、発情の時期が近づいてくると少し高めの鳴き声になり、平常時より頻繁に鳴くそうです。また怒るときには「ウー」というように、犬が唸っている感じに近い、低い鳴き声を出します。

 またレッサーパンダにとっては、匂いもコミュニケーションをとるための道具です。肛門の周辺に「肛門腺」という臭腺があり、縄張りをアピールする目的で臭腺からの分泌物でマーキングします。よく同じ場所の間をぐるぐると行き来する姿を目撃することがありますが、そんなときはマーキングした縄張りを巡回しているのです。

直立はほとんどの個体ができる

レッサーパンダ|アニマルしっかりみるみる|くるくら

レッサーパンダは、本来は森林地帯に生息している動物で、木登りは得意。

レッサーパンダ|富士サファリパークの飼育員さん|くるくら

「園内のレッサーパンダはほとんどがリンゴ好き。「リンゴを持っているとすぐに飛びついてきます。渡したリンゴを上手につかんで食べている姿がとても可愛いんです」と飼育担当の江川さん。

 そんなレッサーパンダですが、どんな性格の動物なのでしょうか?

「個体によって個性はさまざま。人慣れしている個体は触ってもそのままなにも反応せずにいるのですが、触られるのが嫌な個体はちょっと触っただけで『フーッ』と威嚇してくることもあります」。

 可愛らしい外見に反して、レッサーパンダは気性が激しい面もあり、「オス同士だと、たとえカメラで映されたモニター越しの画像であってもお互いの存在を感じて吠え合うことがある」そうです。ちょっと意外ですね。

 最後に「レッサーパンダあるある」について伺いました。それは「後ろ足だけで立つこと」です。

 直立するレッサーパンダが一時有名になりましたが、実はほとんどのレッサーパンダが後ろ足だけで立つことができるそうです。「ものを食べるとき」や「ものを見上げようとするとき」によく見られる行動だそうです。

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