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道路・交通最終更新日:2016.07.10 公開日:2016.07.10

車のハイビームをまぶしく感じる距離はどのくらい?

文と構成・横内 信弘 / 写真と動画・勝尾 仁

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こんにちは、ライターの横内です。

夜間の運転はハイビーム走行が基本ですが、他者を眩惑する可能性がある場合は、ロービームに切り替えますよね。

では、歩行者はいつ、どのくらい車が近づいたらハイビームで眩惑されるのでしょうか?

今回は、歩行者が眩惑される距離、つまり歩行者が車のハイビームをまぶしくて我慢できなくなる距離を実験で確かめてみます。

実験の前に、ヘッドライトの照射距離に規定があるのかどうか、道路運送車両法の保安基準等を確認してみました。すると・・・、ありました、ありました!

ちなみにハイビームの正式名称は「走行用前照灯」、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」と呼ぶようです。

それぞれの照射距離に関しては次のように定められていました。

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なるほど~。保安基準ではハイビームの方がロービームより2倍以上長い距離を照射できるように定められているんですね。

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保安基準ではハイビームの照射距離について「夜間にその前方100m・・・」とあるので、実験ではそれよりもずっと長い270mのストレートコースを用意。きっと徐々に近づいてくる車のヘッドライトが、だんだんまぶしくなり、目を覆わずにはいられなくなる過程が分かるはず!

被験者がまぶしさに耐えられなくなるのは、150m地点くらいでしょうかね。

とりあえず保安基準より3倍近く長い270mのコースです。これだけあれば十分でしょう!

結果が楽しみです。

ちなみに、周囲の街灯や住宅の灯り、その他の道を行き交う車のヘッドライトがほぼ影響しない場所を選定しています。

歩行者役のスタッフが立つ位置を0m地点、車がストレートに入ってきて歩行者と正対する位置を270m地点に設定。

歩行者役は、ライター横内を含め4名。一人ずつ0m地点に立ちスタンバイします。そして、前方から迫ってくる車のハイビームを「我慢できないくらい、まぶしい!」と感じたときに合図し、そのときの歩行者からの距離を計測します。

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久しぶりの夜の実験。2014年1・2月号の「昼と夜の『動体視力』を、クイズで確認!」以来です。実験当日は夏至も間近な6月某日、この日の日没は18:55分。日が長いです・・・。

なかなか暗くなりませんね~。明るいうちに準備を万全に整え、とっぷり日が暮れるのを待って、いよいよ実験スタートです!

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真っ暗で手元さえもよく見えない中、スタッフで無線を使い連絡を取り合いながら、ようやく実験が終わりました!

270mのストレートコースを用意したので、十分すぎる距離だろうと考えていたのですが、どの被験者も250m地点前後で、早々にまぶしさを我慢できないサインである誘導棒を挙げていて驚きました。

最後にライター横内に被験者として出番が回ってきたのですが、その時は「車があんなに遠くにいるのに、本当にまぶしいの・・・?」と半信半疑でした。

ところが、やってみると、めちゃくちゃ、まぶしい!!!

ただ、車がカーブを曲がりきってストレートに入った270m地点から250m地点までに到達するあいだ、ずっとヘッドライトを見つめていたので、それでまぶしさを我慢できなくなっただけかもしれません・・・。

もしかしたら、320m地点から300m地点で仮に同じ実験を行ってもまぶしさを感じるかもしれませんが、今回はコースの長さの関係で、そこまで確かめることはできませんでした。

とは言え、「約250m」という今回の実験における一定の結果が出ました! ただ、ハイビームの車を運転していたスタッフから、おかしな感想が飛び出したんです。

「車からは、もっと歩行者に近づかなければ、歩行者はまったく見えませんでした!」

そこで、車から歩行者を認知できた時の距離も確認してみることに。

今度はハイビームの車の中から、歩行者の存在が認知できる距離まで車を進めてみました。

すると歩行者の存在が認知できたときの距離は・・・120.8m!

だいぶ短いですね。今回の歩行者はエジソンスタッフだったので、おなじみの白衣を着ていて良く目立ちましたが、これがもし、暗い色の服を着た歩行者だと、さらに距離が縮まるかもしれません。

実験の結果は、以下の通りです。

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すでにご紹介しましたが、保安基準では、

「走行用前照灯は、そのすべてを照射したときには、夜間にその前方100mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有するものであること。」

とあるので、ドライバーが歩行者を認知できた距離、120.8mは、妥当な結果だと思います。

それにしても、歩行者が車のハイビームをまぶしく感じる距離と、車のドライバーが歩行者を認知できる距離には、2倍以上の開きがあったんですね~。驚きです。

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追加でもう一つ実験をしてみました。

実験内容は、同じコースで歩行者を車に変更して、「ルームミラーに反射する後続車のハイビームは、どのくらいの距離でまぶしく感じるか」についてです。

また、ルームミラーは凝視するのではなく運転状態と同じように、あくまで前方を見ているときに、ルームミラーがまぶしいかどうかというルールで検証しています。

結果は以下の通りです。

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平均で234.8mもありました! ルームミラー越しでも結構な距離からまぶしいことが分かります。

歩行者のケースより、まぶしく感じる距離が多少短くなったのは、ヘッドライトの光がリアガラスで減衰している可能性や、運転状態を想定して光を直視していないことなども影響していると思います。ちなみに、ルームミラーは防眩モードにはしていません。

最後に、今回は予定が合わず、実験に参加できなかった、おなじみのJAF新井インストラクターに、今回の実験から分かる大切なポイントをまとめていただきます!

新井さん、お願いしま~す。

ハイビームとロービームを上手に使い分けた運転をお願いします。

こんにちは、JAFインストラクターの新井です。

今回の実験では、ドライバーが歩行者を発見するよりもずっと早くに、歩行者は車のヘッドライトをまぶしくて我慢できないと思い始めている、ということが分かりました。

これはとても大切なことで、歩行者は夜ハイビームがまぶしくて我慢できないくらい車の存在を認知しているけれども、「ドライバーは自分をまだ認知していない可能性がある」ということを覚えておいていただきたいたいと思います。

一方でドライバーは、「歩行者は相当ハイビームをまぶしく感じている」ということを理解し、歩行者を認知した時には、すぐにロービームに切り替え、歩行者がいることを意識して運転するように心がけてください。

また、夜間、前走車のテールランプが見えたらすぐにロービームに切り替えましょう。これを「減光する」「灯火を操作する」と言いますが、実は道路交通法で、ドライバーの義務として規定されています。ハイビームとロービームをうまく切り替えながら、周囲の車や歩行者に配慮しつつ、危険をいち早く発見できる運転を心がけてください。

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