クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2020.06.30 公開日:2020.06.30

ダブル連結トラックを止められるSAで、駐車予約システム開発へ。NEXCO中日本

ドライバー不足の中で、ドライバーの運転時間の削減や物流効率の向上を目的として導入が始まったダブル連結トラック。導入されて1年以上が過ぎ、現在では7社によって32台が運行されている。そんなダブル連結トラックのドライバーにとって朗報となるのが、SAでの駐車予約を確実に行えるシステム。現在、NEXCO中日本が開発中だ。

記事の画像ギャラリーを見る

画像1。ヤマト運輸が運行しているダブル連結トラック。画像提供:国土交通省

画像1。ヤマト運輸が運行しているダブル連結トラック。画像提供:国土交通省

 ダブル連結トラックとは、大型トラックのトレーラー2台が連結した特殊トラックだ(画像1)。1人のドライバーにより10トンの大型トラック約2台分の輸送を行え、それによるドライバーの運転時間を約46%削減できると試算されている。物流業界の大きな課題である大型トラック(特に長距離)のドライバー不足を補うとして、期待されているところだ。また、このほかにも物流の効率化やCO2削減などのメリットもある。

 ダブル連結トラックの運行は、国土交通省の主導で2016年から実証実験が始まり、2019年1月には特殊車両通行の許可基準が緩和されて公道での走行が可能となった。2020年3月時点では、7社により32台が運行されている。

画像2。ダブル連結トラックと、その通行可能な高速道路並びにNEXCO中日本で予約システムの実証実験が予定されている3か所のSAと1か所の路外駐車場。画像提供:NEXCO中日本

画像2。ダブル連結トラックの通行可能な高速道路。画像提供:NEXCO中日本

 通行可能な高速道路は、2020年6月現在は画像2の通り。東北地方から九州地方まで以下の8路線が通行可能となっている(北から掲載)。

・E4東北道
・C4圏央道
・E1東名高速
・E1A新東名高速道路
・E1名神高速
・E1A新名神高速
・E2山陽道
・E3九州道

ダブル連結トラックがSAを利用できない課題が発生

 ダブル連結トラックを運行する上で最大のネックとなるのが、全長が25mもあること。つまり、SA・PAの通常の大型車マスに駐車することができないのだ。そのため、画像2の運行区間内では、複数のSA・PAに専用の駐車マスが設けられている。

 しかし、その専用駐車マスをダブル連結トラック以外の車両が駐車してしまう不適切利用が増加しており、それが課題となっている。運行計画で休憩を予定していたSA・PAが駐車できなくなることで、せっかくの輸送効率が低下したり、安全上の課題などが生じたりしているのだ。

 この課題を解決するためにNEXCO中日本が開発に着手したのが、ETC2.0を活用したダブル連結トラック用の予約駐車システムだ。同システムが試験的に設置されるのは、ダブル連結トラックの運行便数が多く、それに比例して専用駐車マスの不適切利用も多く発生している東京~名古屋~大阪間。東名高速1か所、新東名高速3か所、新名神高速2か所の計6か所でまずは実証実験が行われる。2種類の予約システムが開発されており、早いところでは2020年度末から実証実験を開始するとしている。

新東名高速・浜松いなさICでは「路外駐車場」方式を採用

 2種類の予約システムのひとつは、「路外駐車場」方式だ。高速道路のICの出口外近傍に駐車場を整備し、ETC2.0による入退出管理を行うという仕組みである。新東名高速・浜松いなさIC料金所外の「浜松いなさIC路外駐車場」(静岡県浜松市北区)に、その方式が用いられる(画像3)。実験開始時期は2020年度末を予定しており、駐車台数は約30台だ(画像4)。

画像3。ダブル連結トラック予約駐車システムで、路外駐車場方式を採用するE1A新東名高速の「浜松いなさ路外駐車場」。画像提供:NEXCO中日本

画像3。ダブル連結トラック予約駐車システムで、路外駐車場方式を採用するE1A新東名高速の「浜松いなさ路外駐車場」。画像提供:NEXCO中日本

画像4。NEXCO中日本が開発中のダブル連結トラック予約駐車システムの路外駐車場方式を採用するE1A新東名高速「浜松いなさ路外駐車場」のイメージ。画像提供:NEXCO中日本

画像4。路外駐車場方式を採用するE1A新東名高速「浜松いなさ路外駐車場」のイメージ。画像提供:NEXCO中日本

SA・PA用にはETC2.0対応の路側機および電光掲示板を設置して予約を管理

 そしてもうひとつは、SA・PAのダブル連結トラック専用駐車マスに設置するタイプ。ETC2.0対応の路側機および電光掲示板を用いて管理する方式だ。駐車マスに予約車以外を関知した場合には、表示板に退出を誘導する表示を行い、適切な利用を促すという(画像5)。以下の5か所への設置が予定されている。

実験SA・PA:E1東名高速・足柄SA(上)
所在地:静岡県御殿場市
実験開始時期:2020年度末(予定)
駐車台数:1台(特大駐車場スペース)

実験SA・PA:E1A新東名高速・静岡SA(上・下)
所在地:静岡市葵区
実験開始時期:2021年夏以降(予定)
駐車台数:上下各1台ずつ(特大駐車場スペース)

実験SA・PA:E1A新名神高速・土山SA(上・下)
所在地:滋賀県甲賀市
実験開始時期:2021年夏以降(予定)
駐車台数:上下各1台ずつ(特大駐車場スペース)

画像5。NEXCO中日本が開発中の、SA・PAのダブル連結トラック専用駐車マスの予約システムのイメージ。画像提供:NEXCO中日本

画像5。ダブル連結トラック用駐車予約システムのイメージ。画像提供:NEXCO中日本


 今回の駐車予約システムは、NEXCO中日本がNEXCO他社に先駆けて開発に着手したものだ。NEXCO東日本とNEXCO西日本に確認したところ、現時点では、予約システムに関する具体的な開発予定はないとしている。ただし、今回のNEXCO中日本の実験結果などにより、予約システムの導入を検討する可能性はあるという。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)