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公開日:2026.01.06

大阪都心の新たな東西軸「淀川左岸線」が工事中! 新大阪~USJも信号ゼロでスムーズに。現在の進捗は?【いま気になる道路計画】

天保山JCTの様子。(c)maru1122maru – stock.adobe.com

大阪市中心部をつらぬく東西軸「阪神高速 淀川左岸線」の延伸工事が進められている。一体どんな道路なのか、その事業内容やメリット、進捗状況などを見ていこう。

天保山JCTの様子。(c)maru1122maru – stock.adobe.com

文=鳥羽しめじ

資料=阪神高速、大阪市、国土交通省

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混雑する大阪都心の「新高速ルート」

阪神高速「淀川左岸線」の整備概要。

阪神高速「淀川左岸線」の整備概要。

阪神高速道路の新ルート「淀川左岸線」の延伸工事が、大阪市中心部を東西につらぬく形で進められている。

淀川左岸線は、5号湾岸線「北港JCT」を起点に、大阪駅北側を抜けるように市内を東進し、近畿自動車道と第二京阪道路の「門真JCT」へ到達する、総延長18.7kmの自動車専用道だ。

全線開通すれば、湾岸線~神戸線~新御堂筋~近畿道・第二京阪をつなぐ、大阪市の新たな東西貫通ルートが実現する。

2010年に第二京阪が開通して以降、大阪都心部や神戸方面の交通流が「門真JCT」へ集中して混雑が発生している。

大阪市内を通過するルートとしては、近畿道をいったん南下し、「東大阪JCT」から「13号東大阪線・16号大阪港線」で「天保山JCT」へ出るルート。もしくは、さらに南の「松原JCT」から「6号大和川線」を経由し、「三宝JCT」で「4号湾岸線」へ出るルートがある。しかし、前者は船場や阿波座などの都心部において、各方面からの交通が混在して渋滞が悪化し、交通容量が超過している状況だ。

こうした混雑回避の決定打となるのが淀川左岸線だ。門真JCTから近畿道で迂回することなく、大阪市内を抜ける新バイパスとして、さらに新大阪駅エリアの高速アクセス需要も満たすルートとして、同路線への期待はますます高まっている。

阪神高速「淀川左岸線」が完成することで環状ルートが形成される。

阪神高速「淀川左岸線」が完成することで環状ルートが形成される。

「淀川左岸線」の整備事業は、「1期」「2期」「延伸部」の3工区で進められており、そのうち1期の「北港JCT~海老江JCT」5.6kmが2013年までに開通済み。1期区間は5号湾岸線と3号神戸線を結ぶバイパス機能を果たすルートだ。

次なる整備区間の「淀川左岸線2期」は、「海老江JCT~豊崎IC」の4.4kmだ。豊崎ICでは新御堂筋(国道423号)に接続し、臨海部から新大阪駅や千里・箕面方面へ信号ゼロでアクセス可能となる。豊崎ICは南方向(梅田方面)とは行き来できず、北方向(新大阪駅方面)のみランプ接続される。

途中には「海老江北入口(東行き)」「大淀出入口(北港向き)」の2か所が設けられる。海老江北入口は国道2号と、大淀出入口は国道176号(十三バイパス)とそれぞれ接続している。この区間は、全体的に淀川堤防と一体化したトンネルとなる計画だ。

「2期」のさらに東側が「淀川左岸線延伸部」8.7km。「豊崎IC」から東進し、阪急千里線を越えた辺りで淀川を離れ「門真JCT」へ到達する。途中は「内環IC(門真向き)」「門真西IC(北港向き)」の2か所が設けられる。この区間は「大深度地下」で大阪市街の下を抜けるシールドトンネルで計画されている。

万博輸送で「暫定開通」2期区間の現状は

淀川左岸線2期区間「海老江JCT~豊崎IC」の概要。

淀川左岸線2期区間「海老江JCT~豊崎IC」の概要。

気になる工事進捗を見ていこう。2期区間「海老江JCT~豊崎IC」は、2025年4~10月に開催された「大阪・関西万博」のアクセスルートとして暫定開通した。

暫定開通前は、道路交差部4か所のトンネルと、国道2号~11号池田線と大淀出入口周辺の2区間の「トンネルの底板コンクリート」のみが完成していた。残りの未進捗部では、地上に暫定的な舗装路を敷くことで暫定開通。基本的に万博関係車両のみ通行可能で、新大阪駅~万博会場(夢洲)のリムジンバスも利用した。

万博の閉幕後は、暫定的な舗装路を撤去して「完成形」に向けて、ふたたび整備が進められる。開通目標は2032年度だ。同区間のカギとなるのはトンネル工事だが、ここでは地盤を掘るのではなく、四角いコンクリートの箱を建造する「ボックスカルバート」という施工方法で整備される。最終的には淀川堤防と一体になり、地中に埋まる形だ。

第二京阪から湾岸線へ直結! 「延伸部」も工事進行中

淀川左岸線延伸部「豊崎IC~門真JCT」の縦断面図。

淀川左岸線延伸部「豊崎IC~門真JCT」の縦断面図。

次に延伸部「豊崎IC~門真JCT」の大深度地下トンネル部分だが、まだトンネル本体は設計検討の段階だ。一方、豊崎周辺では地中の障害物撤去が完了し、淀川堤防に設置される仮堤防の調整が進んでいる。

さらに門真地区では、門真JCTのランプ周辺工事が行われており、2025年には茨田地区での本体工事が始まったばかりだ。

延伸部でも着々と現場が動いているが、やはりシールドトンネルの採掘が開通へのカギとなる。都市型地下トンネルの最たる例が外環道(関越~中央~東名)だが、2012年の着工から10年以上が経過した現在も、いまだにシールドトンネルは貫通していない。

外環道では2020年に陥没事故が発生しており、国土交通省は2021年に「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を制定。周辺の生活環境への影響モニタリングを含めて、厳しい施工管理が求められることとなった。これにより、神奈川県内で進められている圏央道の延伸部「横浜湘南道路」の地下シールドトンネルも、大きな工期見直しを余儀なくされている。淀川左岸線でも同様に難しい工事が予想される。


このように「淀川左岸線」が全線開通に至るまでには、さまざまな障壁が待ち受けている。まずは「海老江JCT~豊崎IC」までの完成が当面期待できる大きなトピックとなるだろう。よほどの想定外の地盤状況に見舞われない限り、大幅な工期延期は考えにくいからだ。

淀川左岸線は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも文字通り直結しているため、新御堂筋・新大阪駅からのダイレクトアクセスの実現は利用客にとっても大きな変化をもたらすだろう。暫定開通した万博の輸送でそれを先行して体感した人も多いかもしれない。そんな「海老江JCT~豊崎IC」の順調な完成を心待ちにしながら、引き続き「延伸部」の進捗状況にも注視していきたい。

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