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公開日:2026.01.23

吉田 匠の『スポーツ&クラシックカー研究所』Vol.23 エンジンのサウンドを愉しめる、ホンダらしいハイブリッド・クーぺ──ホンダ新型プレリュード

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

モータージャーナリストの吉田 匠が、古今東西のスポーツカーとクラシックカーについて解説する人気連載コラム。第23回は、24年ぶりに復活を遂げたホンダ新型プレリュードを試乗する。

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

文=吉田 匠

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令和のデートカー(?)、6代目プレリュード

今さら言うまでもないが、今の世の中、背の高いクルマが幅を利かせている。SUVが郊外だけでなく街中でもその主役になっているし、ワンボックスの通称ミニバンもそう。そんな状況のなかに背の低いクルマを新たに投入したのがホンダだ。それが、2ドア+テールゲートの、全高1355㎜という背の低いクーぺ、プレリュードである。

ホンダ・プレリュードは1970年代末から2000年代初頭にかけて5代にわたって作られた2ドア4人乗り、正しくは狭いリアシートを備えた2+2クーペで、そのすべてが前輪駆動=FWDだった。スポーティではあるが純粋のスポーツカーではない、いわゆるスペシャルティカーと呼ばれるジャンルのモデルで、1982年から87年にかけて作られた2代目は当時、“デートカー”として一世を風靡したという時代背景を持つクルマでもある。

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

新型プレリュードのボディサイズは、全長4520×全幅1880×全高1355mm

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

LED式リアコンビランプを一文字のラインで繋げたリアビュー

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

新型プレリュードのエクステリアのデザインは、空を飛ぶグライダーがモチーフ

で、5代目の生産終了から25年近くを経て、そのプレリュードの名を与えられて登場したのがこの6代目、というわけだ。しかも今、世界は自動車パワートレーンの変革期にあるから、新型プレリュードは既に他のホンダ車にも使われている、エンジンに加えて2基の電気モーターを搭載したi-MMDスポーツハイブリッドを採用している。駆動方式は歴代プレリュードと同じFWD、つまり前輪駆動だ。

それに加えて、本来は電気式の無段変速機ながら、パドル操作によって8段のマニュアル変速感を味わえると同時に、それに呼応して加速感とエンジンの回転音も変化する「S+Shift」という走行モードを選べるのも、新プレリュードの大きなポイントになっている。

モーターサイクルメーカーに始まってその分野で世界一になると、1960年代に四輪の世界にも参入してきたホンダは、スポーツカーのS500/600/800や軽乗用車のN360、さらには独特の空冷エンジンを備えたホンダ1300、同クーペなど、いずれもそれまでの同クラスの常識を大きく超える動力性能を備える高回転型の高性能エンジンを搭載していたのが当時のクルマ好きに強烈にアピールして、独特のファンを獲得してきた。

そういった「エンジンのホンダ」のイメージを今に伝える重要な手段として、プレリュードに「S+ Shift」が採用されたのではないかと想像できる。

滑らかな加速と柔らかい乗り心地

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

水平基調を採用したスポーティなインテリアデザイン

近年のホンダデザインの特徴といえる、ノーズやキャビンの先端近くに重心が載ったかのような前進感のあるスタイルが印象的な白いプレリュードを冬のある日、東京から箱根まで往復するいつものテストコースに連れ出した。

ボディは全長4520×全幅1880×全高1355㎜という余裕のあるサイズだから、コクピットは低めではあるが2人の大人にゆったりとした空間が用意されている。走行モードは「コンフォート」「GT」「スポーツ」の3種類があるが、例によってまずは「コンフォート」で走り出す。

軽くアクセルを踏み込んだおとなしいスタートでは、電気モーターだけで発進しているはずなのに、すぐに発電用のエンジンのサウンドが耳に入ってくる。エンジンは直列4気筒2リッターで141㎰のパワーと18.6kgmのトルクを生み出し、モーターは184psと32.1kgmを発生。アクセルの踏み加減に応じた、滑らかな加速を振る舞ってくれる。

プレリュードのシャシーはシビック・タイプR用をベースにしたもので、そのホイールベースを2735mmから2605mmに短縮すると同時に、クルマのキャラクターに合わせてサスペンションのセッティングをよりマイルドにしているから、「コンフォート」モードでは街中の低速でも当たりの柔らかい乗り心地が味わえる。

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

運転席と助手席をつくり分けたプレリュードのシート。助手席側はリラックスできるよう、やわらかな乗り心地を追求したという

「S+Shift」を試す

環八から東名への合流でちょっと深めにアクセルを踏み込むと、プレリュードは適度なボリュームでコクピットにエンジン音を届けながら力強く加速して、追い越し車線に軽々と滑り込む。そこで走行モードを「GT」に切り替えると、脚の動きが若干締まった感じになるが、それでも乗り心地はまったく快適といえる範囲にある。

したがって長距離クルージングはまさにお手の物という印象で、東京から関西あたりまで走っていくなど朝飯前という感じだったが、もしもその快適さにちょっと飽きてきたら、例の「S+Shift」を使ってみるのもいいかもしれないと思い出して、そのスイッチを入れてみた。

すると、メーターパネルの左側に6000~8000rpmがレッドゾーンのタコメーターが出現したと思いきや、その針がスピードのアップダウンに反応して上下する。しかもその回転の上下に呼応して、昔のVTECはこんな感じで唸ってたよなぁ、と思い出させる心地よいサウンドが奏でられる。しかもこのエンジン音、繊細に脚色されてはいるものの、基本は実際に積んでいるエンジンのサウンドをベースにしているというから好ましい。

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

シャシーはシビック・タイプR用のベースにショートホイールベース化。バッテリー搭載による低重心化も、優れたハンドリング性能に貢献している

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

センターコンソールに備わる「S+ Shift」のボタンを押すと、パワーメーターがタコメーターに変化。まるで有段変速のような回転数の変化と変速フィールが楽しめる

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

直列4気筒2リッターが最高出力141psと最大トルク182Nmを、駆動用モーターが184psと315Nmをそれぞれ発生する

そうこうしているうちに箱根の麓に到着、そこからターンパイク、芦ノ湖スカイラインと、いつものワインディングロードを駆け巡るコースに突入するので走行モードを「スポーツ」に変更、新型プレリュードはそこでまたもうひとつの側面を披露してくれた。シャシーのベースにシビック・タイプRを使っているということから想像できるようにプレリュード、コーナーでの振る舞いが実にいい。

ホールベースはタイプRより130㎜短縮されているからステアリング操作に対する反応は素早く、ノーズが、というよりクルマ全体が気持ちよく向きを変えていく。しかもトレッドは広く、ボディの低いクーペスタイルだから、コーナリングフォームも安定している。

2000年前後までは、パワフルな前輪駆動車はハードコーナリング中に外側前輪に荷重が集中してステアリングを切ってもノーズが外に膨らんでいく、いわゆるアンダーステアの傾向が強いのが一般的だったが、サスペンションの高度化や電子制御によるトルクやブレーキ配分の最適化などによって、今ではほぼドライバーの狙ったとおりのラインを描いてコーナリングしていくのが普通になっている。

何故かステアリングの手応えが少しだけダイレクト感に欠けるのが気になったが、新型プレリュードはまさにそういった、ドライバーの望むままにコーナーを抜けていくクルマだといえる。それでいて、「スポーツ」にしても乗り心地が硬すぎないのも好ましいポイントだろう。

新型プレリュードの愉しみ方

新型プレリュードは617万9800円という、大方の想像を超えるプライスで発売されたが、それでもメーカーの予想を超える台数が売れているらしい。屋根の低い昔ながらのプロポーションを持った、運転して愉しいクルマが欲しかったんだよ、という層が想像以上にいたということだろう。一人でドライビングを愉しんでよし、家族や友人と広い意味のデートに出掛けてよし、ちょっと個性的でスタイリッシュなクーペの用途は、色々考えられる。

最後にもうひと言、外から見ると狭そうなリアシートだが、身長170cm以下であれば、頭はきついけれど大人も2人座れることを付け加えておこう。

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

SPECIFICATIONS
ホンダ・プレリュード|Honda Prelude
ボディサイズ:全長4520×全幅1880×全高1355mm
ホイールベース:2605mm
最低地上高:135mm
最小回転半径:5.7m
乗車定員:4人
車両重量:1460kg
総排気量:1993cc
エンジン:直列4気筒
最高出力:104kW(141ps)/6000rpm
最大トルク:182Nm(18.6kgf-m)/4500rpm
モーター最高出力:135kW(184ps)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315Nm(32.1kgf-m)/0-2000rpm
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:FF
WLTCモード燃費:23.6km/L
価格:617万9800円(税込)

ホンダ・プレリュード|Honda Prelude

新型プレリュードと著者の吉田 匠

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