鳥取~舞鶴が直結! 日本海側の新東西軸「山陰近畿自動車道」が整備中。城崎や天橋立への最短ルート【いま気になる道路計画】
鳥取~豊岡~天橋立を結ぶ「山陰近畿自動車道」の整備が進められている。日本海側の山陰~北陸方面の東西短絡ネットワークを形成する。この道路計画について、事業内容やメリット、進捗状況などを見ていこう。
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「山陰近畿自動車道」は鳥取・兵庫・京都を結ぶ約120kmの山陰側ルート
山陰近畿自動車道の概要。
兵庫県北部の「高速空白地帯」に新たな高速道路が誕生しようとしている。その名も「山陰近畿自動車道(鳥取豊岡宮津自動車道)」は、鳥取県鳥取市~兵庫県浜坂~豊岡・城崎~京都府宮津市(天橋立)を結ぶ東西軸になる、総延長約120kmの高規格道路だ。
山陰エリアには温泉地や観光名所が点在するが、これまで互いを有機的につなぐ中長距離ネットワークは存在しなかった。各エリアに「鳥取自動車道」「播但自動車道」「京都縦貫自動車道」といった南北軸は整備されてきたが、東西移動を含む周遊は高速道路経由では難しく、物流面でも不利である。
特に沿岸部は、国道178号をはじめとして、港町と峠越えを繰り返す、急勾配・急カーブが多い運転負担の大きい道路に頼らざるを得ない状況だ。
山陰近畿自動車道の工区。
そんな山陰の沿岸エリアに、勾配もカーブも少なく、信号交差点もない「快適な道路」としてバイパス整備されるのが、「山陰近畿自動車道」というプロジェクトなのだ。災害時の緊急輸送や医療搬送ルートとしても機能し、異常気象時にも耐えうる「強靭な道路」としても期待がかかる。
山陰近畿道に相当する鉄道は、JR山陰本線(鳥取~豊岡)と京都丹後鉄道 宮豊線(豊岡~天橋立)がある。山陰本線はかつて重要幹線として、関西~鳥取以西の長距離列車が多数運行されていたが、山岳部の路線条件の厳しさから、智頭急行およびJR西日本「スーパーはくと」など、姫路経由の南ルートにほとんど置き換わってしまった。
山陰近畿道は、そうした地形条件をトンネルや橋梁で克服することで中長距離交通のルートを確立させ、山陰~北陸の新ルートとしても魅力を増す。まさに兵庫山陰エリアの「復権」を懸けたものになるだろう。
鳥取~豊岡は大部分が完成。全通まで残り工区の現状は?
開通済みの浜坂道路「東浜IC」付近の様子。
山陰近畿道は現在、鳥取~豊岡では“ほぼ全線開通”に近づき、豊岡~天橋立では未事業化が多いものの整備が急ピッチで進められている状況だ。
開通区間から徐々に延伸していくのではなく、複数箇所で“途切れ途切れ”に開通や事業化が進んでいるため、鳥取側から順に工区別に整理していこう。
●鳥取西JCT~覚寺【都市計画手続き中】約7km
鳥取道「鳥取西IC」から北へ分岐し、鳥取市街を南北に貫いたあと、進路を東へ変えて千代川を渡り「国道9号 鳥取バイパス」へ合流して終わる工区。都市計画決定の手続きが進行中で、事業化まであとわずかだ。
現在は、鳥取道へ行くまでに国道29号と県道21号(国体道路)が大渋滞している。本区間は鳥取市街地の貴重なバイパスとして期待されている。
●覚寺~福部IC【当面整備しない】約5km
この工区では「鳥取バイパス」が東へ伸び、1991年に開通した連続トンネルで福部まで到達している。そのため、山陰近畿道の中では後回しとなる「当面、現道活用」という扱いとなっている。
●福部IC~居組IC【開通済み】約15.8km
2023年に「岩美道路」工区が全線開通し、鉄道の福部・大岩・岩美・東浜・居組の5駅間にあたる15.8kmが丸ごとつながった。県境を越えて兵庫県に入ったところで途切れている。
●居組IC~新温泉浜坂IC「浜坂道路2期」【事業中】約7.6km
2018年に事業化された7.6kmの工区。ここが開通すれば、福部~佐津の約45kmが一本につながる。まさに総仕上げのミッシングリンクとも言うべき工区のひとつだ。
気になる進捗だが、新諸寄第2トンネル(1,067m)が2025年10月に貫通。浜坂第2トンネル(2,800m)は掘削中。居組トンネル(1,328m)が2025年9月に掘削開始し、工事は順調に進んでいる。
●新温泉浜坂IC~佐津IC【開通済み】約21.3km
浜坂道路・余部道路・香住道路の3工区として順次開通済み。複数のトンネルで山岳地帯を貫いてショートカットするルートのため、並行するJRに対して有利な線形だ。
●佐津IC~竹野IC(仮)【事業化準備中】約5km
峠2つを越える約5kmの未事業化の工区だ。計画段階評価が終わり、都市計画決定・環境アセスメントの手続きが進められている途中となっている。環境アセスメントは、第一段階の「配慮書」が作成中だ。
●竹野IC(仮)~豊岡北JCT・IC(仮)「竹野道路」【事業中】約4.9km
北近畿豊岡自動車道へ接続する工区。2025年6月に起工式が行われたばかりで、今、最も動きのある工区と言えるだろう。
接続先の北近畿豊岡道も整備中で南から徐々に延伸開通していき、2024年に但馬空港の1つ先「豊岡出石IC」まで開通したばかり。最後の工区である「豊岡道路2期」5.1kmが2023年に着工し、整備が進められている。
豊岡~天橋立も大きな動きあり。どこまで進んだ?
「久美浜~網野」は概略ルートが決定した。
●豊岡北JCT・IC(仮)~城崎温泉IC(仮)「城崎道路」【事業中】
丹後方面の最初の工区となる城崎道路は、2023年に事業化したばかり。豊岡市街から北西へ駆け上がっていき、城崎温泉街の谷奥部にICが設置される計画だ。
トンネル部の掘削現場周辺に、天然記念物である奇岩群「玄武洞」の関連地質がある。玄武岩自体は問題ないものの、噴火時にマグマが突き上げた不規則な貫入岩や断層が確認されれば、掘削作業の難易度は高まる可能性がある。
●城崎温泉IC(仮)~府県境~久美浜【調査中】約3km
京都府へと入る約3kmの工区で、ルート帯は府県境までは2018年に決定した。残りの区間は、都市計画決定と環境アセスメントの完了を待つ段階だ。
●久美浜~網野IC(仮)【事業化準備中】約19km
京都丹後鉄道と並行するように市街地をつなぎ、観光地の夕日ヶ浦を経由して、網野町へ至る約19kmの工区だ。2025年2月にルート帯が決定したばかりで、都市計画決定に向けて進行中の段階だ。
●網野IC(仮)~大宮峰山IC(仮)【事業化待ち】約7.6km
丹後半島を横断する7.6kmの工区。都市計画決定も完了し、あとは事業化の順番を待つのみだ。早ければ2026年4月に事業化が発表されるかもしれない。
●大宮峰山IC(仮)~京丹後大宮IC「大宮峰山道路」【事業中】約5km ※有料道路
2019年に着工した約5kmの工区だ。2025年12月現在の進捗は、南側の高架橋脚がほぼ完成しそうな状況にある。その他の工区では、埋蔵文化財調査が続いている。この工区にはトンネルがないため、比較的順調に開通を迎えると予想される。大宮市街地で慢性化している信号渋滞の緩和に期待がかかる。
●京丹後大宮IC~宮津天橋立IC「野田川大宮道路」「宮津与謝道路」【開通済み】約10.5km ※有料道路
京都縦貫道の延伸部として、2016年までに10.5kmが開通済みだ。このあたりは東西軸をフォークで突き刺すように山地が幾重にも立ちはだかり、天橋立~大宮の移動は大きな迂回ルートしかなかった。山陰近畿道は、そこをトンネルで貫くことで大幅にショートカットした。
このように「山陰近畿道」約120kmのほぼ全線で何かしらの進捗がある状況となっており、事業は大きく前進している。太平洋側と比べて整備が遅れてきた山陰の東西短絡ルートについて、完成までの動向を引き続き注視したい。
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