奈良の大渋滞区間に新バイパス!「いかるがパークウェイ」はどこまでできた? 法隆寺周辺で50年以上続く大事業【いま気になる道路計画】
奈良県の国道25号において、法隆寺周辺の渋滞区間をバイパスする「いかるがパークウェイ」の計画が進められている。事業化から50年以上も経過している同路線の概要やメリット、進捗状況を見てみよう。
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「いかるがパークウェイ」で法隆寺周辺の国道25号をバイパス!
いかるがパークウェイの概要。
大阪~奈良を結ぶ高速アクセスを担うのは「西名阪自動車道」だが、地元地域の生活移動や観光周遊は依然として「国道25号」が担っている。
しかし、この国道25号は旧態依然とした2車線道路で、信号交差点も密集しているため、混雑が慢性化している。さらに、西側では国道168号の生駒方面の交通流が「竜田大橋交差点」で合流。斑鳩(いかるが)町内の法隆寺周辺には、1日3万台近い交通量が狭い道路になだれ込み、深刻な渋滞を引き起こしている。
斑鳩町への観光客は年間100万人近くあり、観光バスや自家用車が全国から集まってくるが、この大渋滞に悩まされているのだ。
また、地域住民の生活移動も、円滑な代替ルートがなく、支障をきたしている。渋滞が招く事故も多発し、死傷事故率は県内直轄国道平均の約2倍にのぼっている状況だ。
その渋滞区間をバイパスする計画が「斑鳩バイパス」、別名「いかるがパークウェイ」だ。事業化はなんと1972年。それから50年以上が経過しても、いまだに全線開通していない。
いかるがパークウェイの概要。
「いかるがパークウェイ」は、JR・近鉄の「王寺駅」から大和川を渡ってすぐに位置する「三室交差点」から東進し、国道25号の南側をバイパス。JR「法隆寺駅」へのアクセスも担いつつ、富雄川に沿って北上し、斑鳩町幸前で国道25号に合流する総延長4.7kmのルート。全体幅員は22m、両側に自歩道・植樹帯を確保する2車線道路で計画されている。
全線開通すれば、通過所要時間はこれまでの15分から5分に大幅短縮となる。法隆寺エリアへの交通と通過交通が分離されるほか、JR法隆寺駅への移動も定時性が確保されると期待される。
「いかるがパークウェイ」は一部開通済み。残りの区間は?
いかるがパークウェイ(西側区間)工事中の様子。
「いかるがパークウェイ」はどこまで完成しているのだろうか。
現在は「西側の1.5km」が2020年までに順次開通しており、残る東側が工事中となっている。
西側の開通により、ひとまず三室交差点~小吉田~斑鳩中央公民館という抜け道ルートが完成。国道168号が合流する竜田大橋交差点の大混雑を回避できるようになった。
この区間では、通過交通全体の「4割」がいかるがパークウェイを経由するようになり、竜田大橋交差点の渋滞長も、300mから130mへと大幅に短くなった。さらに、国道25号現道における急挙動(急ブレーキなど)の発生率も13%から2%に大幅減少している。
また、生活道路を抜け道とする交通が減少したほか、開通区間に歩道が完備されたため、通学路としての安心感も実感されているとの報告もあり、開通効果は上々のようだ。
整備中の工区は「小吉田~興留」の800m。町道4041号線(法隆寺線)を越えて東進し、主要南北軸の奈良県道5号「大和郡山斑鳩線」に直結するルートだ。県道5号までつながればJR法隆寺駅前にも到達できる。
現地では地盤改良や交差水路のコンクリート構造物など工事が順次進められており、順調に姿を見せてきているところだ。2026年春まで電線共同溝の工事も続く予定だ。
しかしながら、開通の見通しは立っていない。これは、興留交差点周辺で用地取得が難航しているのが主な要因だ。そして、さらに東側の工区「興留~幸前」2.4kmも、まだ特段の動きはない。
画期的な「モデル道路」開通で計画前進。50年以上未開通の原因は?
モデル道路として、かつて一部が飛び地状に先行開通していたいかるがパークウェイ。
関西でも有数の「長期間事業」となっている「いかるがパークウェイ」計画は、なぜ事業化から50年以上が経過しても完成しないのだろうか。
まず、事業化した昭和時代の当時、沿線では反対運動が起き、用地取得が困難なまま暗礁に乗り上げた。しかし、あまりの渋滞の深刻さから早期整備を求める声も上がり、話が動き出したのは、2002年の「いかるがパークウェイ推進協議会」設立だ。
協議会ではまず、バイパスが完成すれば街がどのような姿になるか、イメージできるように「モデル区間」を整備することを決定。2004年に興留地区で400mのみ完成を迎えた。道路機能としてはほとんど意味を持たないが、地域住民へ意識変化があらわれ、2005年の自治会単位のアンケートで「賛成27:反対5」という結果が出た。
このように一部だけショーケースのように道路を完成させる「モデル区間」は、他の長期化する道路事業でも行われている。代表的なのが首都圏の国道254号「和光富士見バイパス」で、2012年に埼玉県志木市内の120mだけが完成。田園住宅地帯にポツンと4車線道路がある、ある種「不思議な風景」は話題となった。
斑鳩町の悲願となる「いかるがパークウェイ」は、西側の1.5kmが開通したことで、その効果が明確にあらわれつつある。この先、まずはJR法隆寺駅前までの開通が当面の大きなトピックとなるだろう。
もちろん、国道25号のバイパス機能を最大限発揮するためには東側区間の完成が必須だ。スムーズな用地取得のためには、地域住民の理解を得られるよう、慎重できめ細かな交渉が必要となる。引き続き状況を注視していきたい。
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