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公開日:2026.01.19

千葉県にあった「日本一短い有料道路」とは? “高速ICの利用料”がかかる謎システム……無料化から10年「流山有料道路」の不思議

かつて常磐道の流山インターに有料道路があった

千葉県流山市にかつて存在した「流山有料道路」が2015年に無料化されてから10年が経つ。ある「日本一」の特徴を持っていたこの道路は、いったいどのようにして生まれたのだろうか。

かつて常磐道の流山インターに有料道路があった

文=鳥羽しめじ

資料=千葉県

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かつて存在した日本一短い有料道路「流山有料道路」とは

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」。延長はわずか0.5km

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」。延長はわずか0.5km

さいたま市の「新見沼大橋有料道路」が2026年11月に無料開放となる予定だ。建設費の償還期間である30年を迎え、現時点で特段の延長計画もないため、そのまま無料化される公算だ。

埼玉県や千葉県をはじめ、各地で橋やバイパスが「有料道路」として開通し、年月を経て無料化され一般道路となってきた。千葉県では2023年に「千葉外房有料道路」が無料化されたばかりだ。かつて有料道路だった場所も、今では徐々にその記憶が薄れつつある。

そんな関東の「元有料道路」のなかで、特に異彩を放つのが「流山有料道路」だ。2015年4月に無料開放されたこの道路は「日本最短の有料道路」という異名があったのだ。

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」

流山有料道路は、常磐自動車道「流山IC」料金所からはじまり、県道5号(松戸野田線)に接続するまでのわずか約500mという、極めて短い有料道路だった。千葉県道路公社が管理しており、通行料は普通車で100円。1日あたり約1万7000台の利用があった。

ここで常磐道へ乗り降りするのに他のルートはなく、流山有料道路を通過するしかない構造だった。実質的に流山ICの入口に設けられた“関所”のようなもので、料金所は流山ICと合同になっており、以下のように通行料を払っていた。

・常磐道に乗る場合:100円を払ったあと、常磐道の通行券を受け取る
・常磐道を降りる場合:常磐道の通行料+100円の金額を払う(合併収受)

なお、2001年にETCが常磐道を含む全国で運用開始されたが、料金所機器を共有する流山有料道路でも同時にサービス導入された。

ちなみに「「日本一短い有料道路」と同時に「距離当たり通行料が日本一高い有料道路」でもあった(200円/km)。

なぜこんな道路が生まれたのか

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」。延長はわずか0.5km

常磐道の流山インターに直結していた「流山有料道路」。延長はわずか0.5km

このような形になったのは、流山ICが「地元請願」という形で追加新設されたからだ。

常磐道が柏から三郷IC・JCTまで延伸開通したのは1986年。前年に開通した首都高6号三郷線と直通し、茨城県の那珂ICまで104.4kmが丸ごとつながった。しかし、その頃は柏~三郷までの10.8km間にはICがなく、流山市はスルーされる状況にあった。

そのため、当時の流山市長が国や道路公団へ出向いて要望するなどの活動を続け、6年後の1992年に、悲願の流山ICが開通となったのだ。

そして、IC設置地点は周囲の一般道路から離れていたため、取り付け道路が作られた。その整備費の64億円を通行料で賄うこととなり「流山有料道路」が誕生したのだ。

ちなみに接続先は当時まだ開通したばかりの県道5号「松戸野田線」バイパスで、こちらも「松戸野田有料道路」として運用されていた(2007年無料開放)。

悲願の誕生後も敬遠された「理由」とは

NEXCOの案内にも「流山インターでは100円追加料金が必要」という一文があった

NEXCOの案内にも「流山インターでは100円追加料金が必要」という一文があった

せっかく開通した流山ICだが、100円の“追加徴収”は奇妙な現象を生んだ。都心方面から常磐道に乗る流山市民が“コスパの悪いIC”として敬遠し、わざわざ柏ICを使い続けたのだ。その理由は以下を見れば分かるだろう。

・三郷~流山(6.1km):450円(常磐道350円+有料道路100円)
・三郷~柏(10.8km):400円

これでは柏市内の渋滞は緩和されないということで、1995年に三郷~柏が500円に値上げされ、ようやく流山ICの利用者は増え始めた。

開通から17年で、当初見込みの約5600万台に対し「約8600万台」と上々の利用状況。平成20年代に入ると、年間約3億円という償還スピードもあり、早期無料化の機運が高まっていった。

流山市は2011年に、千葉県あてに無料化についての意見書を提出するなど活動を続け、2014年に千葉県は無料化を議決。国の認可が下り、予定より約7年短い、異例のスピードで無料化が実現した。

もともと特別な施設があったわけではない流山有料道路。無料化後も看板が外されたり書き換えられたくらいで見た目に大きな変化はない。かつてここを利用していた市内在住の40代男性も「すっかり忘れていた。特に大きなニュースも無かったし、もう10年経ったんだなあ」と感慨深げに話す。無料化から10年経った現在、現地の風景はかつての不思議な運用体制を微塵も感じさせない、「流山IC」そのものとなっている。

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