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公開日:2026.02.27

新名神高速「八幡京田辺~高槻」でも工期延長に! 全線開通はいつになる? 最後の2区間で進捗が遅れる理由とは【いま気になる道路計画】

新名神高速 八幡京田辺JCT・IC付近の工事状況。2025年2月撮影。

新名神高速道路の未開通区間「八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC」で整備工事が進められている。NEXCO西日本は2025年12月に連絡調整会議を開催し、同区間の開通時期について、当初予定されていた2027年度までの開通は困難であると発表した。工事の概要やメリット、工事進捗、今後の計画について解説しよう。

新名神高速 八幡京田辺JCT・IC付近の工事状況。2025年2月撮影。

文=藤井宏治

写真、画像=NEXCO西日本

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新名神高速の全線開通メリットは?

新名神高速は八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・ICと大津JCT~城陽JCT・ICが未開通。

新名神高速は八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・ICと大津JCT~城陽JCT・ICが未開通。

「新名神高速道路」は、三重県四日市市を起点に滋賀県・京都府・大阪府を経由して、兵庫県神戸市に至る総延長約160kmの高速道路だ。既存の名神高速道路を補完する第2の基幹的高速道路として位置付けられ、近畿圏および中京圏を結ぶ重要な広域交通インフラとして整備が進められている。

新名神高速が全線開通すれば、名神高速道路と並行するダブルネットワークが形成され、交通需要の分散によって慢性的な渋滞の緩和が期待されている。

また、新名神高速は名神高速道路よりもカーブが緩やかに設計されており、設計速度が高く設定されている。そのため、新名神高速の利用によって所要時間の短縮も見込まれる。これにより、物流の効率化や輸送の定時性向上が図られ、企業活動や地域経済への波及効果も大きい。

さらに、交通事故や大規模災害などにより、名神高速が通行止めとなった場合でも代替ルートとして機能するため、防災の観点からも大きな意義を持つ。

新名神高速の未開通は2区間!

新名神高速 重要幹線交差部の工事状況。2025年11月撮影。

新名神高速 重要幹線交差部の工事状況。2025年11月撮影。

新名神高速の未開通区間は、「大津JCT~城陽JCT・IC」延長25.1kmと「八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC」延長10.7kmの2区間があり、どちらも工事の難易度が高く、開通時期が先送りになっている。

「大津JCT~城陽JCT・IC」は、土工区間が約6割、橋梁区間が約3割、トンネル区間が約1割となっている。滋賀県域では山間部及び多数の河川が通る急峻な地形の山岳部に、大規模な橋梁やトンネルを建設中。京都府域では、2つのICに加え、国道や鉄道との交差部において大規模な橋梁建設を進めている。

「八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC」は、土工区間が約2割、トンネル区間が約4割、橋梁区間が約4割と、構造物の占める割合が非常に高い区間だ。特に高槻市域では名神高速や国道171号、東海道新幹線、JR京都線、阪急京都線といった重要な交通インフラの上空を通過する必要があり、施工条件は極めて厳しい。限られた空間で安全性を確保しながら工事を進める必要があることから、高度な施工技術と綿密な工程管理が求められている。

八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・ICの進捗と課題

新名神高速の未開通区間の工事概要。

新名神高速の未開通区間の工事概要。

未開通区間のうち「大津JCT~城陽JCT・IC」については、2024年12月に実施した連絡調整会議(第3回) において、全線開通が2028年以降になる見通しが示された。また、工事の進捗次第では、さらに1~2年を要するとされているため、この区間の開通は2030年以降が濃厚そうだ。

一方、「八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC」は、2025年12月に開催された連絡調整会議(第4回)において、仮に工事が順調に進んだとしても、当初目標とされていた2027年の開通は困難であると正式に発表された。

八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC区の用地取得率は98%、工事着手率は99%となっており、事業自体は着々と進められている状況だ。用地取得は大部分が完了しているが、高槻JCT付近に残る2%の未取得区画がある。この区画では用地取得に時間を要しているため、該当箇所のみ工事が未着手となっており、全体工程に影響を与えている。

加えて、工期が大きく延びる要因として挙げられるのが「枚方トンネル」の掘削工程の遅れだ。枚方トンネルは、住宅地や企業団地の地下を通過する計画であり、地上構造物や生活環境への影響を極力抑える必要がある。このため、通常のトンネル工事以上に慎重な検討が求められている。

実際、模擬切削試験の結果、立坑のコンクリート壁を切削する際に想定を上回る騒音が発生することが判明。これを受け、施工方法の変更や計画全体の再検討が必要となり、立坑コンクリート壁の切削手法についても見直しが行われることとなった。

シールドトンネル工事は、2021年に国土交通省が策定した「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」に基づいて進められている。このガイドラインは近年のシールド工事で発生した事故やトラブルを踏まえ、設計・施工・周辺影響対策を一体的に整理したものだ。安全確保と地域住民の安心を最優先とする方針のもと工程よりもリスク低減を重視した結果、工期の延長は避けられない判断となった。

枚方トンネルの掘削開始は2026年冬頃を予定しているが、そこから掘削完了、設備工事、試験運用までを考慮すると、2027年内の開通は極めて厳しい状況にある。現時点では完了時期の明確な目途は示されておらず、掘削完了の見通しが立った段階で改めて開通時期が公表される予定だ。

このように、新名神高速の未開通区間「大津JCT~城陽JCT・IC」「八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC」は、どちらも当初の計画よりも工期が延長している。しかし、トンネルや橋脚などの構造物は徐々に姿を現しており、順調に工事が進めば2030年頃には全線開通となる可能性も高いだろう。安心・安全を最優先としながらも、事業の着実な進展と早期の全線開通が期待される。

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