約30年越しで開通へ! 兵庫の新たな南北道「西脇北バイパス」がもうすぐ全通。“第二の播但道”こと「東播丹波道路」の進捗は?【いま気になる道路計画】
兵庫県播磨と丹波を結ぶバイパス「東播丹波(とうばんたんば)連絡道路」の整備が進められている。その一部を構成する国道175号「西脇北バイパス」は、2026年春に開通する予定だ。道路整備の計画やメリット、そして現在の工事進捗について紹介しよう。
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西脇北バイパスを含む東播丹波連絡道路の概要
東播丹波連絡道路の概要。
「東播丹波連絡道路」は、兵庫県加東市の中国自動車道「滝野社(たきのやしろ)IC」から丹波市の北近畿豊岡自動車道「氷上(ひかみ)IC」に至る、全長約30kmの国道175号のバイパス道路だ。山に阻まれがちな兵庫県での南北移動をスムーズにするために整備が進められている。
始点となる滝野社ICから板波橋東詰交差点までの1.6km区間と、板波橋東詰交差点から西脇市下戸田までの「西脇バイパス」2.1kmはすでに開通済み。現在は、そこから北へ5.2kmの「西脇北バイパス」が工事中となっている。
「西脇北バイパス」のうち、寺内から黒田庄町大伏までの2.1km区間は開通済み。直近では2025年12月20日に「下戸田オンランプ」が開通した。残りの下戸田から寺内までの3.1km区間は、2026年春に開通予定だ。西脇北バイパスの設計速度は全区間で60km/h、4車線で計画されているが、まずは暫定2車線にて開通する。4車線化の予定は、まだ発表されていない。
東播丹波連絡道路全体としては、残り黒田庄町から氷川ICまでの約17kmほどの区間が「調査中」という状況で未着工だ。
西脇北バイパスの概略図。
渋滞解消と医療ネットワークを支える西脇北バイパス
上戸田南交差点付近の混雑の様子。
西脇北バイパスを含む東播丹波連絡道路は、播磨地域と丹波地域の南北方向の交通機能向上を担う重要な区間だ。渋滞解消による地域の安心・安全の向上と医療ネットワークの支援が期待されている。
西脇北バイパスと並行する国道175号は、西脇市街地を通過する構造から信号待ちや右折待ちが多く、朝夕を中心に慢性的な渋滞が発生していた。実際、当該区間では交通容量の1.2倍の交通量があり、上戸田南交差点の下り方面では朝夕で最大590mの渋滞が発生している。
渋滞は時間のロスだけでなく交通事故の原因にもなり、地域住民の不安の種になっている。西脇北バイパスが開通することにより、生活道路と通過交通が分離されることで、歩行者や自転車と車両が交錯する場面が減少して事故リスクの低下につながる。また、大型車両の通行が市街地から外れることで、沿道住民にとっては騒音や振動の軽減といった生活環境の改善効果も見込まれる。
また、西脇市は国道175号を沿線に大山記念病院や西脇市立西脇病院を有しており、丹波医療圏と連携し広域医療圏を形成している。現在、緊急車両は渋滞の激しい国道175号を無理やり通行せざるを得ない状況であるため緊急搬送に時間がかかっている。国道175号の渋滞が解消されることは、1分1秒を争う緊急医療の面からみても大きなメリットといえるだろう。
このように、西脇北バイパスは単なる渋滞対策にとどまらず、交通安全、生活環境の改善、医療面の強化など多方面に効果を発揮する。東播丹波連絡道路の中核をなす区間として、地域の将来を支えるインフラとしての期待は大きい。
東播丹波連絡道路の今後。調査中区間の進捗は?
西脇北バイパスの工事概要(2025年11月時点)。
東播丹波連絡道路の西脇北バイパス以北で「調査中」となっている約17km区間は、いつ事業化されるのだろうか。
この調査中区間では、概略ルートを決める「計画段階評価」すら始まっていない状況だ。直近の動きとしては、2025年8月に「東播丹波連絡道路早期実現促進大会」が実施され、予算確保と全線の早期実現を要望する決議書を採択し、国に対して要望書が手渡された。
道路事業では、さまざまな工程を踏む必要があり、どんなルートを通るのか、山や河川などの環境にはどんな影響があるのか、どのくらい渋滞が減るのかなどを試算して事業の可否が判断される。そして、概略ルートや道路構造についての住民アンケートや説明を実施。その後、アンケートを踏まえてルート案が最終決定される。そこからようやく工事業者の募集や、用地確保が始まる。現在は、そのための調整が水面下で進められている状況だ。
そのため、東播丹波連絡道路の西脇北バイパス以北の開通はまだまだ先の話と予想される。まずは2026年春に西脇北バイパスが遅延なく開通することに期待しながら、東播丹波連絡道路の残り区間の計画前進に注目していきたい。
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